代表取締役・藤原 祥之氏 不動産会社で経験を積んだ後、SIerとECビジネスを展開するIT企業に在籍。しかし、いずれの会社も受託開発を主としていたため、自社製品・サービスを扱えないことへの物足りなさや「エンジニアでもない自分が長く働いても……」という思いから起業を決意。2010年12月に株式会社イーガイアを設立した。

安定的に売上を生み出している『社宅コンシェルジュ』事業がある中、なぜ新規事業開発に挑戦するのでしょうか？

社宅マーケットは成熟しており、既に規模の上限は見えてきています。加えて、日本の人口減少等を考えると、今後緩やかにシュリンクしていく可能性が高い。そのため、現在の売上を2倍、3倍へ伸ばしていくのは厳しいといわざるを得ません。いわゆる踊り場が近付いてきている業界だといえるでしょう。 そこで、『社宅コンシェルジュ』を通して関係性を築いてきた企業の人事部や総務部向けに提案できる新たなサービス、第2の柱となる事業をつくろうと考えたのです。当社の財産といえるお客様とのネットワークを活かせて、かつお客様が抱えている課題の解決に繋がるサービスは何だろうか、と。 また、イーガイアを起業する前、営業や事業管理系ではありましたがSIerやECの会社に10年ほどいた経験も生かして、ITビジネスに挑戦しようと決意しました。

『WELLXiL』というビジネスに行き着いた経緯を教えてください。

元々は、検診データを管理するツールを企業のニーズに合わせてカスタマイズし、導入するサービスを考えていました。しかし、コロナ禍によって、似たサービスが急増。レッドオーシャン化してしまったため、競合サービスに対して優位性を確保するにはソリューションまで組み合わせる必要があると考えたのです。 また、コロナ禍によって「鬱」に苦しむ人が急増したこともメンタルヘルスへの関心を強いものにしました。『社宅コンシェルジュ』を通してお付き合いしている人事部や総務部の方々も従業員のメンタルヘルス維持・増進に課題感を持っていて、ソリューションを強く求めていたのです。実は、社員が休職すると大きなコストが発生します。その額は、一人当たり、年間70万円ほど。うつ病は100人に一人が経験するといわれているため、1万人規模会社では600人ほどが「鬱」になる可能性があります。その場合に発生するコストは、年間4億2,000万円にもなる計算です。

看過できる金額ではありませんね。

はい。もし、心に負担を抱えている人を早期に発見し、「鬱」を予防できれば、これだけのコストを削減できるだけでなく、生産性の向上も期待できます。心が健康であれば、仕事に対するパフォーマンスも高くなるからです。 また、『WELLXiL』でご協力いただいている精神科の先生は、認知症の権威でもあるのですが、その先生によると、心の病にかかってしまうと認知症になる可能性がとても高くなるそうです。人生100年時代といわれるようになっていますが、少しでも長く健康に生活を送るためにも、メンタルヘルスに取り組むことは非常に重要だといえるわけです。 このようなメンタルヘルスの現状や課題を知るうちに、心の病の早期発見と改善をサポートできる事業をつくらなければという思いが強くなっていきました。

なぜ、ゲームを取り入れているのでしょうか。

理由は単純、楽しい方が続けられるからです。 誰もが健康でありたいと思っているはずですが、予防するために何かしなければならないとなると、あまり長続きしないのが現実です。その背景には、国民皆保険の悪い面も関係しています。「保険が効くから不調になった時に病院へ行けばいい」と、予防をおろそかに考えてしまうからです。そして、もう一つの理由が、予防のための活動が地味でつまらないから。しかも、営業活動のように頑張っても成果が見えにくいため、「続けることに意味があるのか」と考えてしまったりします。 この壁が結構高いのです。そこで、これを乗り越えるには、「メンタルヘルスのため」「予防のため」ということを意識せず、楽しんでいるだけで、いつの間にか予防やストレスの改善に繋がっている仕組みをつくることが重要です。その答えの一つとして、ゲームを思い付きました。

最後に、応募者へのメッセージをお願いします。

現在、挑戦している新規事業『WELLXiL』は、社会的意義の大きいサービスです。メンタルヘルスという現代人を悩ます課題に取り組み、その解決に貢献できるサービスを目指しているからです。また、イーガイアとしては新たな事業をゼロ→イチで生み出す挑戦ですし、リリースした後は私達の手で市場をつくっていく必要もあります。メンタルヘルスは日本に限った課題ではないため、海外へ打って出ることもあるでしょう。とてもチャレンジしがいのある仕事だと思っています。ここに共感し、その一員として事業成長に取り組んでみたいという方は、是非一緒にチャレンジしましょう。お待ちしています。