HRテクノロジーズ株式会社

HRテクノロジーズ株式会社は、「頑張る人の自己実現をテクノロジーで応援する」をミッションに、セールス職に特化した求人プラットフォーム『SalesAgent』を開発、運営する会社だ。人材紹介会社と求人企業を結ぶプラットフォームで、HRテクノロジーズが求人を開拓し、一元管理してプラットフォームに公開。その求人に対して、人材紹介会社が登録者とのマッチングを行う仕組みで、つまり、人材紹介会社向けのRA（リクルーティングアドバイザー）業務のSaaSサービスだ。

人材紹介会社は、HRテクノロジーズが開拓した優良求人を登録者に紹介できる。求人企業側は、あまたある人材紹介会社と個々に窓口を設ける必要がなく、プラットフォームを通じて求人を公開することで採用チャンスが拡大する。双方に大きなメリットが見込めるサービスだ。また、サービスに対する感度を失わず、常にブラッシュアップしていくために、自社でも人材紹介事業を手がけている。

このサービスを発案し、実現したのは、創業者で代表取締役を務める鈴木啓祐氏だ。元海外プロサッカー選手という異例のキャリアを持つ。7歳からサッカー一筋だった鈴木氏は、ドイツ、ポーランド、タイのプロサッカーチームを渡り歩き、完全燃焼して引退。その後、帰国して大手総合人材サービス会社に就職した。まったくの異業種への転身で、最初こそ苦労したものの、持ち前のバイタリティーで頭角を現し、ほどなくトップセールスに上り詰めた。

だが、次第に既存の人材サービスへの疑問もわいてきた。というのも営利目的の事業である以上、構造的に求職者ファーストに徹しきれないからだ。それは理解しつつも、何とかしてもっと求職者ファーストの事業ができないか。鈴木氏は考えた。トップセールスとなり、一定の達成感を得たこともあって、鈴木氏は自らの理想とする事業を展開するために独立。ほどなくHRテクノロジーズを立ち上げた。2019年のことだ。

最初に手がけたサービスは、求職者に行きたい会社を聞いて、そこにHRテクノロジーズが橋渡しをするという異色の人材紹介だ。「紹介会社が企業を紹介するのではなく、あくまでも求職者が行きたい会社を選ぶ。意志があり、頑張る人を徹底的に応援したいと思って考えたサービスでした」と鈴木氏は当時を振り返る。

某大手人材サービス会社から買収を持ちかけられたほど、ユニークで有望な事業だったが、やや先駆的過ぎた。定着には時間がかかりそうだったことから方向転換し、次に事業化したのが、現在の主力サービスである『Sales Agent』だ。頑張る人を応援するというコンセプトは変わらない。より多くの求職者と求人企業を応援できるスキームを考え抜き、このプラットフォームを構築した。

『SalesAgent』は、人材紹介会社からはSaaSサービスとして利用料を受け取り、求人企業は無料で参画。マッチングが成立すると通常の人材紹介サービスと同様に、求人企業から人材紹介会社へと手数料が支払われるスキームだ。

営業職に特化した理由は「営業職がほしい会社は伸びている会社。そのような会社を応援することで、日本のためにもなると考えました」と鈴木氏。人材紹介会社の集合サイト的な類似サービスとの違いは、営業職特化に加え、マッチングが成立するように、HRテクノロジーズがかなり支援をすることだ。

『SalesAgent』には、HRテクノロジーズが同社の看板と信頼で開拓してきた優良な求人がそろっている。この信頼に応えるために、人材紹介会社側に対しては、マッチングが進むように、コンサルタントのように支援する。「この人はどこに推薦したらいいでしょうか、といった相談にも丁寧に応じています。最初のうちは頻度高くミーティングをして、人材紹介会社さん側が徐々に感覚をつかめてくると、ミーティングも減っていきます」と鈴木氏。手取り足取り人材紹介のやり方を伝授しているようなものだ。鈴木氏は言う。「現状、人材紹介会社さんは会社によって能力にバラつきがあります。それは求職者ファーストではありません。我々が支援することで一定のレベルに達するようにしています」。

求人情報も、求人企業としっかりリレーションをとり、その会社の魅力や求人の意図するところを正確に発信する。求人企業にとっても、『Sales Agent』を介することで正確な情報が伝わり、よりマッチした人材が紹介される。このように単なるプラットフォームを越えた、コンサルタント的な役割を果たしているサービスで、新規参入が多い人材紹介業界において業界の最適化にも寄与している。これらの特色により、求人企業はもちろん利用料が発生する人材紹介会社側も、双方の導入が伸びているところだ。

「現在、求人企業様の多くは、営業職の採用には誰もが知っている大手の媒体、紹介会社に頼っている状態です。決してそれが最適解とは思えません。そこに一石を投じたいのです」と鈴木氏。双方へのいい意味での介入により、マスとマスのマッチングではない、一対一で本当に必要な人材を紹介できることもある。いずれは営業職なら『Sales Agent』というブランディングを確立したい。その可能性は十分にあるサービスだ。

人材業界を熟知し、自身も前職でトップセールスだった鈴木氏。改めてトップを獲れた秘訣を聞くと、サッカーと同じ熱量でやっていたからだという。「サッカーは、ただただうまくなりたい、勝ちたいと思ってやっていました。その熱量のまま、仕事に打ち込んでいました。クライアント企業にお困りごとはないかとひたすら聞いてまわり、例えばオフィス移転があると聞きつければ手伝いに行きます。行けば仲良くなって一緒にご飯を食べ、そこからまた別の会社を紹介してくださったり。社長とのおつきあいも楽しくて好きでした。そうしているうちに、次第に『●●社の鈴木』ではなく、鈴木啓祐を指名して仕事が来るようになりました。一担当者、一営業マンではない、人と人の交流が生まれたのです」

言うのは簡単だが実行は大変だ。それを苦も無く、楽しんでやってのけるのが鈴木氏。その熱量は今も変わらない。HRテクノロジーズには、そんな彼の人間性に魅力を感じ、熱いメンバーが集まっている。セールスで実績を上げてきたメンバーもいれば、鈴木氏と同じように、海外チームでサッカーをしていたメンバーもいる。

そしてもう一人、鈴木氏の人間性や次々と先駆的な事業を立ち上げてきた感性と可能性を買って、社外取締役として名を連ねているのがHR業界のレジェンド、恐らく日本でいちばん有名な転職コンサルタントである森本千賀子氏だ。名ばかりの取締役ではなく、鈴木氏とは毎月ミーティングを行うなど、しっかりとコミットし、HRテクノロジーズを引っ張っている。

まだ10名にも満たない、「ど」がつくほどのスタートアップベンチャーだ。思いを一つに、トライアンドエラーを繰り返しながら進んでいく。働き方は、基本は出社。昼どきはみんなで連れだって行くほどコミュニケーションは良好だ。サッカー経験者が多いことから、日頃の会話もサッカーや筋肉に例えがち。その独特な表現で会社や業界、日本の行く末までを熱く語り合う毎日だ。

教育や研修、制度の類もまだない。もちろん自分から「これをやりたい」と言えば、会社は全力で支援する。サービスも会社もこれから大きく育てていく。その基盤はできつつある。自らの手で一を十に、その先のスケールをつかみとりたい人、そしてこのフェーズを楽しみ、自らも成長できる意欲ある人の参画を待っている