システマ株式会社

システマ株式会社は、2019年4月に設立されたITソリューション・システム開発企業。システムインテグレーション事業、ネットワークインテグレーション事業、システムエンジニアリング事業を展開しており、中でもネットワークインフラ、セキュリティシステムのコンサルティング、設計、構築の領域を得意としている。

同社は、短期間で順調に成長を遂げてきたが、その理由の一つとして、クライアントに大手企業が多いことが挙げられる。具体的には大手企業との直接取引実績が多く重ねられている。規模が大きく安定したプロジェクトに、マネジメントや要件定義といった上流工程から参画し、確かな足跡を残すことでステップアップしてきたのだ。

同社が順調なスタートを切ることができたのは、設立の経緯とも関係が深い。現在、代表取締役を務める山田喜之氏が以前エンジニアとして在籍していた会社で、あるクライアントからのリクエストを「リスクが大きい」と判断、応じない方針を打ち出したことがあった。山田氏はその際、この案件を引き取る形で円満独立し、クライアント案件の一部を元の会社に流すことで課題を解決したのだ。

このクライアントは、今も同社の主要取引先の一つ。人と人、人と会社の繋がりを大切にしていることに加え、コンサルティング的な視点から案件に対応できることが同社の強みとなっている。

「システム開発やネットワークやセキュリティを得意ジャンルとして活動する中で、様々な繋がりができ、そこから新たな顧客が増えてきました。当社の明確な“強み”というと正直なところよく分からないのですが、まず、お客様が良いこと、そしてメンバー一人ひとりが頑張ってくれていることが大きいと考えています」（山田氏）。

現在も少人数ながら適材適所で、各メンバーに裁量を与え、常にトップと話し合いながら会社の方針を決めていくしなやかなスタイルを採る同社。クライアントとも良好な関係を保ち、より大きな組織へと進化しようとしている。そのためには、同社のマインドを理解する新たなメンバーが必要なのだ。

同社の成長戦略は「人」。クライアントの多くが大手企業ということもあり、まず“顧客としっかり付き合える”レベルの組織にしたいと考えている。同社の場合、これまでの成長スピードが速かったこともあり、体制が追い付いていない面があるという。

「成長プランの一環として、新たな人を採用したいと考えています。組織を大きくすることで売上を拡大したいですね。取引先に大手企業が多いので、クライアントとしっかり話せるよう、まず、組織の基盤を固めていくことを重視しています」（山田氏）。

既に組織としての足腰づくりには取り組んできた。前述したように、小さい組織にありがちなトップに権限が集中することを避け、意識的に個々のメンバーにキャリアプランや希望に応じて役職や裁量を与えている。既に営業担当等で活躍し実績を上げているメンバーも多い。

「メンバー一人ひとりを大切にして、私が持っていたものをメンバーに引き渡したいと常に考えています。そうしないと組織が拡大できなくなるからです。大きな柱を立て、強固な組織をつくり上げてから、新しいことにチャレンジしたいと考えています」（山田氏）。

AI等想定している領域はあっても、次の挑戦テーマはあえて具体的にしていない。なぜなら、まず組織の基盤固めに集中することを優先し、それから次のステップをメンバー全員と話し合って明確化することを考えているからだ。つまり、これから入ってくる新メンバーの意見で会社の方向性が変わる可能性もある。山田氏が、同社独自の業務体験をメンバーにしてもらいたいと考えていることが影響している。

「普通にエンジニアとして活動していたり、一般的な企業で働いていたりしたらできないような業務体験、仕事経験を当社でしてもらいたいと思っています。そして、一人ひとりの考え方を大切にして、それぞれの思いに応えていきたいです」（山田氏）。

同社ではメンバー間での対話を何よりも重視しており、成長戦略の基本を「人」に置いているのである。新たに加わるメンバーは自らがやりたいことを形にして社内で新たに部署を立ち上げたり、リーダーになったりする可能性が高いという。

同社では、エンジニアが働きやすい環境づくりにも積極的に取り組んでいる。現時点では小さな組織だが、既に総務担当のメンバーを配置し、一人ひとりの事務等の負担を小さくする体制に移行した。また、ハイスキルのエンジニアが創造性を発揮できる場であると同時に、仮に未経験であっても意欲があれば学びを支援したり、迎え入れたりする体制も整えている。

分かりやすいのが教育面。設立から日の浅い同社だが、社員のスキルアップ教育を重視。パートナー企業と提携し、3カ月の教育プログラム（ITインフラ研修等）を導入した。同社WEBサイトでカリキュラムの一部を紹介しているが、非常に充実した内容だ。具体的には、コンピュータやネットワーク基礎から始まり、最終的に総合開発演習まで行う本格的なもので、未経験であってもしっかり学べる実践的な研修となっている。実際に入社後、教育プログラムでスキルを得て、すぐに現場で活躍しているエンジニアもいるため大好評とのこと。教育プログラムについては今後、さらに拡充していく予定だ。

基本的にメンバー一人ひとりの意見を取り入れる経営スタイルを採っている同社。代表が全てを決めることはなく、全てメンバーと話し合いながら決めていく。そんなスタイルから、採用に当たってはコミュニケーション能力を重視しているという。寡黙であっても、必要なことをしっかり話し、伝えられることが大切だと考えている。

社内は月並みな表現だが「和気あいあい」という言葉がピタッとハマる雰囲気。プロ野球について雑談する機会も多いそうだが、好きなチームはバラバラだそうだ。山田氏は「業務面でも福利厚生面でもいつかプロ野球に関わることができたら面白い」と話す。今後は野球にかかわらず社内行事を増やしていく意向も持っている。

「抽象的ですが、私は“面白い人”と一緒に働きたいと思っています。いろいろな面で成長していきたいという方と他ではできない業務体験を重ねて、一緒に組織を大きくしていきたいですね。余談ですが、野球が好きな人だったらすごく嬉しいです。当社は良い意味で“力みがない組織”だと思うので、興味を持った方は気軽に声をかけてください」（山田氏）。