東芝テックソリューションサービス株式会社

東芝テックソリューションサービス株式会社は、流通小売業の店舗で使うPOSシステムやワークスペースで使うデジタル複合機を開発・販売している東芝テックの子会社で、国内保守・運用事業を機能分社化した形で、POSシステムやオフィス複合機の導入、運用保守等を手掛ける。東芝テックは、東京プライムに上場している20年連続シェアNo1を誇るPOSレジのトップメーカーで、その製品を中心に、利用する人々が安心して快適に店舗やオフィスを利用できるよう日々支えているのが東芝テックソリューションサービスだ。

シェアNo1でい続けられるのは、同社の貢献によるところが大きいといえる。というのも優れた製品があっても、適切に運用する機能がなければ普及は難しいからだ。プロフェッショナルとして店舗に寄り添い、環境も含めて最適な状態で製品を導入し、稼働後の支援をしている。「POSシステムは、5年～7年の期間で入れ替えるものです。次も東芝テックを選定いただくには、システムが問題なく使えることに加えて、何かあれば迅速に対応するという日常的なサポートへの評価も大きいです。シェア1位には、製品・商品の良さもありますが、我々のサービスも大きく貢献していると自負しています」こう話すのは、取締役総務部長。

近年は、この店舗を支える運用力が評価され、東芝テック以外の製品の導入・運用・サポートを頼まれるケースも増えてきている。特定製品の保守会社ではなく、店舗の課題や困りごとに対してソリューションを提供するプロ集団として、同社は着実に存在感を増している。

POSは、目に見える姿は会計に使うレジシステムだが、購買に関わる様々な情報を収集し、お客様の基幹システムにも直結するネットワーク端末だ。データはクライアントの商品開発やマーケティング、売り場の最適化等に役立てられる。大量のセンシティブなデータを取り扱うため、当然ネットワークやセキュリティも重要であり、同時に会計業務を効率化させるための様々な仕組みも必要だ。求められることが多い上に、近年は決済方法や店舗運営方式も多様化。そのため、多くの導入・運用実績と蓄積されたノウハウを持ち、店舗の求める最適解を提供できる同社の優位性は、揺るぎないものとなっているのだ。

メンテナンスやマネジメントに留まらず、社名の通り「ソリューション」を提供する会社として、同社は1973年の創業以来、日本の流通業を支え、2023年11月で50周年を迎える。

コロナ禍で急速に現金による決済が減少したことは、記憶に新しい。流通の現場は目まぐるしく進化しており、その最前線にいるのが同社だ。役員からは「親会社の東芝テックは、POSシステムをただつくっている会社ではありません。サービスを提供する我々も一緒になって、流通に特化した現場に最適な様々な仕組みをつくり、事業を展開してきました。プロダクトありきではなく、お客様と共に歩みながら、ニーズ、シーズに応える製品を開発してきたのです」という話も。

例えばバーコードに位置情報を埋め込み、カートを通すだけで会計ができる仕組み等は、そのような進化の典型例だ。万引き防止、セキュリティー強化等も併せて仕組みをつくり、導入・運用する。「都市部のショッピングセンター、郊外の大型店舗、駅ナカ店舗等店舗の形態は様々です。お客様の感度は高く、最前線で接している我々の元には、日頃のコミュニケーションを通じて『こういうことができませんか』といった要望が寄せられます。その声、その期待に応えていくのです」と取締役総務部長。

これからも、同社は現場に寄り添って最適な仕組みを生み出す。BPOもその一つだ。もちろん一社で対応する話ではない。同社がハブとなって必要な機能を揃え、プロセス全てを最適化するようなサービスを、今後の方向性として考えている。

実績のあるワークスペースでのビジネスも拡大を狙う。既に、東芝テックとは無関係にコンペに参加し、大規模ビル全館のネットワーク、セキュリティー構築を受注した事例等もある。同社は得意の流通領域で事業を創造すると共に、流通以外の領域へと事業を広げていく。

お客様と近いことが当社の魅力だと思います。お客様からいろいろなＶＯＣを吸収し、我々は運用、サポートの立場ではありますが、その経験を商品にフィードバックし、より良い流通の現場をつくる。そこにやりがいを感じます。また、担当した店舗が見えることも嬉しいです。社員は、お子さんに『これは私がレジを入れたんだよ』なんて話をよくしているようです。私もつい、レジに行列ができてないかと見てしまうことがあります」と魅力、やりがいを語っている。インフラと聞くと鉄道、電気、水道等を想起するが、店舗網を支えるシステム、ネットワークも社会を支える重要なインフラだ。それを自分の手でつくり、維持する手応えは大きいだろう。

大きな店舗で一斉に導入や入れ替えを行うこともある。店舗が閉まった夜間に、担当チームだけでなく、社内中から応援に駆け付け、一致団結して作業を行う。「Z世代には流行らないかもしれませんが、厳しい中にもお祭り感があって楽しいです。」と振り返る声も。みんなでやり遂げる達成感、爽快感は変わらない。そんな現場仕事も楽しい会社だ。

50年超の歴史を持つ会社だけに、社歴30年以上の人材も多い。同社の仕事をにやりがいや面白さを感じ、長く続け、キャリアを積んでいく。現場は多様で、技術も日々進化する。仕事に飽きることはなく、むしろいつまでも学ばなければいけないことばかり。そして経験は確実に次の現場に生きる。一人ひとりが成長し、それに伴って会社としてのノウハウ、経験も厚みを増していく。現場で輝き続ける人もいれば、マネジメントやお客様への提案等にシフトし、力を発揮する人もいる。意欲ある人はどんどん仕事を任され、活躍する社風だ。

来て欲しい人材像は「パッションがある方」。「最後まで自分の仕事をやり抜く、成功させるという気持ちで仕事に取り組める方に来てほしい」という想いからそう考えている。世の中が目まぐるしく進化し、システムも複雑化する中で、お客様と対峙し、ハブとなる同社の役割はさらに増していくだろう。「サポートというと守りのイメージですが、我々がすべきことは、それだけではありません。新しい技術を取り入れ、外部のプロフェッショナルも巻き込んで、お客様が求める以上の提案もできるようにしたいです」そのためには、流通業だけでなく、世の中全般に興味を持ち、必要なことを習得していける人が向いているだろう。

創業以来、赤字になったことがない同社。地に足を着けて運用しつつ、その先を見据えてチャレンジもしてきたからこそだ。これからもその姿勢は変わらない。