株式会社クラップハンズ

クラップハンズはPlayStation®を代表するソフト「みんなのGOLF」シリーズで知られるゲーム制作集団である。シリーズの「2」、「3」、「4」は100万本を突破するセールスを記録し、ゴルフゲームとして異例の大ヒットを飛ばしてきた。2011年には最新ハードPS Vitaにて「みんなのGOLF 6」をリリース。PSVitaの背面タッチパネルやネットワークを駆使した機能が新たに追加され、ゴルフゲームの可能性をさらに広げてみせた。最新作は2017年夏に発売予定のPlayStation®4用ソフトウェア「Ｎｅｗ みんなのＧＯＬＦ」となる。新作のたびに新しい驚きと感動を提供してきた同社。

その開発のエネルギーの源泉となっているものは何だろうか。代表でありプロデューサーでもある村守氏によれば…
「大学時代は工学部に在籍していましたが、当時はパソコンブームと言われた時代で、その影響もあり独学でプログラムを勉強して自作のＰＣゲームを作るようになりました。」
村守氏が最初に開発しようとしたのは野球ゲームだったという。「選手を9人動かすことがとにかく大変で。そこで人が少ないスポーツはないかと考えて、ゴルフというスポーツに注目しました」（同氏）。当時のゴルフゲームはマニアックなものが多く、もっと簡単にプレイできるゴルフゲームのニーズはあると考え、ＰＣ向けにゴルフゲームを開発し好評を博した。

「みんなのＧＯＬＦ」はクラップハンズ設立以前に村守氏が勤務していた会社において開発されたものである。「子どもからお年寄りまで遊べるゴルフゲームとしてPlayStation®の発展に貢献することができました」（同氏）。

その後村守氏はクラップハンズを設立した。
クラップハンズでリリースした、「みんなのGOLF 2」、「3」、「4」はミリオンセラーを達成し、“プレイステーションアワード”では3作ともプラチナプライズを受賞するなど、高い評価を内外から獲得した。

新作を開発するたびに意識してきたのは、“ユーザーに新しい驚きを与えられるか”だという。「ゴルフゲームとしてどれだけピュアに進化させられるか。それはクリエイターとして最もこだわっている部分ですね。シリーズを作っている時はいつも、“出した時点では世界一面白いゴルフゲームを作りたい”という思いが強くありますから。そこはこれからも変わらないと思います」（同氏）。

クリエイター集団としてゲームとしての純粋な面白さを追求し続ける同社。そのエネルギーを形にしていけるのは、パブリッシャーであるソニー・インタラクティブエンタテインメント社（以下SIE）の存在も大きい。両社はこれまで緊密な関係を築いており、SIEの最新の技術や情報をいかしたハイクオリティな開発が可能だ。未来志向のゲームクリエイターにとってこれ以上ない贅沢な開発環境である。

「みんなのGOLＦ」は日本だけでなく、北米、欧州、アジアにおいても販売されている。設立から17年間で国内版開発タイトル数は11（※1）を数え、ローカライズされた海外版を加えるとその数は3倍近くに。小規模な開発スタッフにしてこの開発タイトル数は驚異的だ。限られた時間を有効に使い開発を進める同社の挑戦は続いていく。
※1：みんなのＧＯＬＦ 6はPlayStation®Vita版、PlayStation®3版を合算

「私たちが求めているのは“モノづくり”に本気でこだわる人です。より良いもの、よりクオリティが高いものを追求し続け、そのことが純粋に楽しいと思える人ですね。クラップハンズのミッションは、ゲームを通じて新しい驚きを与えることです。そのためにはチャレンジすることを恐れてはいけません。」（同氏）

質の高いものを目指すことが楽しいと思えるかが選考のポイントだと強調する村守氏。「傍から見れば大変な作業でも、やっている本人は未知なるものへの挑戦としてそれを楽しんでいる。タテマエではなく、本気でそう思える人とは楽しくやっていけると思います。」（同氏）ミリオンセラーを出し続けてきたクリエイター集団ならではのこだわりが感じられる。

「面白いゲームの企画であれば、誰が出しても構いません。はっきり言うと、“やったもん勝ち”です。ただしアイデアは理詰めで精査されますので、思いつきだけでは一蹴されてしまいます（苦笑）。また、社長がユニークな案をどんどん出してきますから。負けないように頑張らなければと思います」（同社社員）。

制作の過程でも開発者全員がアイデアを出し合い、試行錯誤しながら進めていくという同社。中途入社の社員は、一人ひとりにアイデアを求められる独自のスタイルに驚くという。そして、開発タイトルの売上、貢献度に応じて分配されるインセンティブボーナスは、アルバイトまで対象となっているから驚きだ。そのほかにも、社員の健康維持のために毎朝のヤクルトを配布し、全員でラジオ体操を行うなど、ユニークな制度が多いのもこの会社ならではだ。

恵まれた開発環境のもと、様々な刺激や発見に出会えるクラップハンズ。モノづくりを追求したいクリエイターにぜひその扉を叩いてほしい。