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インタビュー画像経営企画室 室長 山本 修也氏 大学卒業後、外資系コンサルティング会社に入社し、デジタル活用による新規事業立案やコスト削減プロジェクトに従事。2018年、山本産業株式会社に入社。経営企画室 室長として新規事業の立ち上げや、バックオフィス業務のデジタル化を始めとした経営全般の推進に携わり、現在に至る。

ECを活用した新規事業や、バックオフィス業務のデジタル化を推進されています。前職時代に身に付けたスキルを生かされているのですか。

いいえ、前職時代に身に付けた知識やスキルは、あまり関係ないですね。 経営企画室として業務のデジタル化やECを活用した新規事業に取り組み始めたものの、前職時代に実務に携わった経験はなく、全て手探りでのスタートでした。 前職は戦略を検討する仕事でしたので、プロジェクトの進め方や、「何を決めるべきか」という論点の洗い出しなど、考え方が使える部分はあるかもしれませんが、知識面で過去の経験を生かせていることはほぼありません。 ですので、入社してから推進したプロジェクトは全てトライ&エラーを繰り返しながら推進しています。 新規事業も業務改革も、ビジョンに賛同してくれる社員と協力し合って進めています。 弊社は元々モノづくりの会社なので失敗を許容する文化があり、とにかくチャレンジしてみることを推奨しています。 考えながら走ることもあれば、考えてから走ることもあり、頭を使う仕事もあれば泥臭く仕事をすることもあります。 自ら業務範囲や進め方を制限せず、会社を発展させられることにはこれからも貪欲に挑んでいくつもりです。

御社の沿革を拝見すると、常に新しい領域に事業を拡張しながら発展されてきました。何かを変えることに対する抵抗も少ないのでは。

確かに弊社は歴史のある企業ですが、100年ほど前に綿織物業からスタートして、カーペット、床材、面材へと徐々に投資領域をシフトさせながら業容を拡大してきました。モノづくりでは、様々な分野にチャレンジしてきた経緯があります。現在創業から101年目ですが、モノづくりを価値の根源(What)と位置づけると、これからの時代はそれをどのように伝えていくかというHowとの2本軸で事業を発展させるフェーズを迎えていると思います。 しかしながら、新規事業もバックオフィス業務のデジタル化も、やはり長年やってきた習慣を変えることは難しいものです。一方でデジタルへの移行など新しいことに取り組むことは、私はドミノのようなものだと思っています。誰もが新しいことを始めるのは怖いものですが、一つ前に進められれば「そんなに難しくないね」という実感が持てます。そこから始まって、一人ひとりが使っていけば、「案外使いやすいね」という共通理解が生まれて、いずれは反対する人がいなくなっていきます。 今では世代を問わず使われるようになったチャットアプリのようなものです。家族が使っているのを見て、試しに自分も使ってみて、スタンプを押したりしている間に、どんどん輪が広がっていって、いつの間にかアプリでしかやり取りしなくなる。「難しく捉えないで、チャットアプリみたいなものだと思って、1回使ってみてください。それで使えなければ諦めましょう」という感じで働き掛けながら推進してきました。

D2C事業をスタートしたのは、流通の構造を変える意図がおありだったのでしょうか。

いいえ。既存の流通構造を変えたり、価格破壊を起こしたりすることは、私達の狙いに一切ありません。むしろ、これからも既存のお客様と一緒に成長していきたいと考えています。ただ、我々のように生産機能を持ったメーカーにしか取れないリスクがあるとは思っています。そのリスクを自社で取りながら、これまで以上に最高レベルのデザイン力と技術力を形にした製品をお客様にお届けしたいという考えており、D2C事業をスタートしました。 たまたま手段としてECが効率的であっただけであり、実店舗を構えた小売や、卸商社を通しての提供が適しているのであれば、それでも全く構いません。 自社が前に出ることが目的なのではありません。我々が持つデザイン力や技術力を生かせば、より良いものを作れる自信がありますので、あくまでそれを提供することが目的です。 本当に良いモノづくりができれば、それをお客様に提供する手段は、ECに固執する必要はありません。オンラインかオフラインかは問わず、どの手段でもお客様に提供できることを目指しています。ただし、現段階ではデジタルを活用することが最も理に適っています。逆にそこを避けて通ることが難しい時代ですので、まずはWebマーケティングに注力しているところです。

御社は100年の歴史を持つ企業として、引き継ぐべきところはどのようなところだとお考えですか。

モノづくりへのこだわりと、既存のお客様への丁寧な対応です。新しい事業に取り組むことで、既存のお客様のビジネスを邪魔するようなことはしたくありません。バックオフィス業務のデジタル化に関しても、社内の効率だけを追求するのではなく、手間はかかったとしても、お客様に喜んで頂けるような対応はこれからも維持したいと考えています。 当社は、中小企業でありながら、モノづくりに関しては自信があります。その部分は今後も維持していきたいところです。また、その実力があるからこそ、新しい事業を立ち上げられました。そこで得たものを社内にフィードバックしていくという良い循環を作っていきたいです。それが“WhatとHowの両立”です。D2C事業を通してお客様から得たフィードバックを基に新しい投資をして、さらに良いものを作れるようになるという好循環を生み出すことが重要だと考えています。 また社内のデジタル化についても、これまでの強みを更に強化できると考えています。例えば、より柔軟に生産計画を変動させたり、一つの取引のリードタイムを短縮できるかもしれません。これまでの100年で培ってきたことをベースに、より多くの価値を生み出せるようにこれからもスピード感を持って取り組みたいと考えています。

今後の組織作りに関して、ビジョンをお話しください。

継続して成長できる組織を目指しています。長年、事業を続けていれば、世代交代は避けて通れない課題の一つです。これまで業界そのものや、会社をリードしてこられた先輩方が築いたものづくりの技術やノウハウを受け継ぎつつ、新しいことにも積極的にチャレンジしていきたいです。良いものは残しながら、新しく取り入れるべきものは貪欲に取り入れ、利益を追求しながら、お客様に新しい価値を提供する“守破離”の考え方を軸に、事業を展開していきたいと考えています。 当社は今、過渡期にあります。それは、長年在籍するメンバーも理解しており、新しい事業環境に適応し始めています。その一方では、昔ながらの温もりのある社風は根強く残っており、雰囲気の良い職場が保たれています。これから入社される方も、伸び伸びと仕事ができる環境だと自負しています。それぞれの立場で、企業成長の一端を担っていく意識を持ち、積極的に関わっていただければ嬉しいです。

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