株式会社オーク

株式会社オークは、大阪市を拠点に、ソフトウェア開発の側面から、メーカーのものづくりを支援するエンジニアリング会社だ。経験豊富で、高度なスキルを備えた技術者を揃え、受託開発を中心にしつつ、自社製品の開発、一部、技術者派遣も行っている。
創業当時から35年間（2022年現在）、一貫してものづくりの領域に軸足を置き、時代の変化や市場のニーズに合わせ、技術領域を拡大しながら発展してきた。元々はハードウェアとソフトウェアの設計・開発をセットで行う組み込み系のアプリケーションや、パソコンのOSに近いミドルウェア、またはプリンタードライバやオーディオドライバといったデバイスドライバの開発に強みを持っていたが、現在はサーバーサイドから端末アプリまで、幅広い技術領域に対応できるのが最大の強みである。

同社のクライアントの多くは、日本を代表する大手メーカーだ。20年以上にわたって関係を築いてきた取引先ばかりだ。中には創業当時からの顧客も存在する。

主に扱っているのは、社会インフラや生産設備、あるいは物流倉庫等の業務システムだ。いずれも経済や社会の発展に欠かせない。
特に、工場ライン用の各種測定検査装置や、道路・河川等の公共インフラの監視システムや、公共施設の警備システム等、ネットワークを絡めた映像配信システムの領域では、長年にわたって数多くの実績を残してきた。

代表取締役・小川知之氏が語る。

「最近多いのは、カメラで撮影した画像をお客様のAIで認識させて、そのデータを分析するといった案件です。特に自動化システムやリモート監視システム、解析ソフト等、労働力不足を補うためのソリューションが急増中です」（小川氏）。

同社が請け負うのは共通基盤となるシステムからエンドユーザーが直接触れるアプリケーションの開発も行う。同社が設計・開発したシステムをベースに、クライアントであるメーカーや、その子会社のシステムベンダーが、個別の案件に応じてUI等をカスタマイズし、エンドユーザーに提供するという構図である。

また、製品になるものに関する開発だけではなく、PoC開発など研究開発段階に関わることも少なくない。不審物の置き去り検知システム等の映像システム以外にも、大規模な展示会場等で使われる歩行者ナビ、スマートフォン等に無線で充電できるスマートタップやICカードリーダー等、今では当たり前に使われている仕組みの開発にも多数携わってきた。ハードウェアおよびソフトウェアの両面で関わっている開発として現在は、高齢者向け対話ロボットの実証実験などがある。

「お客様からは、長年の取引実績の中で築いてきた信頼関係と技術力を買っていただいています。」（小川氏）。

オーク社は、1987年7月、先代社長の矢野越夫氏をはじめ、組み込み系の受託開発をしていたエンジニア有志が設立した会社だ。「良い組織風土こそが最高の仕事を生む、顧客の満足につながる」という理念の下、自主独立を保ち、特定分野に偏らないトータルシステムの開発を目指してきた。現在も、AIやIoTをはじめとする先端領域だけではなく、創業当時に強みとしたデバイスドライバやミドルウェア系の案件にも対応している。近年、このようなデバイスドライバは標準化され「Windows」が提供されるようになった。しかし、標準外の特殊な用途での開発案件があり、今ではニッチになった領域にも対応できる技術力を保有することが、同社の優位性に繋がっているのである。

同社の技術力は、先代社長の矢野氏による多数の技術書出版や、小川氏を含む同社の技術者達による技術雑誌への寄稿実績が物語っている。決して急激な規模の拡大は目指さず、あくまでも一定以上の技術水準は維持することで、顧客からの信頼に応え続けてきた。その方針は小川氏が2代目社長に就任してからも引き継いでいる。

「極端な拡大路線に舵を切るよりは経営を安定させ、だいそれたことは言わずにコツコツとやっていく。一気に人を増やしても、技術力が低下してしまえば、大問題です。技術力が高いという信頼を崩さないことが大切だと考えています」（小川氏）。

小川氏は創業間もないオーク社でアルバイトとして働いた後、大手IT企業に就職。4年半、パソコンの開発部門でハードウェアの設計・開発に携わった後、古巣であるオーク社に正社員として戻ってきた。オーク社では、主にクライアントへの研究開発支援で、数多くの実績を残してきた。そして2018年12月、世代交代によって代表取締役に就任し、現在に至る。

同社には現在、既存のクライアントからの相談だけではなく、新規顧客からの問い合わせが急増中だ。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で止まっていた案件が動き始めたことに加え、非接触非対面への対応等、新たなニーズも生まれている。これらに対応するため、経験者の採用による開発体制の強化に取り組んでいるところだ。

「今後は従来以上に、研究開発の領域を伸ばしたいと考えています。また、体制が整えば、自社製品の開発にも着手する計画です。
まずは受託開発のニーズに確実に応えられる体制を整備し、新たなチャレンジができる余力を作っていきたいと考えています」（小川氏）。

オーク社に在籍する社員の平均年齢は41.8歳。小川氏以外にも大手家電メーカーで経験を積んだ技術者等、経験豊富なベテランエンジニアが多い。

ただ、採用する人材に求める条件は、現時点での技術力の高さではない。知的好奇心や向上心さえあれば、仕事を通して成長できる環境は揃う。

「現段階でC言語やC++でプログラムが書ける、または、ネットワークサーバーの設計や構築ができる人なら、入ってから何とでもなります。仕事とは関係なく自宅でプログラムを書いたり、デバイスを改造したりすることが好きな方、ずっと決まった仕事をやり続けるよりも新しい取り組みが好きな方なら、長く続けられますし、技術力も自然と身に付いていくはずです」（小川氏）。

また、技術者優先の企業風土も大きな魅力だ。技術者の気持ち、立場を考え、より働きやすく、良い仕事ができる環境整備を積極的に進めてきた。特に重視してきたのが評価制度だ。個々の技術者を独立したプロフェッショナルとして扱い、それぞれの技術力を客観的かつ公正に評価し、その評価に見合う適正な報酬を支払う。ワークスペース・貸与機器など、開発環境の整備にはもちろんお金をかけるが、オフィスの装飾等、社内にかけるコストは極力抑え、各社員の売上に対する貢献度に応じて、報酬で還元している。

「弊社は基本的に技術者の会社です。技術者が働きやすいように、やりがいを感じられるように、頑張ったら頑張った分だけの報酬が得られる会社を目指しています」（小川氏）。

働き方も自由だ。個々の技術者が、直接顧客とコミュニケーションを取るため、出社時間や休憩時間等も、各自の裁量で調整できる。チーム単位でプロジェクトを組むこともあるが、個人で動くことが好きな人には、一人でできる案件をアサインする。飲み会等もほとんどないので、ノンストレスで開発に集中できる。

「社員の多くが当社で働く利点として挙げるのは、“社長と社員の距離が近い”ことと“自由で働きやすい”ことです。一般にプログラマやエンジニアといえば、厳しい上下関係の下、過酷な労働を強いられるイメージを持たれますが、弊社にはそのようなことは一切ありません」（小川氏）。

これから採用する技術者は、まず個々のレベルに応じた業務からスタートし、目指すキャリアを定期的にヒアリングして、希望に合わせた経験を積んでいく。希望や適正によっては、顧客折衝を含めて上流から業務を任せる。技術力だけではなく、企画・提案力、調整力も磨いていける。“一つの言語にこだわらず幅広い技術を身に付けたい”、“何事にも自発的に行動できる”、そんな人材なら、活躍できる条件が整っている会社だ。