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株式会社AiCAN

  • IT/Web・通信・インターネット系
  • サービス系

人の力×データ利活用で、子ども虐待の見過ごしゼロを目指す国立研究所発ベンチャー。児童相談所のICT基盤を支えるサービスを提供中!

自社サービス製品あり
残業少なめ

企業について

「子どもの人権」を守ろうとする取り組みに注目が集まり始めている。日本はこの分野の議論があまり進んでこなかったといわれるが、2023年4月には「子ども基本法」が公布され、こども家庭庁の新設も控えている。SDGsによる機運の高まりも背中を押しているだろう。

そうした動きの中、一つの企業に注目が集まっている。「すべての子どもたちが安全な世界に変える」というビジョンを掲げる、株式会社AiCANだ。

同社は、最新テクノロジーを活用することで児童相談所や市区町村の職員が抱えている虐待事例への援助方針の判断をサポートするプラットフォーム『AiCAN(アイキャン)』を提供している。国立研究開発法人・産業技術総合研究所から技術移転を受けた産総研発ベンチャーだ。

CEOの髙岡昂太氏は大学時代、心理学を学びながらバックパッカーとして世界中を訪れていたという。訪れた東南アジアで児童虐待や児童売春等、子どもを取り巻く問題に触れたことで、課題意識を持つようになった。

「先進国であっても同じ課題を抱えており、解決するには社会構造から変えなくてはいけません。悔しいですが、自分一人では何ともできない課題だからこそ、仲間と力を合わせて少しでも改善できるならそれをやりたいと思いました」(髙岡氏)。

ベビーシッターや児童相談所等の現場で働きながら、どういう支援ができるかを考え続けた髙岡氏。実際に子どもやその親たちと触れる中で感じたことが、同社の事業の立ち上げに繋がっていく。

「親御さんの中には、よく話をしてくれる人もいれば、コミュニケーションを全く取ってくれない人もいます。それでも行政側は、子どもの安全が疑われるときには、親御さんに会って問題解決に取り組まないといけないのに、攻撃的・否定的な態度を取られたりするとなかなか踏み込んでいけない現実があります。加えて、そうしたときの対応の判断が『もうちょっと頑張ろう』となる職員の方もいれば、『親御さんがそれでもいいなら今はいいんじゃないか』となってしまう場合もあります。子どもが傷ついているという状況は変わらないのに、対応に差があっていいのかな…というところに一つ大きな疑問を感じました」(髙岡氏)。

もちろん、現場の人たちは色々な困難を抱えながら対応している。しかし、中にはメディアで目にするような死亡事例に発展してしまうケースもあるのが現実だ。「同じような問題を繰り返してはいけない。上手くいかなかったところは改善できるようにするべきだ」と考え続けた髙岡氏が思いついたのが、データを活用した科学的な取り組みだ。

「過去の事例をデータ化し、『こういうパターンの時は危ない』『ここで打ち手を間違えてしまっている』という判断ができるようにすることで、同じパターンが出てきたときに科学的な判断ができるようになると思いました。データを用いた仕組み化で、『子どもの安全』に貢献できると考えたのです」(髙岡氏)。

そんなとき、データを活用した虐待死亡事例の再発防止策を検討していた三重県とパートナーを組めることとなり、必要なデータの収集とプラットフォームの構築がスタートする。データ収集に必要となる調査項目を検証するところから、現場と合意形成を図っていくことは、簡単ではなかったが、苦労の末に一つのモデルが完成する。

「私自身が海外で色々な児童相談所を見てきた中で、人工知能を活用した研究開発に触れたことがあったのですが、日本の子ども虐待対応に応用できるのではと可能性を感じました。産業技術総合研究所の人工知能研究センター在籍時に、三重県さんとのプロジェクトを人工知能の社会実装の一例として研究し、現在当社が提供しているアプリのベースとなるものの開発に至りました」(髙岡氏)。

『AiCAN』は、SaaS型のクラウドサービス。AIシミュレーション機能を搭載したプロダクトだが、けっしてAIが人間に代わって判断するわけではない、と髙岡氏は強調する。
虐待対応の現場では、判断対応の難しさや、ベテラン職員のノウハウが引き継がれていかない点が課題となっている。どうしても属人的になりがちな判断を、過去のデータに基づいてAIがサポートすることで、人が代わってもしっかり判断できる環境を作っていく。同時に、事務作業のICT化やクラウド活用によって、人手不足に悩まされる現場の業務を効率化していくという。

「『AiCAN』は、地域性や現場課題等のドメイン知識をふまえて設計しています。また、AiCANサービスの本質は、研修の実施やデータ分析にもとづいた課題整理など、継続的なサポートです。『子ども虐待対応の専門性を理解した上で、その業務改善を支援する』というサービスは、おそらく、まだどこにもないのでは。国内オンリーワンの『伴走型業務支援サービス』を提供しています」(髙岡氏)。

それを可能にしたのが、経験豊富なスタッフたちの存在だ。高岡氏を筆頭に現場経験が豊富にあるメンバーや、国や自治体と児童虐待等の調査研究を行ってきたメンバー、臨床心理士や保育士資格、教員免許を持つメンバー等、何らかの形で子どもとの接点や関心を持つスタッフで構成されている。

現在、1自体6児童相談所へサービス提供中だが、その成果を受けて、関心を持つ他の自治体からの問い合わせが増えているという。また、厚生労働省の「児童虐待対応におけるAI利用」の調査研究や、内閣府「子供・若者白書」へのレポート提供、法務省の受託事業では、犯罪を起こしてしまった人に対する、再犯防止のための「保護観察におけるアセスメントへのAI導入」の調査研究も行っている。

