株式会社オルトス

システムに関する開発・運用・保守業務に加え、コンサルティングを事業内容として掲げる株式会社オルトス。2002年の設立から現在にいたる約20年間、同社は金融業界の企業やメガバンク、大手携帯電話キャリアをクライアントとし、社内の基幹システムを手掛ける活動によって成長を続けてきた。開発サービスは、SES、受託開発という2つの軸で事業を展開し、前者が収益の約6割を占めているというのが、現在の同社の姿である。

これまで、クライアントからの依頼による開発業務だけではなく、自社サービスも手掛けてきた同社。オンラインミーティングの日程調整からURL発行までを簡易化するWeb面談予約システム『MEETUS』という自社プロダクトもリリースするなど、独自のサービスも展開しながら、同社では新たな価値提供を可能にする取り組みも積極的に行ってきている。直近の取り組みとして挙げられるのが、メーカーとの協業による“血液検査の検体装置に関するシステム構築”という新規プロジェクトである。2023年7月に同社の代表取締役に就任した金山雄介氏は、このプロジェクトに関して次のように説明する。

「プロジェクト開始に際して、実際に機器の製造現場を見学したのですが、リアルな“モノ”をつくる手触り感に大きな魅力を感じました。私たちの業務は、ソフトウェアやWebサービスの開発が中心なので、その手触り感というものはなかなか感じられないものですが、製造現場でメーカー側の機械エンジニアと当社のエンジニアが熱量高く語り合う姿を見て、このプロジェクトを当社の事業の軸として育てていきたいと考えるようになりました」（金山氏）。

機器の製造現場で、機械・ソフトを担当する双方のエンジニアたちが、気さくに意見を交換する雰囲気に触れた金山氏。その熱量の高さに事業成長の可能性を感じたことから、金山氏は自社の注力事業とすることを決めたのである。

「システムの構築、保守といった取り組みだけではなく、リアルなプロダクトの展開に寄与したい、その成果によって日本という国を支えるような事業に注力していきたいと、当社では考えています。そのスタートの段階からコアメンバーとして参画する人員を強化したいという思いから、今回の人材募集を行うことになったのです」（金山氏）。

新規プロジェクトである医療機器システムの開発プロジェクトへの注力に加え、金山氏は今後の同社の事業展開について次のような思いを語っている。

「企業規模の拡大を目指す上では、今後10年間でメンバー数を現在の3倍にするというのが私のイメージです。収益に関しては、SESや受託開発など既存事業の成長によって経営基盤を強固にしながら、新たなサービス開発にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。これも5年から10年というスパンを見据えていますが、“起業家マインド”を持つメンバーの意見やアイデアを取り入れながら、自社サービスを確立していきたいというのが私の考えです」（金山氏）。

金山氏は、システム開発事業の業界には、発注元から元請け、一次請け、二次請けといった、ある種の「階層」があると語る。その仕組みから脱却し、独立した開発企業としてやりたいことをやる仕組みをつくりたいというのが、金山氏の思いなのである。そのチャレンジの先に見えるのが、同社がビジョンとして掲げている「当たり前を変えて、より良いものを生み出しながら創り上げる未来」なのだということだろう。

「やりたいことをやるための投資を実現するために、まずは既存事業によって土台をつくる。そして、新しい事業開発を進めていく。その考えはメンバーたちにも伝えていますし、その思いを受け取ったことでエンジニアたちの動きにも変化が出てきていると感じています。SES事業においても、1人の作業員として言われたことだけをやるのではなく、プロジェクトにおいてどういう立場をつくっていくべきか、という視点から行動するメンバーが増えていると実感しています。この意識の変化は、技術力に加え人間力という強みを発揮するための動きとして、当社の今後にとって大きなものだと私は思っています」（金山氏）。

自社の強みは何かという問いに対し、金山氏は「風通しの良い社風」と答えている。社員の声を聞き、その意見を取り入れながら事業を拡大してきた同社では、実際にメンバーの発案から自社サービスを開発したという実績も有している。意見を発信しやすい雰囲気があるからこそ、機動力とフットワークを生かした事業の発展が可能になる同社は、起業家マインドを発揮できる人材のアイデアを形にする可能性にあふれていると言えるだろう。

医療機器のシステム開発という業務に携わり、自身の取り組みが実際の成果となるリアルな手触り感を得られる同社のプロジェクトでは、どのような人材が活躍できるのか。その問いに対し、金山氏は次のように答えてくれた。

「とにかく前向きに取り組める方だと思っています。新たな価値を生み出すためのシステム開発という業務においては、失敗することはいくらでもあると思いますが、その失敗を成功に繋げることが大切。うまくいかないことがあっても、それをポジティブに捉えながら次のチャレンジに繋げられるマインドこそが、この仕事での成功の要因になりますし、エンジニア自身の成長のためにも必要なことだと思っています」（金山氏）。

プロジェクトを進める中では課題に直面することもあり、また失敗するケースも少なくないと語る金山氏。その障害を次の展開に生かせるか、振り返ることなく常に前向きに取り組めるかどうかが、同社の業務で成功するためのカギになるということだろう。また金山氏は、その仕事の面白味については次のように語っている。

「やりがいや面白味というものは、人それぞれ違うものだと思いますので、自分のスタンスを大切にしながら業務に関わってもらいたいというのが私の思いです。例えば、開発業務に関する一流のスキルを習得して技術を極める、人脈を築きながらプロジェクトを効率的にマネージメントできる力を身に付けるなど、自身の理想とする方向性で業務を進めていただきたいと、私は思っているのです」（金山氏）。

メンバー自身の目指す姿、方向性を重視し、その実現のためにあらゆるサポートを行う。その結果が会社としての利益になり、メンバー自身も生きる力を身に付けることができるというのが、金山氏の考えなのである。社員と会社が苦労を分かち合い共に成長を目指すというのが、同社の理念なのだと言えるだろう。

「エンジニアは、1人でやれることは限られていますし、仲間や周囲の人々と共に取り組むことで面白いこと、やりがいあることにチャレンジできると私は思います。当社には、同世代の社員たち、そしてクライアントや協業する他社のメンバーたちと切磋琢磨できる環境がありますので、ぜひ業務を通して成長を目指していただきたいと思っています」（金山氏）。