株式会社マトリックス

マトリックスの代表取締役・大堀康祐氏は、ゲーム業界内では知る人ぞ知る存在だ。

1970年代に起こったゲームセンターブームの真っ只中に中学時代を過ごすと、高校時代にはシューティングゲーム「ゼビウス」に熱中。発売元のナムコの開発担当者に会って著作権の許諾を得ると、攻略法をまとめた同人誌を作り、瞬く間に3000部を売り上げた。以来、ゲーム雑誌の立ち上げやゲームライター、ゲーム制作の手伝い、ゲーム番組で攻略法を教える仕事なども経験。

ゲーム制作会社で3年間勤務した後、フリーランスを経て株式会社マトリックスを設立したのは1994年だ。「自分が好きなゲームの面白さを世に広めたいという溢れる想い」と「産業としての将来性」からの決断だったという。まさに、先見性を持ってゲーム業界の黎明期から活躍し、業界の発展を支えた人物の一人だといっても過言ではない。

マトリックスの事業は大きく分けて2つ。コンシューマーおよびモバイル向けゲームと、遊技機（パチンコ・パチスロ）の液晶映像の企画・制作・開発だ。

「ゲームの開発は、コンシューマー向けのソフトからモバイル用ゲームアプリ、ソーシャルアプリまで幅広く手掛けています。特定のジャンルやメーカーに偏らず、幅広く手がけているのが特徴です」（管理部・採用担当）

マトリックスがこれまでに開発に関わったゲーム一覧を見ると、そうそうたる作品が並んでいる。代表的なのが、ゲーム好きでなくても間違いなく知っているであろう、社会現象を巻き起こした人気RPGのモバイル版だ。それ以外にも、子供から大人まで人気のキャラクターのゲームや、RPGからパズルゲーム、カードゲーム、音楽ゲームなど多岐にわたっている。

一方、遊技機の映像制作事業については「代表がパチンコやパチスロの演出や動きが好きで、「もっと面白いものを作りたい」という思いで立ち上げた」（管理部部長）とのこと。
スタッフもパチンコやパチスロ好きが多く、「分かっている」人が作る映像の数々は、クライアントからも高い評価を得ているという。

マトリックスの強みについて、開発部部長に伺った。

「我々は、ゲームの一部分の開発だけではなく、案件を1から10まで丸ごと受託することもあります。モバイルゲームが増えた初期の頃は、小規模なディベロッパーでも作れる簡単なゲームも多かったのですが、ここ数年はパブリッシャーもゲームの開発に本腰を入れており、本格的なゲームを求める気運があります。その点、うちは大容量かつ長期的な開発を要するような案件でも受けられる態勢が整っています。」

開発業務には社員の9割ほどが携わっている。プロジェクトごとにチームとなって、皆で意見を出し合いながら開発を進めるのがマトリックスのやり方だ。

「当社では企画の初期段階から開発を担当することも多く、どうやったら面白くなるのかを皆で考えます。プランナーだけでなくプロジェクトのメンバー全員がそれぞれの立場で意見を出し合うことを大切にしています。」（採用担当）

「社内には業界歴の長い経験者など引き出しをたくさん持っているメンバーが多い。若い人にとってのロールモデルとなる社員がたくさん在籍しています」（開発部部長）

また、ジャンルを問わずにいろいろな作品を手がける点も、同社の大きな強みとなっている。

「他のディベロッパーでは、配属先で同じ作品・シリーズの開発を継続するという話も聞きます。その作品やキャラクターが好きならいいのですが、本当にモノ作りをしたい人には物足りない環境かもしれません。しかしマトリックスでは、RPGの後にパズルゲームのプロジェクトを、などということもしょっちゅう。メーカーさんによっては、年齢とともに現場から遠ざかっていくことも多いようですが、当社では本人の希望以外ではそれもない。『モノ作りをしたい』という熱い気持ちを持った人が集まっていると感じます」（開発部部長）

遊技機の映像制作においても、それは変わらない。「クライアントがOKを出した開発であっても、『まだこうした方がいいんじゃないか』と議論している。そこに社長も加わってアイデアを出すなんてことも。とにかくこだわって作っているので、クオリティの点でもご満足をいただいています」（開発部部長）

本当にモノ作りを楽しみたいという人が集まった会社であり、強い「こだわり」のもとで制作に励んでいる。そんな環境が、刺激的でないはずはないだろう。

今後、マトリックスは「自社作品の充実」にも力を入れていく。

受託開発においても積極的に意見しながら魂を込めて作ってはいるものの、やはり自分たちの主導で売れるものを作っていきたいという想いは、社員の中にも根強くあるという。

「モノ作りにこだわる社員が多いので、やはり自分のアイデアをみんな持っているわけです。そのための布石の一つとして、以前おこなっていた社内の『企画コンテスト』を復活させました。応募作品の中に光る企画があれば、パブリッシングに向けた挑戦としてまずは社内開発に着手したいと考えています」（開発部部長）

もちろん、従来通りの受託開発にも力を入れていく。受託件数は年々増えているため、各分野の人員を強化して態勢をより一層整えたいと考えている。

「メーカーさんに比べると小回りがきき、ディベロッパーの中ではそれなりの規模があるため、安定性がある。特に、上流から下流まで全工程を見ることができるので、本当のモノ作りがしたい人にはうってつけの環境だと思います」（管理部部長）

「とにかくゲームやパチンコ・パチスロが大好きな社員が多く、昼休み中も皆で集まってゲームをしています。好きなものに携わりたい、自分のアイデアをかたちにしたいという思いを持つ人に、ぜひチャレンジしてもらいたいです」（採用担当）

「社長も含めて、面白い人が多い会社です。特に社長は開発現場が気になるみたいで、よくフロアに顔を出しては社員に話しかけたり、アイデアを出してくれたりするんです。社長との距離の近さも、マトリックスの魅力の一つでしょう」（開発部部長）

ゲームや遊技機が好きで、チームワークを発揮してモノ作りを楽しみたいーー。そんな人にとっては、申し分のない職場だ。