日鉄ソリューションズビズテック株式会社

日本製鉄グループの総合エンジニアリング企業である日鉄テックスエンジ株式会社（旧・太平工業株式会社）のシステム開発部門が分社化し設立された日鉄ソリューションズビズテック株式会社。同社は現在、日本製鉄という国内屈指の製造企業グループで培った知見を生かし、製造業界の他企業に加え、素材メーカーや流通業界等、多様な企業に対するシステムインテグレーションを事業として手掛けている。SIer企業としての同社の強み、そして特徴について、管理部総務・人事グループの松山雅之氏に話を聞いた。

「当社は、企画や設計といったシステム開発の上流工程から、ローンチ後の運用・保守の部分についても対応する事業を展開しています。一番の特徴は、歴史ある製造業大手企業グループにおいて、業界の歩みと共に30～40年間の業務経験を蓄積してきたという点にあると言えます。SIer企業の多くは1990年代。2000年代からスタートしているという現状を踏まえると、その経験は大きな武器になっているのではないでしょうか。また、しっかりとした経営母体を持ちながら、製造業から流通業、金融業まで幅広く対応できる開発力を発揮している部分にも強みがあると思っています」（松山氏）。

2004年に分社した当時は東京ビジネスソリューションという名称だった同社は、親会社である太平工業がグループ内の株式会社日鉄エレックスが2013年にグループ内で経営統合し、日鉄住金テックスエンジ（現・日鉄テックスエンジ）株式会社となった際に、日鉄エレックス社の100％子会社である株式会社ニークシステムテクノロジーと経営統合。2014年10月に誕生したのが日鉄ソリューションズビズテック（旧社名：テックスエンジソリューションズ）ということになる。その設立以来業績を伸ばし続け、2019年度には売上額100億円を達成。顧客に関しては、業界をリードする大手企業を中心に約16社となっており、社内ではバリエーション豊かなプロジェクトに同時並行で取り組んでいるという。その業務を通して得られる価値について、管理部マネージャー・藤井伸之氏は次のような言葉で説明している。

「業績は毎年拡大していますし、国内トップクラスの企業と直接取引させていただきながら、様々な案件を各社から受注し続けています。私達の役割は、プロジェクトを管理しながらベンダー企業と協業し、顧客にプロダクト、サービスを提供するというもの。その業務においては、システム開発の上流工程から長い時間をかけてじっくりとプロジェクトに携わることができますし、様々な案件に取り組む中で顧客との関係構築を行いながら、成功を目指すという経験ができます。現在はプログラマーとして、またSESのエンジニアとして活躍しながら、次のステップを見据えている方には、キャリアアップに最適な価値ある環境だと思います」（藤井氏）。

今後の同社の事業展開はどういったものになるのか。その質問に対し、松山氏は同社の強みである製造業・流通業の知見を生かした一層のDX推進支援、そして日本製鉄グループ企業のシステムソリューション部隊との連携を強化した新たなチャレンジという答えを返してくれた。

「特に製造業では、生産現場でのIT技術導入によるDXの動きは加速していくので、そこに我々の技術力を発揮した開発事業を展開していきたいと思っています。また、機械、電気、建設といった業界に進出している日鉄テックスエンジとも連携しながら、幅広いソリューションを提供していく、ということも当社の今後の方針となっています」（松山氏）。

業界に関する深い知見、企業グループとしてのネットワーク力という強みを生かした事業展開を進めるという同社において、課題となっているのはプロジェクトをマネジメントする人材の増強という問題である。藤井氏は次のように語る。

「製造業界においては、他の業界に比べても早い段階からデジタル化への移行が進んできたと言えるでしょう。その内容について、コンピューターのレベルが上がり、またAI等の新たな先端技術が登場してきていますが、当社の開発力は“実績をもとに未来を予測すること”を可能にするものだと思っていますので、今後増加が見込まれるニーズにも応えていきたいと考えています。その取り組みに向けて、プロジェクトをマネジメントする人材を採用・育成していきたいというのが、私達の考えなんです」（藤井氏）。

既にDXが進んでいる製造業界の生産現場では、最新技術を導入した製造設備を稼働させることができていることから、人員不足が起こることもなく、新たなユーザーニーズに応えるプロダクトの生産量自体は減少していない状況だという。その生産現場からの要望に応える開発を手掛ける同社の業務には、どのような魅力があるのかについて、松山氏は次のように語っている。

「大手企業とのプロジェクトを進める役割を担えることで、誇りを持って仕事に取り組めるという点が一つ。そしてもう一つは、顧客と直接対話をしながら仕様を決めていく業務の中で、その業種のビジネスがどのような仕組みなのかということを知ることができる点だと思います。そのビジネスの成り立ち、収益構造を知ることは、世の中の仕組みを知ることにも繋がるので、そこに開発の仕事だけでは得られない面白味があると、私は強く思っています」（松山氏）。

現在、約460名の体制で事業に取り組んでいる同社だが、その社風については藤井氏、松山氏共に口を揃えるのは「上下関係が良好で、上司と部下が近い位置にいる」ということ、そして「人情に厚い」という点だ。

「ちょっと昔ながらの雰囲気かもしれませんが、“同じ釜の飯を食う仲間”のような関係性があり、誰とでも密に話をするのが好きなメンバーばかりですね。その特徴がコミュニケーションの活発さを生んでいると思いますし、働きやすい環境を感じてもらえている要因だと私は思っています。その表れかもしれませんが、当社の離職率は低く、年間の離職者が約10名という人数に留まっているんです」（藤井氏）。

フラットな関係性の中で、人情味のある仲間達と意欲的に働ける環境がある。「人を大事にする」という理念にも通じるその同社の特徴は、社内に限らず社外の顧客にも大きな印象を与えているという。企業としての収益や利益を度外視し、困難な状況にある顧客からの依頼に対して誠心誠意対応するという姿勢は、長い期間に培ってきた企業文化が生み出したものだと言えるかもしれない。

「これから入社する方についても、“社員を募集する”というよりも“新しい仲間を迎える”という感覚なんです。一緒に働ける仲間を今後はより増やしていきたいと思っていますので、一度当社の社風に触れてみていただきたい。その環境にフィットできる方には、是非共に未来を目指す仲間になっていただきたいですね」（藤井氏）。

今後の成長を見込む製造業や流通業の企業に対し、5年単位、10年単位で様変わりする世の中に対応するためのシステム開発で要望に応えたい。その原動力となるのは、その人材が現在の環境で身に付けた力であり、その力を同社の開発に生かすことで産業発展に貢献できることができるというのが松山氏の考えだ。

「“精力善用”という言葉がありますが、その意味は自分の知識や力を正しいことに生かすべき、というものです。人それぞれに、豊富な知識、意思の強さ、心身の健康等、色々な特徴ある力を持っていると思います。そのご自身の力を業務で発揮しながら、世の中に貢献するための環境として、当社を選んでいただけたら嬉しいですね」（松山氏）。