異業界で経験を積んできた山﨑様が、貴社に転職した理由を教えてください。
入社を決断した理由は二つあります。一つ目は、DXがまだ進んでいない建設業界ではやれることが沢山あり、シンプルに面白そうだったからです。二つ目は、代表取締役社長の「建設業界全体を変えていく」という思いから本気度が伝わってきたからということです。 実を言うと、転職活動をしている時点では、建設業界に強い興味があったわけではありません。もちろん野原ホールディングスやグループ会社のことも知りませんでした。しかし、エージェントを介して野原と出会い、話を伺っていくうちに、アナログ中心の建設業界はデジタルに置き換える余地がかなり大きいと分かったのです。自分のこれまでの経験を活かせばかなり面白いことができそうだと感じました。何より、野原が自社だけではなく「業界全体を変えていく」という熱い思いを持っていたのが大きかったです。トップにその思いがあるなら貢献しがいがあると感じ、入社を決断しました。
入社後、どのようなことを意識し、組織作りに取り組まれたのでしょうか。
入社後に私が意識したのは、野原が実行したいと考える事業戦略をアクションプランに落とし込むということです。具体的には「BIM」と「データの重要性」を形にするために『BuildApp』というサービスを設計しました。 ただしこのクラウドサービスで儲けようという話ではなく、建設業界を変えることが目的です。その目的を達成するには、まず当社をはじめ野原グループの事業会社各社がDXを進めなければなりません。そこで『BuildApp』を各社の事業戦略と紐付けてもらうために、私はグループCDOとして各社の経営層と何度もコミュニケーションを図りました。 一方では統括部長として、建設DX推進統括部を立ち上げ、組織作りも進めました。この部門には「建設系」と「IT系」という異なるバックグラウンドを持ったメンバーが集まっています。組織としての力を発揮するには、両者の知見のバランスを上手く取りながら融合を図ることが不可欠です。
異なるバックグラウンドを持った方々を、どのように融合させたのでしょうか。
異なるバックグラウンドを持った両者の融合を図るには、結局のところ会話をするしかない、というのが私の持論です。そこで大小様々な合宿を開催しました。週末等にホテルを借りて会議を開き、意見交換をするのです。年度が切り替わるタイミングでは必ず行うほか、2~3カ月に1回は開催しています。 会議の場では、まず建設業界と当社の課題を全て洗い出し、参加者全員で議論します。そして「こんな世の中になったら面白い」という将来の構想まで出し合うのです。そうすると反対に現在足元にある課題についても解像度が上がりますから。 このように部門内の融合を進めてきましたが、合宿はより大きなレイヤーでも開催します。例えば、事業会社の経営層を集める合宿では、参加者がグループ戦略や各社の戦略について議論を交わし、意見を集約させます。そこでまとまった内容を、経営層が自社に戻って幹部や現場のメンバーに伝えていく上でとても有効です。
対話が根幹にあるのですね。それでは山﨑様の仕事観を教えてください。
若い頃からずっとサッカーをやっていたので、私はプロスポーツ選手にとてもシンパシーを感じています。あまり難しい理屈はこねず、「プロフェッショナルとして究めていくこと」に集中する。それが私にとっての仕事です。 スポーツであっても仕事であっても、自分の能力を究めようと決めた場合、「これで終わり」というゴールがありません。しかも、サッカーも現在の仕事も「チーム」「組織」の力が問われます。自分を磨くだけではなく周りのメンバーの成長を促す。その同心円上に、組織、会社、そして業界全体の成長がある。そう考えるとワクワクしますね。 プロとして自分の能力を究めるには、その仕事が好きであることが重要です。私は新卒でベンチャーに入社して以来、現在に至るまで、ずっと自分がやりたいことだけをやってきました。だから究めようと頑張れたという自覚があります。一緒に働くメンバーも、そんなふうに仕事も人生も楽しんでほしいです。
山﨑様にとって理想の組織はどのようなものでしょうか。
私の理想の組織は「動物園」ですね。ライオン、キリン、カバ、ナマケモノ…それぞれ全く異なる個性が集まった集団が、組織としての力を発揮すると考えています。みんな犬ばかり、猫ばかりの組織ではつまらないですよね。 その「動物園」的な組織の中で、まず20代の若いメンバーには、むやみやたらで構いませんから、「これがやりたいです、やらせてください」と主張してほしい。そして30~40代の中堅には、束ねるためのマネジメント能力を磨いてほしい。そう考えています。 束ねるために必要なのは、とにかく相手の話を聞くこと。私はよくメンバーに「5~10年後どうなっていたい?」と聞きます。そうすると、話していくうちに本人の将来像が8割方まとまったりするのです。こちらはじっと耳を傾け、残りの2割をアドバイスするのみ。このようなコミュニケーションが肉食動物も草食動物も束ねる力となり、良い「動物園」ができると思います。