株式会社rexcornu

株式会社rexcornuは、2023年4月にエンジニア調達の課題解決を支援する新サービス『TechMatch』をリリースした。近年はエンジニア不足が深刻化し、自社ニーズに即した人材の確保に多くのIT系企業が苦労している。そのため、システムに技術や開発経験等の条件を入力すれば、条件を満たした人材がピックアップされるAIマッチングサービス等、支援するサービスがいくつも誕生している。

ただ、『TechMatch』は、経歴や技術といった表面上の条件マッチングだけのサービスとは一線を画す。システムに加えて「ヒューマン」の要素を加えることで、より精度が高いマッチングを実現しているところに特徴がある。
「最初に30分ほど時間を頂き、当社のリレーションシップマネージャーがヒアリングを通して、お客様が必要としているエンジニア像を深掘りしていきます。例えば、お客様が設定しているプロジェクトのゴールと、そのために必要と考えているエンジニアの条件が必ずしも合致しているとは限りません。リレーションシップマネージャーであれば、豊富なITコンサルティング経験を基にお客様の潜在的ニーズまで踏まえた上で、プロジェクトに最適なエンジニア像を解き明かして提案することができます」（代表取締役・上村健一郎氏）。

とはいえ、能力が必要十分であっても、実際プロジェクトにアサインされた際に活躍できるとは限らない。そこに「ヒューマン」の要素が関わってくると上村氏は続ける。
「チームで行う開発プロジェクトであれば、コミュニケーション力が問われます。お客様先の社風に馴染めなければ実力を十分に発揮できないかもしれません。エンジニア当人の仕事に対する価値観等の人間性が原因で、お客様との関係がギクシャクすることだってあります。『TechMatch』では、そんなヒューマン要素にまで踏み込んでエンジニアの人選を行い、提案しています」

提案するエンジニアは、2,000社を超えるパートナー企業、エンジニア数1万5,000人超の中から選定。その精度の高さは、クライアント企業から寄せられた「エンジニア調達までの時間が大幅に短縮できた」、「エンジニア調達の負荷が軽減できた分、プロジェクト管理等の本来すべき業務に集中できるようになった」といった声からも推し量ることができる。
「従来のマッチングサービスでは、業務を行う段階で技術に乖離がでることも珍しくなく、再度調達し直す手間が担当者の負担になっていました。『TechMatch』は質は担保しつつ、その手間を8～9割削減できる点に高い評価を頂いています」（上村氏）。

同社が『TechMatch』サービスを立ち上げることができた大きな理由の一つが、エンジニアのアウトソーシングも含めたプロフェッショナルサービス（トータルITコンサルティングサービス）事業を手掛けていたからだ。この事業を通じて、数多くのパートナー企業、アクティブなエンジニアとの繋がりができていたこと、技術提供先やコンサルティング先のクライアント企業からはエンジニア調達の様々な課題を聞いていたことが、サービスの優位性に繋がっている。

『TechMatch』とプロフェッショナルサービス事業との親和性を生かしながら各々の事業成長を図る一方、『TechMatch』に続く新たなプロダクト開発も進めている。リリース前であるため詳細は明かせないが、取締役CEO・亀岡創氏は「人と仕事と地域の間にある物理的な距離や心理的距離等を超えて繋がり合える新しいサービスになる予定」だと話す。

また、新たな事業という意味では、教育・育成事業にも取り組んでいく予定だ。
「若いうちから海外のIT系企業の状況に触れてきた人は、日本の先を行く欧米の考え方を自然に吸収していることが多い。例えば、海外では新しいサービスに必要なプロダクトは自社で開発するのが当たり前ですが、日本ではサービス会社とSI会社が別というのが普通です。そして、両社では求められるエンジニアのあり様が異なります。サービスを強く意識しながら開発するのと、サービス会社の指示通りに開発するのでは必要な知識も違ってきます。この一点だけでも、必要とされるエンジニアが変わってくることは想像できるはずです」（亀岡氏）。

