株式会社イーガイア

株式会社イーガイアは、『社宅コンシェルジュ』という新しいビジネスを開発し、設立以来11期連続黒字経営を続けている。

『社宅コンシェルジュ』とは、煩雑で専門知識も必要となる社宅探しや契約業務等を代行するサービスだ。何十人という新入社員のため、百名以上が一斉に異動する社員のため等、企業は定期的に社員の住まいを確保する必要に迫られる。しかも、住めれば何でもいいわけでは当然なく、社員一人ひとりについて、家族で住むのか、独身向け住宅で構わないのかといった意向を確かめる必要があるし、賃料や会社からの距離等、社内規定を満たした物件かどうか確認するべき事項も多く、条件に合った物件を探すだけでも一苦労だ。全国各地に拠点を持つ企業ともなると、この煩雑な業務を各地で行わなければならない。

また、賃貸住宅を扱う不動産会社のネットワークが充実していないと、不動産会社のカバーしているエリアが限定されていて物件の選択肢がなかったり、不動産会社の管理物件ばかり勧められて良い物件を紹介してもらえなかったりといった悩みもある。
「『社宅コンシェルジュ』サービスでは、全国300社、3,000店舗ほどの不動産会社と提携を結び、北海道から沖縄等の離島まで、お客様の様々なニーズに対応して物件を紹介できます。また、依頼の受付から条件のヒアリング、マーケット説明、物件情報提供、申し込み、契約、鍵渡し手配までワンストップで対応。賃貸物件では、契約金の随時支払いが生じ、戸数が多くなれば、支払業務だけでも相当な労力になりますが、当社が契約金を立て替えておくことで、お客様は一括決済が可能です」（代表取締役・藤原祥之氏）。

企業規模が大きくなるほど社宅手配の負担が大きくなる傾向があるため、同社の取引先には日本を代表する大手企業をはじめ社員数数千名以上という企業が並び、継続的な取引が続いているという。その数130社ほど。これだけ多くのクライアントから評価されていることからも、『社宅コンシェルジュ』のサービスの質の高さや業務効率化のメリットが大きいことがうかがえる。

株式会社イーガイアは、さらなる成長、そしてIPOに向けて、新規事業の立ち上げを進めている。その事業というのが、従業員の健康、特にメンタルヘルスに関わる総合健康管理クラウドサービス『WELLXiL』だ。

近年、従業員満足の向上が企業経営において重視されるようになり、従業員の健康の維持・増進と企業の生産性向上を共に実践する健康経営が注目されるようになっている。しかし、今のところ、その内容はまだまだ不十分で多くの課題があるのが実情だ。
「ストレスチェックができるサービスは増えてきましたが、ストレスのあるなしが分かるところで止まっていて、肝心の対策については、導入した企業任せというケースが少なくありません。本来であれば、鬱等の深刻な状況に進む前の段階でストレスの有無や原因を発見して適切に対処することで、予防に繋げていかなければならないのに、です。そこで、心の問題を可視化するところからソリューションの提供までをサービス化しようというのが『WELLXiL』です」（藤原氏）。

メディアにもたびたび登場している著名な精神科の先生と彼が名誉教授を務める大学の協力を得て、簡単な質問に答えるだけで従業員の心の状態を判定できるアプリを開発。2022年初夏のリリースを予定している。さらに、呼吸法や音楽によって心を整えマインドフルネスに導くアプリを同年8～9月頃に、楽しみながらメンタル面を改善できるゲームアプリを2022年末から23年1月頃にリリースするべく開発を進めているところだという。
「大切にしているのは、“楽しみながら”できることです。従来のメンタルヘルス関連製品は、会社が従業員に対して『やってください』と押し付けるものが多く、その内容も硬い。それでは、受ける方はネガティブな印象を持ってしまいます。メンタルケアを目的とした製品が気分を下げてしまっては効果も半減してしまうでしょう。そのため、メンタルケアをしていると意識することなく、楽しみながら取り組めるストレスレスな内容やUI/UXにかなりこだわっています」（システム情報部・本間次郎氏）。

健康経営に取り組んでいる部署と『社宅コンシェルジュ』の取引部署が同じということもあり、既に『社宅コンシェルジュ』で取引のある大手企業に声を掛け始めている。中には、PoCの提案を受ける等、感触は上々だという。

『社宅コンシェルジュ』のサービスにおいても社宅管理代行システムを運用、改善しているが、社員のほとんどはITについては素人同然であり、2名の技術者が『社宅コンシェルジュ』のシステム管理と新規事業の開発面を見ている状態にある。
「しかも、技術者2名は50代ということもあり、これからのイーガイアにおけるIT分野を担ってくれる次世代の社内SEを必要としています。まずは、既存のサービスを技術面からしっかりと支えていける人材、そして、今後立ち上がる新規事業においても技術者視点から改善や運用に取り組んでもらえる人材を求めています」（本間氏）。

具体的には、Linuxサーバの運用管理から上流設計、プログラミングまで幅広く対応できる実力を身に付けてもらうことになるが、最初から全てのスキルを備えている必要はない。それよりもむしろ「成長したい！」という意欲の強い人に来てほしいと本間氏は続ける。
「私ともう一人の技術者が長年培ってきたノウハウを受け継ぎ、そこに自身の経験やスキル、今後吸収していく新たな知識等を組み合わせて、イーガイアのサービスをより良いものへと磨き上げていくためには、“今の自分を超えていきたい、成長したい”という思いが欠かせません。成長する機会は沢山提供できるはずなので、その思いさえあれば、充実した毎日を送れるはずです」

これだけだと、何やら長時間労働を強いられるように聞こえるかもしれない。しかし、1～4月の繁忙期以外は定時の18時（水曜日は17時）には社員みんなが退社する等、残業をしない雰囲気が社内に定着している。また、エンジニアはリモートワークをベースとしているため、アウトプットに対する責任さえしっかり持てれば、比較的自由な働き方を選ぶことも可能だ。

「組織も事業も完成している会社だと与えられた仕事をこなすことがメインになりがちですが、当社におけるIT分野はまだまだ発展途上にあります。しかも、新規事業の立ち上げに挑戦している真っただ中でもあるため、新しいものを生み出したり、組織を変えたり、事業を育てたりといった醍醐味を、自らの手で実現するチャンスに溢れています。この環境を楽しみながら自分自身と会社、事業の成長に取り組んでいける方を待っています」（本間氏）。