同社で働くことの面白さについて、髙岡氏は次のように話す。

「私たちは、AIや統計解析などの技術を用いて、データを活用した子ども虐待対応を支援しています。それは、『子どもの安全を守るためにデータや技術を役立ててもらう』こと。システムを導入して終わりではなく、現場のユーザー様の業務に伴走しながら『プロダクトとサービスがどう成長していくか』『プロダクトが、どのように現場の役に立っているか』を、しっかり見ていくことができます。」

「当社には、データサイエンティストに加えて、子どもと関わってきた専門職も在籍しており、現場の実態に寄り添ったサービス提供を大切にしています。テクノロジーと児童福祉のドメイン知識を融合し、世界でどの国でも解決されていない子ども虐待の課題解決に、様々なステークホルダーと共に挑戦できるとても魅力ある仕事だと思っています。」

こうした取り組みの先に同社が描いているのが、児童虐待とよく似た近接領域、例えば子どもの貧困や犯罪、DVといった領域への転用によるビジネススケールの可能性だ。

「慢性的な人手不足に悩まされ、業務の効率化が課題となっているのは児童福祉分野だけではありません。子ども虐待は、DVや性暴力、犯罪、自殺や貧困などの問題とも密接に絡む課題です。そのため、今後は子ども虐待問題にとどまらない『社会課題解決に向けたDX支援』として発展させ、さまざまな社会的インパクトを生み出していきます。」

「ウェルビーイングの指標として、マズローの欲求5段階説でいう自己実現の欲求がよく語られますが、まず土台を堅固なものにしなければ、上へ伸ばしていくことはできません。当社の取り組みは、土台となる『安全の欲求』『生理的欲求』の部分をターゲットにしています。
『すべての子どもたちが安全な世界』を実現することで、子どもたちの幸せへつなげ、日本全体をよくしていきたいと思っています。」(髙岡氏)。

求める人物像については非常に明確だ。同社のビジョンに共感できるかどうか、そこが一番のポイントになる。

「こうした社会課題の領域は割とストレスを抱えやすい傾向にありますが、当社としては心理的安全性を大事にしながら、それぞれのスタッフが得意を生かせる環境づくりに力を入れていきたいです。フラットでフェアな組織の中で、チームの垣根を越えた密なコミュニケーションを取りながら、みんなでプロダクトを磨き込んでいきたいですね」(髙岡氏)。

以前からサポートメンバーとして働き、2022年4月から正式にジョインした広報の松村氏は、同社の働きやすさについて次のように話してくれた。

「そもそも『安全』というものを事業として謳っている会社なので、髙岡も『働く私たちが安全でないといけないよね』とよく言っているんです。だから困ったことがあっても相談しやすく、休みもすごく取りやすい雰囲気があります。現在は役員の3名がそれぞれのチームを取りまとめていて、毎月1回必ず、役員と社員の面談があるんです。経営陣が、気軽に話せる雰囲気作りを心がけてくれていると感じます」

創業間もないスタートアップだけに、制度面の構築はこれから。CAOの先光毅士氏も、「何か要望があればどんどん上げてもらって、一緒にいい会社を作っていきたいですね。働き方についても、基本的にはフレックスで、コアタイム以外の時間はある程度自由に組んでもらえるようにしています。お客様との打ち合わせがない日は服装も自由ですし、ストレスなく働いてもらえるはずです」と語る。

個人情報を扱う仕事だけに、セキュリティ面では細心の注意を払っており、業務内容によっては本社での仕事がマストになる。それ以外については、できるだけコミュニケーションを大事にしながら、リモートワークも交えて効率良く働いてほしいと話す。

「見過ごされた子どもの虐待をゼロに」というミッションを掲げるかつてない事業であり、世界を変えるチャレンジができる面白さは間違いなくあるだろう。AiCANが目指す世界に少しでも共感できるなら、是非挑戦してほしい。

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企業情報

会社名

株式会社AiCAN

業界

IT/Web・通信・インターネット系 > モバイル/アプリサービス

IT/Web・通信・インターネット系 > その他IT/Web・通信・インターネット系

サービス系 > 医療・福祉・介護サービス

企業の特徴
自社サービス製品あり、残業少なめ
資本金

615万円

設立年月

2020年03月

代表者氏名

代表取締役 髙岡 昂太

事業内容

①AiCANサービス
児童相談所をはじめとした、子ども虐待対応にあたる自治体の職員様へ向けて「伴走型業務支援」を提供しています。
タブレットから子どもや家庭の調査記録を入力すると、AIがシミュレーションを行う「AiCAN」アプリの開発から、アプリ活用に関する研修会の実施、データ分析に基づいた課題整理・業務フローの提案など、マネジメントの整理まで伴走してサポートします。

②データ分析サービス「Insight」
データに基づいて児童相談所や自治体全体の傾向を解析し、現状の可視化や今後の予測をフィードバックします。業務の見直しや、「職員何名の増員が必要」「子ども何名分の一時保護所増設が必要」といった予算議論、白書作成、KPI設定の検討などに活用していただきます。

③調査研究事業
児童福祉の現場で働いてきた臨床心理士や、子ども虐待の調査研究に取り組んできたデータサイエンティストなど、多彩なメンバーのスキルを活かして、児童福祉における委託調査研究も実施しています。

株式公開(証券取引所)

非上場

従業員数

9人

本社住所

〒213-0012 神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1 かながわサイエンスパーク西棟713A

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