株式会社トライエース

「ゲームを通じてユーザーに新しい体験を提供する」を理念に掲げるゲームデベロッパー、株式会社トライエース。

「スターオーシャンシリーズ」「ヴァルキリープロファイル」「ラジアータストーリーズ」といったアクション要素の強いRPGを数多く手がけてきた同社。3Dの高い技術力に定評があるが、実はアーケードゲームやコンシューマーゲーム、スマホ向けなど、幅広く色々な作品を世に送り出している。

「弊社はプラットフォームにはこだわらず、全方位でゲームを開発してきました」と語るのは、プロデューサーの小島創氏。

トライエースのゲーム作りにおける大きな特徴となっているのが、PlayStaion2時代以降育て続けているクロスプラットフォームに対応する自社開発のゲームエンジン「ASKA Engine」の存在だろう。エンジニア出身の代表取締役・五反田義治氏が主導し、社内に研究開発を行うR&Dチームを作ってまでして独自に開発し続けているものだ。

「うちではゲームは基本的にはPCベースで開発し、ASKA Engineをミドルウェアとして機能させています。ASKA Engineを通すことで、対応しているプラットフォームに合わせたビジュアルが出せるので、それがプラットフォームにこだわらない全方位の開発実績にもつながっています」（小島氏）

R&Dチームはエンジンの開発だけでなく機能追加なども手がけており、同社のゲーム作りを支えている存在だ。社内にこうした組織を持つデベロッパーは珍しいだろう。ゲーム作りのこだわりについて、小島氏は次のように話す。

「社是にもなっていますが、『最重視するものはクオリティである』という考え方が浸透しています。安いものを大量生産するのではなく、ちゃんとその時々の世の中に対してクオリティの高いものを提供しようというのが、ものづくりのベースにあるんです」

文化としても、他と同じことをあまりやりたがらない人が多いという。オーソドックスなゲーム開発の依頼が来ても、結果的にどこかしら尖った部分を持つゲームになってしまうそうだ。

「今後も、当社の強みである3Dなどの技術力に裏打ちされたゲームを、プラットフォームに合わせてしっかり作っていきます」（小島氏）

同社で働くメリットについて小島氏に聞くと、次のように答えてくれた。

「3D関連については、かなりちゃんとしたビジュアルを作れるようになると思います。デベロッパーなのでなかなか全てが最先端の技術というわけにはいきませんが、ダイナミックなアクションRPGを支える高い3D技術を武器に、周囲から認められるようなものづくりに関われるはずです。社長が現役のエンジニアということもあり、技術を非常に大切にする会社ですから、経験者であっても色々なことを学べる環境だと思いますよ」

「スターオーシャンシリーズ」を生み出したのは五反田氏であり、取締役の則本真樹氏も「ヴァルキリープロファイル」の生みの親だ。経営陣が現役のクリエイターとして今もゲーム作りに関わるからこそ、役職を問わず誰とでも近い距離で仕事ができ、社歴や経験、年齢は関係なくゲーム談義に花を咲かせることもできる。

「すごく刺激の多い環境だと思います。だからこそ、トライアンドエラーを諦めないことがうちで働く上ではすごく大事になってくるでしょうね」と話すのは、プロデューサーで執行役員の田村裕志氏。

小島氏は求める人物像について「チームの中で自分の役割を考えられる人」と話す。

「最近は特に、プロジェクトが大型化する傾向があるので、チームの中での役割を意識してコミュニケーションが取れたり動ける人だと、活躍できる場面は多いと思います。かつ、『これでいいや』ではなく『こうしたい』という意思やこだわりを持って仕事ができる人がいいですね」（小島氏）

相手がアーティストであっても、企画やプログラマであっても、遠慮せずに意見を言い合える社風があるという。だからこそ、「やりたいこと」が明確な人の方が、得られるチャンスも大きい。

なお、同社では基本的にプロジェクトの掛け持ちはしないという。目の前の1つのプロジェクトに全力投球してほしいからだ。タイトルによっては5年、6年と続く長いものもあれば、マスターアップしたら終了する単発のものも。いずれにしても、社内の人の流動は活発で、その点でも刺激は多くなる。まさに「クリエイターが力を発揮しやすい環境を用意したい」という思想で全てを考えるからこその職場環境だ。

ものづくりにおける意見交換のしやすさに加え、「働きやすさ」の面でも、意見や相談がしやすい組織体制が作られている。

「いわゆる制作部ごとの縦の組織に加えて、同じ職種を束ねる横の組織をしっかり固め、そこにベテラン社員がマネージャーとなってメンバーの面倒を見ています。それだけでなく、職種を横断したプロジェクトの軸を加えた『3つの軸』で人をマネジメントしているので、声が上げやすく、拾いやすい環境が作れています。仮に悲鳴のようなものがあがったとしても、近くにいる人が素早く対処でき、何かしらのサポートができるわけです」（田村氏）

組織的な特徴でいうと、女性社員の割合が高いこともあげられる。しかも、産休・産後の職場復帰や子育てしながら働く社員も多いという。育休を取得する男性社員も増えつつあるそうだ。

昨年4月より、フルリモートでの勤務となっているが、これについては「コロナの脅威が去るまでの緊急対策」と小島氏。これまでリモートワークを認める制度がなかったことから、現在はそこを整えるべく制度化を検討中だという。何れにしても、同社のスタイルとして今後は「オフィスワークとリモートワークを共存するやり方」をうまく作っていこうと考えている。

「フルリモート下での社内のコミュニケーションは難しいですね。ただ、定期的に雑談する時間を作ったり、朝礼や定例会以外の時間でzoomを開けっ放して自由に出入りできるような交流の場を設けたりもしながら、会話はできるだけ増やすようにしています」（小島氏）

ちなみに同社はクラブ活動が盛んで、そこでの交流も活発だ。デッサン部や造形部では美大卒の若手社員がシニアにレクチャーしたりもしていて、こうしたところからも同社の社風がうかがえる。

「研修については、傘下に入っているエヌジェイホールディングス主催のものが充実しています。新入社員はもちろん、フォローアップ研修や、階層別研修、ハラスメント研修など、色々と受けてもらっています。独立系のゲームデベロッパーとしては、かなりいい環境だと思いますよ」（採用担当・渡辺氏）

その他にも、EAP（従業員援助プログラム）を活用してカウンセリングが受けられたりと、サポートは手厚い。加えて、健康保険組合のITSに加盟しているため、スポーツジムの利用の際に補助が出たり、保養所が使えたりと、福利厚生も充実している。

「個人がすごく自由でありながら、みんなすごく仲が良いんです。変なしがらみもないので、楽しそうに働く社員が多いですね」と話すのは、採用担当の鈴木氏だ。

「アクションRPGをしっかり作れるデベロッパーは国内にそれほど多くはありません。RPGを作りたい人には最高の環境だと思いますよ」と田村氏が語るように、働きやすい職場で面白いゲーム作りにチャレンジしたい人には、もってこいの環境といえそうだ。