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インタビュー画像代表取締役CEO 永岡 里菜氏

『おてつたび』はどうやって生まれたのですか?

私が生まれたのは三重県尾鷲市(おわせし)というところで、東京からだと車でも電車でも6時間くらいかかる漁業と林業の町です。著名な観光名所はないため、観光ではなかなか人に来てもらえない場所です。また、他の地域と同様に少子高齢化や過疎化等のいろいろな課題も抱えています。 では、そのような地域が無くなっても良いのかというと、もう少し違う選択肢があっても良いと感じています。日本全体が観光立国を推進する中、都市ではない地域の魅力が残っていくことは次世代にとってとても大事だと考えたときに、何かできる事は必ずあると思ったのです。 尾鷲のような「どこそこ」と言われがちな地域にスポットライト当てるにはどうしたらよいかを考えるにあたり、東京に住んでパソコンを見ているだけでは課題も分からないと思いました。それでスパッと会社員を辞め、覚悟を決めて東京の家も解約し、夜行バスを駆使して一人でいろいろな地域を巡ることにしたのです。 あちこちを巡って分かったことは、いろいろな地域が「季節的な人手不足」という課題に直面していることです。例えば「収穫の時だけ人がいてくれたら助かるのに」という声が多い一方で、地域の特性上、収穫の時期や繁忙期は同じなので皆忙しい。ただでさえ人が少ないのに、人手の取り合いです。 私自身がお手伝いをしながら地域の魅力を地元の人たちから教えてもらう中で感じたのは、「一緒に働くってすごく尊いな」ということでした。かつ、人手不足は見方を変えたら「人と人が出会えるチャンス」でもある。 私がやったお手伝いは、季節労働や出稼ぎ、住み込みバイといった言葉で表現されますが、私が感じた尊さや得られた経験と、その言葉にはちょっとギャップがあるなと思った時に、もう少しリブランディングして、カジュアルにいろいろな人が地域に関われる仕組みをつくれないかと思いました。それで始めたのが『おてつたび』なのです。 おてつたびは地域の人手不足の解消もされますが、「どこそこ」と言われがちな著名な観光名所がない地域にも「お手伝い」という新しい旅の目的地を作ることにより、まずは人が訪れる仕組みを提供しています。そして、お手伝いを通じて地元の方から地元の魅力を教えてもらい、その地域を好きになって帰る世界を目指しています。 また、観光名所がない地域ほど交通の価格競争が起きにくく旅費が高騰する傾向が高いのですが、お手伝いすることによって得られたアルバイト代で旅費をその分軽減する事もできるので行きやすくなります。私たちは日本各地の著名な観光名所がない地域にも当たり前のように人が訪れファンになって帰る、そんな新しい旅のあり方を作りたく日々サービスをブラッシュアップしています。

永岡さんは昔から経営者になりたかったのですか?

全く考えていませんでしたね。そもそも私はそういうタイプではないと思っていたのです。 それでも自分で『おてつたび』を立ち上げたのは、勝手な使命感です。「どこそこ、と言われがちな地域も凄く面白いのに、みんな気づいていないのでは?!私が伝えないと」と勘違いしたんだと思います。今から思えば、他にも気づいている人はいると思うのに、その時はそれしか考えなかったです。とにかく何とかしたかったのですよね。 実際に経営者になってみて感じたのは、「日々、嬉しいことも大変なこともいろいろと降ってきて、飽きない!」ということですね。ありがたいことに創業5年でいろいろなメディアにも取り上げてもらえて、注目していただき、どんどんフェーズを変えながら事業をやってこられています。そしてその都度、課題が出てくる。「さっき解いたのに、また問題が出てきた!」の繰り返しです。 私は学生時代からテストなどで難易度が高い問題が出れば出るほどワクワクするタイプだったからか、今の未知なものを経験しながら、どうやったらそれを乗り越えられるかを考えるのが楽しいです。同じことを続けるよりも、知らない世界を知ることの方が好きからか「日々色々な刺激をもらえているな」と思います。

仕事をする上で大切にしていること、心がけていることは?

創業して1年半は社員0名だったからこそ、分かっていることがあります。それは「私一人では出来る事が少ない」ということです。一人でできることの限界を痛感しています。 だから、チームをどうつくっていくか、チームでどうやって力を合わせるか、チームが働きやすいかたちを整えるにはどうすればよいか、といったことを考えるのが大事だと思っているのです。「皆で戦っていくのだ!」という気持ちは常に持っています。 あと、弊社はビジョンが明確な会社でもあるので、その思いは絶対にブレないようにしたいといつも考えていますね。つい先日、創業したばかりの頃にお世話になった方とお会いしたのですが、「昔と言っていることが何も変わっていなくてびっくりした」と褒めていただいたのです。周りの方の声を聞きながらやり方はチューニングはしつつも、根底のビジョンはブレずに目指す事を大事に考えています。 と言っても、ビジョンだけでは会社は継続しません。渋沢栄一さんの「ロマンとそろばん」、二宮尊徳さんの「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である。」の言葉のように、両輪を回す覚悟が大事だと考えています。弊社も創業当初から、「ソーシャルインパクトの最大化」と「ビジネスとしてのスケール」の両輪を回す事を大切にしながら会社経営をしています。そのような意識を持ちながら、次世代に残るべくサービスにしたいと思います。

座右の銘や、尊敬する経営者は?

座右の銘は「大切な人を大切にする」です。自分の周りですら大切にできない人は、それ以上の人を幸せにする事が難しいと考えています。まずは自分自身が家族や社員を大切にする事が、結果的に『おてつたび』に関わっていただく人たちも大切にできることに繋がると信じています。大切にするという言葉の定義は色々あると思いますが、私の中では「向き合うことから逃げない」という要素が強いです。なので、相手にとっては耳が痛いことでも伝えた方が良いことは丁寧に伝えますし、その人にとってのベストな環境を一緒に考え抜きたいと思っています。 理想とする経営者は、稲盛和夫さんです。稲森さんの「動機善なりや、私心なかりしか」「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」など好きな言葉が多く、おてつたびもそういう会社にしていきたいです。会社は人がつくっていくものだからこそ、私自身もおてつたびに集まってくれた一人ひとりと向き合いながら、私自身も人間力をしっかり磨いて世の中に誇れる会社にしていきたいと思っています。

オフの時はどんなことをしていますか?

正直なところ、オンとオフをあまり分けないかもしれません。おてつたびのことを考えない時はないですし、一生そうだと思っています。自分の好きなこと・興味のあることが仕事になっているので、いつも「もっとこういうことができないかな」みたいなことを考えています。 知らない世界を知ることや学ぶ事が趣味のような感じなので、本屋に行くのが好きで、休みの日によく行きます。本屋に行くと知らない世界がどんどん広がり「もっと、これも知りたい!」という好奇心が湧いてきてワクワクします。知らない世界がまだまだ世の中にあるのは幸せだなとよく思います。スポ根漫画も好きなので、ハマると没頭していることも多いです。少し前は、サッカー漫画の「アオアシ」を一気読みしていました。 あとは歩くのが好きなので、街並みを眺めながら「どんな人がどんなふうに暮らしているのだろうな」などとぼんやり考えています。そんな、素朴な休日をよく送っています。笑

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代表取締役 永岡 里菜
日本各地にある本当にいい人、いいもの、良い地域がしっかり評価される世界を創りたいと思い、おてつたびを創業しました。地域が100年続くインフラを一緒に作りましょう!
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