アクシスコンサルティング設立までの経歴は?
新卒では食品メーカーに就職し営業やマーケティングを経験しました。 また日本と海外の合弁会社でしたので、日本企業と比較し、人の動きの柔軟性は高く、また今後起こり得る社会課題にダイレクトにアプローチできる人材ビジネスの成長性に目を向け、ヘッドハンティングの会社に転職しました。 一定の社会人経験を積み、これからビジネスパーソンとして活躍する歳になって、一度立ち止まって自分の適性を考えました。ビジネスではヒト・カネ・モノが重要だといわれます。この三つの要素のうち「人材」に関する部分を仕事にしたいと思ったのが、人材ビジネス業界への転身の理由です。人がどんなことを思い、感じ、考えながら、日々を生きているのか。そんなことを考えるのが好きな自分には、人材ビジネス業界が適所だと考えたのも背景の1つです。 当時の人材ビジネス業界は、まだアーリーステージで、一部の企業や人が利用するサービスでありましたが、社会的な必要性、業界・ビジネスの可能性を大いに感じておりましたし、成長以前の業界だからこそ、やるべきことが山のようにあり、大変やりがいをもって仕事をしていました。 2000年頃からERPシステム等の導入やプロセス改善が進んだことで、大企業を中心にコンサルティング会社への需要が増加し、同業界の拡大期・成長期と重なったこと。また人材の流動化が加速していくという時代背景を捉え、コンサルティング業界向けの人材紹介事業をスタートしました。
アクシスコンサルティングを立ち上げた理由は?
前職の会社はハイエンドの人材をターゲットにしていたものの、技術系の人材紹介に特化していました。アウトソーシング、採用コンサルティング、フリーランス、兼業・副業等、人材ビジネスの可能性はもっと幅広いと感じ、人材紹介に限定しない会社を作りたく独立・起業しました。 私が前職にいた当時は、製造業からサービス業への労働力の移動が行われており、人材業界ではパラダイムシフトが起こっていました。その後の日本の労働市場は、ご存じの通り、労働人口の減少や労働力の構成が変化し、人材の流動化は進んでいますが、決して健全な形とはいえません。日本全体に不足感がある。都市と地方で労働力だけでなく、あらゆるものが偏在しています。 当社は昨年6月に「あらゆる課題は人で解決する」というコーポレートステートメントを策定しました。創業した2002年から当社は「人的資本」という言葉を使い、人をコストではなく富の源泉となる資本だという考えを広めてきました。人的資本の最大化・最適化・再配置に貢献する会社として、アクシスコンサルティングを立ち上げました。
人材紹介事業において、コンサルタント業界に特化したのは、なぜですか?
コンサルティング業界に着目したのは、あらゆる業界出身の優秀な人材がそこに集まっているから。人的資本の最大化・最適化・再配置をするには、人的資本が蓄積されている場所で存在感を示すことが重要だと考えました。コンサルティング業界に特化して約20年間、情報とノウハウを溜めた結果が、スキルシェア事業につながり、アクシスコンサルティングの理念実現に向けたチャレンジを、新たなステージへとステップアップさせることができました。 創業した頃の時代背景に、コンサルティング業界の構造変化があります。経営や会計のコンサルティングが主流だったのが、ITやデジタル化、今でいうDXの最初の波が起こっていました。コンサルティング業界も「ITコンサル」に経営の舵を切る会社がたくさんありました。業界の構造変化に伴い人材の流動性が増し、人材業界にとって大きなビジネスチャンスになると考え、ハイエンドの人材をコンサルティング会社へ紹介する、現在のアクシスコンサルティングのメイン事業がスタートしました。
2016年にケンブリッジ・リサーチ研究所を買収した経緯は?
ケンブリッジ・リサーチ研究所を買収して、コンサルティング会社で働く人材を事業会社へ紹介する道筋を持つことができました。ケンブリッジ・リサーチ研究所が約60年にわたり培ってきた人材ネットワークとサーチ能力により、CxO、マネジメント等のエグゼクティブ領域へコンサルティング会社経験者を広く紹介しています。 コンサルティング会社で経験を積み、スキルを伸ばした人材は、日本企業が直面してきた経営課題を知っています。取締役やCxOといった経営陣にコンサルティング会社の出身者を加えることで、企業は経営課題の解決を通して成長を加速させることができ、コンサルタントも活躍の場を広げられると考えます。
新規事業『コンパスシェア』を始めた理由は?
これまではコンサルタントが知識や知恵、そして何よりも経験を発揮する場は、大手企業に限られてきました。日本がより活性化するには、中小企業の経営課題の解決も進めなければなりません。スキルシェア事業を始めたのは、まさに中小企業にコンサルタントを活用してほしいから。そのために、アクシスコンサルティングがこれまでに培ったコンサルタントとのネットワークを最大限に生かし、「スポットコンサル」という新しいコンサルティングの形を創造します。 私が人材業界に身を投じた頃は、終身雇用の時代でした。直近の20年間で人材の流動性は高まり、「キャリアデザイン」なる言葉が一般化するまでになりました。今後は「ミッションベース」の働き方が加速すると考えています。日本の労働市場がシュリンクする中、課題解決や価値創造を成し遂げる人材が貴重な存在となっています。この問題を解決するのは、フリーランスや兼業・副業といった形で、貴重な人的資本をシェアすることです。人的資本の流動性を今よりも高めることで、個人の能力や才能を今以上に有効活用できます。企業にとっても、個人にとっても、そして社会にとっても、有意義だと思います。