そのため、学生を中心に日本と欧米の差に触れ、実践的な教育を通してこれからの時代に求められるエンジニアに必要な考え方やスキルを学べる機会をつくっていきたいのだという。

このような格差をなくしたいという発想は、同社のミッション“人びとの努力に光を当て新しいフェアネスを創る”からきている。
「裕福な家庭やそうでない家庭等、生まれや育った環境による格差はどうしても存在します。しかし近年、この格差が広がっているように感じられてなりません。でも、社会人になってからは、そのような生まれや育ち等に関係なく、正しい方向で努力を重ね、成果を出したのなら、大企業や中小企業、個人事業主といった立場は関係なく、同じように評価されるべきだと思うのです。それが公平な世の中ではないでしょうか」（亀岡氏）。

実は、『TechMatch』にもこの公平性という考えが反映されている。エンジニアリングの世界は元請けの下に二次請け、三次請けと多重請負構造になっているため、優秀なエンジニアであっても下請けの立場では能力や成果に見合った評価・報酬を受け取りにくい現実がある。
「『TechMatch』は、このような中間マージンが極力発生しない形でクライアントとエンジニアを結び付けるサービスで、エンジニア、お客様、当社メンバーのみんながwinを得られる状態をつくっていきたいと考えています」（上村氏）。

同社がミッションとともに大切にしているのが、ビジョンとして掲げる“テクノロジーを介して 人と仕事と地域の距離を縮める”ことだ。ここには上村氏の地方創生に対する思いも込められている。
「エンジニアの場合、リモートワークが広がっていて地方にいながら東京の案件に携わることが可能になっています。そのため、『TechMatch』でマッチングの機会を提供できれば地元にいながら“やりたい仕事”や“能力に見合った仕事”ができるようになります。そうすれば地元に人が根付くように。また、現状、マッチング対象となる案件は東京にあるクライアント企業のものが中心ですが、地方の企業の案件も増やしていければ、地方経済の活性化にも貢献できるようになるはずです」

同社はミッション・ビジョンを言語化する際、その実現のための行動指針をまとめた。現在では、その内容が社風に結び付いている。例えば、“一つのチームになる”。これは自分さえ良ければいいという考え方ではなく、自分が得たものを仲間に渡していき、チームとしての総合力を高めていこうという考え方だ。
「“ファーストペンギンになる”というものもあります。危険を承知でエサを求めて最初に海へ飛び込むペンギンのように、新たなことへトライしていく気持ちを大切にしてほしい。実際、メンバーの中には営業アシスタントで入社したものの、現在は人事労務に挑んでいる人やプロダクトマネージャーに挑戦している人もいます」（亀岡氏）。

そのほかにも、やり遂げる責任感や有言実行力を大切にするコミットメントを意識して取り組むことや、変化の激しい現代で後れを取らないよう、絶えず自分を進化・変化させること等も行動指針となっている。
「そして何よりもフェアネスを重んじる意識が、社内には浸透しつつありますね。そのため、これから仲間に加わる方には、ミッション・ビジョンや行動指針に共感してくれる方であってほしいです。こういう基本的な考え方を共有・共感できていると、入社後、お互いに同じ方向へ歩めると考えております」（亀岡氏）。

フェアネスを重んじると聞くと堅苦しい会社なのかと思う人がいるかもしれないが、社内の雰囲気は逆だ。上村氏が周りを楽しませるのが好きなタイプで、厳しい内容の会議であっても、どこかで必ず笑いが沸き起こるような明るい社風だ。

「『TechMatch』をリリースしたばかりですが、次の、さらに次のプロダクトの準備も進めていますし、教育事業等の新たなビジネスにも挑戦していく予定です。全ては、公平で人と仕事と地域の距離が大きく縮まる世界の創出に繋がるビジネスでもあります。そこに共感し、面白みを感じてくれる人をお待ちしています。一緒に成長していくことで自分を高め、社会に変化を起こしていきましょう」（亀岡氏）。