株式会社Liblock

安定経営で“潰れない中小企業”を目指し、堅実なビジネスを続けているシステム開発会社がある。2015年に設立された、株式会社Liblock（リブロック）だ。SES事業をメインとしている同社のエンジニアは、現在三つのクライアントの現場で働いている。

三つのクライアントのうち、二つはエンドユーザーの直請け。大手商社系列のカーリース会社と金融系の大手法人。残る一つも大手ユーザー系SIerの現場。一般的なSESとは少しビジネスモデルが異なるのは、三つのクライアントの現場にしかエンジニアを送らない点だ。それぞれのクライアント内で複数のプロジェクトはあるが、常駐先はこの三つのクライアントに限っている。

「当社は“潰れない中小企業”を目指しており、やみくもにエンジニアを増やして、どこかの案件に送り込むSESとは、やり方が少し異なります。潰れないために『太い顧客作り』を優先しています。クライアントを三つに絞っているのは、信頼関係に裏打ちされた長い取引関係を築ける会社を選んだ結果です」（古原氏）。

不景気になって最初に切られるのは、一人エンジニアを送っているSES会社だろう。同社のように10人単位でエンジニアを送っていれば、クライアントも簡単に取引を止めるわけにはいかない。結果、長期の取引に繋がり、安定経営が実現する。

「クライアントも一社ずつ積み上げてきました。最初は当社代表が長く付き合いのある、大手商社系列のカーリース会社。その後、大手ユーザー系SIerとの取引が始まり、今は金融系の大手法人の現場を開拓中です。そろそろ4社目となるクライアントを探そうかというタイミング。それに合わせてエンジニアの増員も計画しています」（古原氏）。

クライアントからの信頼を築くのが、同社の営業スタイル。そのため、SES事業以外にも、Web制作をはじめ、名刺やカタログ作成、映像制作を手掛ける「デザイン事業」と、紙媒体のカタログをデータ化する「データ入力事業」も展開している。

「クライアントのニーズに合わせて、当社ができることは何でもします。そのために、クリエイティブ事業本部とBPO事業部を設立して、デザインとデータ入力を手掛けられる組織体制にしました。当社のクライアントの仕事をメインにしながら、空いたリソースで他社の案件を手掛ければ、売上の拡大にも繋がります」（古原氏）

慢性的にエンジニアが不足しているIT業界にあって、同社は未経験からのエンジニア採用にも積極的な姿勢を見せている。そのために受託開発を増やして、経験の浅いエンジニアを実戦で育てられる環境を整えようとしている。

ただ、SES事業から受託開発事業への全面的なシフトは計画していないという。

「SES事業よりも受託開発の利益率が高いので、多くのシステム開発会社はSESから受託開発にシフトしようとします。当社は、エンジニア育成のために受託開発を手掛けていますが、メイン事業はSES事業だと考えています。受託開発も景気に左右されるため、当社が目指す“潰れない中小企業”には、不向きな事業だと考えます」（古原氏）。

“潰れない中小企業”を目指して「太い顧客作り」を意識して経営している同社。同社エンジニアが参加するプロジェクトは、どれも商流が浅い。SESで働いた経験があるエンジニアなら、商流が浅い案件のメリットは、承知しているだろう。

エンドユーザーに近いポジションでの仕事になるため、開発の全景を見渡せることができ、意見を言える機会もあり、モノづくりの楽しさ・やりがいを感じながら働ける。要件定義や基本設計といった「上流工程」に携わることができ、エンジニアとしてスキルアップが望める。

「上流工程から参加できるのが、エンジニアが当社で働くメリットだと考えます。プログラムやテストといった下流工程の仕事だけでは、高いバリューを発揮するのは難しく、エンジニアが稼ぐには上流工程のスキルを付けるのがベストな選択だと思います。プログラミングのスキルがあれば、フリーランスや高還元SESで稼ぐ道もあると思いますが、長い目でキャリアを見れば、プログラマーで稼ぐのは限界があると当社では考えています」（古原氏）。

フリーランスのプログラマーは、稼げると言われている。しかし、いつ仕事がなくなるか分からない不安定な環境で、営業も経理も全て自分でやらなくてはならない。エンジニアにとってのコア業務に集中したいなら、システム開発会社に所属する安定した環境は魅力的だ。

「SESの現場へは基本的にチームで入るので、IT業界で経験を積んだ人材には、経験の浅いエンジニアの牽引役も期待しています。未経験エンジニアの採用も積極的に進めているので、彼らを導いてくれるミドルクラスのエンジニアを必要としています。マネジメントのスキルがあると、エンジニアの収入はさらに上がります。他社での経験を生かして、当社でITエンジニアとしてキャリアアップを実現してください」（古原氏）。

スペイン語で「自由」という言葉をもじった社名の通り、同社はエンジニアが主役になれる、自由でフランクな社風を持った会社だ。人と人との結束力を大切にし、チームのコミュニケーションを大事にしている。

同社の代表もエンジニア。現在も開発の最前線で活躍しており、クライアント先で働いているという。

「SI業界にありがちな体育会系のノリがない真面目な会社です。確実・堅実・安定といった言葉が似合います。だからといって堅苦しいところはなく、社長を筆頭にみんなフランクです。気さくでポジティブに物事を考えられる・自分以外の人間に興味や好奇心がある・思いやりがあり、空気を読める。そんな人達が集まっています」（古原氏）。

エンジニアの頑張りを正当に評価するのも忘れない。特に、プロジェクトに対する貢献度を査定に盛り込み、単なる技術力や単価で給与や賞与を決定しない。

「クライアントから信頼されて、プロジェクトを大きくしたエンジニアには、相応の評価をします。インセンティブ制度はありませんが、エンジニアが出した結果には給与と賞与で応えたいと考えています。当社の社長よりも高給取りのエンジニアが在籍していますし、当社に転職して給与が2倍になったエンジニアも数人います」（古原氏）。

加えて、安定経営を基本としているため、経営基盤も万全。向こう1年間仕事がなくても、自社エンジニアを養える資金を社内にプールしている。

「高還元SESのように、何でもかんでもエンジニアに還元するスタイルではなく、会社としてエンジニアを守るのを最優先に考えています。“潰れない中小企業”を目指しているのも、自社エンジニアを守るためです。安定した会社で働いて、安心して暮らせる豊かな生活。そんなエンジニアの素朴な夢を実現する会社でありたいと考えています」（古原氏）。

年収1,000万円。エンジニアなら夢見る数字だろう。Webサービスの開発で一攫千金を狙うのではなく、スキルを磨いてステップアップを繰り返し、クライアントに価値提供できるSIエンジニアになって、夢の年収1,000万円を実現する。同社は、そんな大きな夢を叶えられる会社かもしれない。

「派手さのない地味なシステム開発会社ですが、人は良いですし、エンジニアの頑張りを正当に評価して還元していく方針です。同時に“潰れない中小企業”を目指して、経営基盤をどんどん強固にしていきます。SIerで上のポジションが詰まっており、キャリアアップが停滞気味のエンジニアも歓迎。みんなで“潰れない中小企業”を作って、豊かになりましょう！」（古原氏）。