株式会社ユニケソフトウェアリサーチ

大手システム会社に勤めていたメンバー7名がスピンアウトし、1985年に創業した株式会社ユニケソフトウェアリサーチ。金融システム事業とメディカルヘルスケア事業の二つの事業を柱にした両輪経営で着実に売上を伸ばしている。

金融システム事業は、金融業界の中でも銀行系、証券系、投資信託系を中心に金融業務のシステム開発に特化し、受託開発とSESを行っている。お客様からの信頼が非常に厚く、同じスタッフで10年、20年と関係性が続くような「任される現場」が多いのが何よりの特徴だ。

一方のメディカルヘルスケア事業は、主に調剤薬局向けにレセプトコンピューターや電子薬歴保存システムを展開。全国に約3,000のクライアントを持っている。行政が推進を加速している医療DXの流れにも乗り、急拡大中だ。

「設立当初は幅広い業界を対象にシステム開発を行っており、中でも金融システムが柱でした。リーマンショックを機に強みを生かして業界に特化しようと舵を切り、金融に特化。さらに、フィンテック等IT化が進む医療・ヘルスケア業界にも着目し、二つの柱となりました。現在、メディカルヘルスケア事業の売上が9割近くを占めるまでに成長しています」
と話すのは、管理本部で採用責任者を務めている、古高氏。

金融、医療共にDX化が進んでおり、チャンスが広がり続ける領域で強みを発揮する同社。

「お客様の細かな要望や機能追加にフレキシブルに対応していける、中小ならではのラストワンマイルのサービスが我々の強み。他社にはないきめ細かさで、顧客満足度ナンバー1の実現を目指していきます」（古高）。

創業以来、同社がこだわっているのが「理念経営」だ。

同社が掲げる経営基本理念は「人・夢・創造・貢献」。全員参加型の経営を目指すチーム・ユニケが掲げる共通理念であり、皆が追うべき夢でもある。

「お客様の感動的な満足の創造を通して、社会に貢献し続けることを目指します。さらに、全ての社員の夢の実現と幸福を追求する。これは我々が最も大切にしていることです」

社員が確かに手にすることができる報酬として、「経済的報酬」「人間関係」「自己実現」の三つの報酬を明文化している。組織としては社員が大満足している状態を何より大切にし、ビッグカンパニーよりもグッドカンパニーでありたいという考え方だ。

こうした理念経営を実現するために、どのようなことに取り組んでいるのだろうか。

「会社として、社員のスキルアップに対して協力を惜しみません。支援制度の構築はもちろん、費用面でもサポートしています。社員一人ひとりのスキルが上がれば、より高度な仕事にチャレンジでき、会社としての売上も上げていけます。もちろんそれを個人にもちゃんとフィードバックします」

目指すのは、努力した人がちゃんと報われる組織。それが実現すれば、顧客の満足も、社員一人ひとりの幸せも、間違いなく実現すると信じているのだ。

「個人の人生の充実と、組織の充実の両方を目指すことで、社員とその家族が誇れる会社をつくりたい。結果を出せばいいのではなく、当社での仕事を通じて内面が豊かになる、そんな組織にもっともっと変えていきたいですね」。

「変えていく」という言葉通り、今年1月に社長に就任してからは、スピード感を持って会社を変え始めている森井氏。「会議が変われば会社が変わり、世界が変わる」との考えから、会議の在り方を大きく刷新。さらにリーダーシップ開発を含めた人材育成にも力を入れ始めた。

「ファシリテーション型の場をリードしていくようなリーダーを社内で沢山育てていきたいです。健全なディスカッションをして合意形成し、自分達で決めたことを進めていく、そんな仕事ができる組織に変えていこうと。そのために必要であれば外部研修等も受けてもらっています。既に私が言わなくてもできていると感じる場面は多いです。頼もしい限りです」。

森井氏は就任直後、全社員に一人ずつインタビューをしたという。「会社の強みとは？」の質問に対し、ほとんどの社員が「理念」と「人」を挙げたという。

「いかに理念経営が浸透しているかを実感しました。今後は、日々の事業活動と経営理念をもう少し結び付けるような取り組みを進めていくつもりです。理念を体現できるよう、より具体的にすることで『何をやるか』がもっと明確になれば、さらに強い組織になると思います」。

当社社員には「真面目な社員」が多い。
「仲間を思いやる文化があり、相手の目線でちゃんと考えて対話ができる人がすごく多いですね。新しいことやスキル習得に対するチャレンジ精神もあるし、今回経営が変わって新たな方針を打ち出しても、尻込みせずに受け止めて適応しようとしてくれる。手前味噌ですが、すごくいい人材が揃った会社だと思いますね」。

特にエンジニアに関しては、ものづくりを担っている技術者としてのプライドを持っている社員が多いと感じているという。「それが学習意欲や、技術について知らない人にもしっかりと分かるように説明するコミュニケーションの仕方、相互理解への意識にも繋がっていると思う」。

「ユニケが好き」と話す社員が多いことからも、帰属意識の高さがうかがえる。

コロナ前は頻繁に実施していた社内イベントも、ぼちぼち復活させたいと考えているという。社員旅行は単なるお楽しみ旅行ではなく、例えば東北大震災の時にボランティアをしに東北に行ったり、社会貢献に繋がる活動を取り入れたりと企画性を重視。

最近だと、オンライン飲み会の際は料理屋のデリバリーを活用し、皆で同じ食事を食べながら盛り上がったりもするそうだ。非常に仲間意識の強い組織であることが、ここでも分かる。

「そういう仲間や組織、お客様や社会に対して貢献したい意欲のある人なら、どんなチャレンジもできると思います。意欲といっても、具体的でなくていい。『内なる闘志』でいいですよ」

だからこそ「色々なことに興味を持ってほしい」。

「興味があれば、自分を信じて動いてみること。それぞれの人生、悔いのない選択をしてほしいし、『自分の人生』を生きてほしいです。私は経営者ですが、コーチでもあり、皆さんのそれぞれの人生を預かっていると思っています。だから、当社の中で人間的に成長するとか、潜在能力を発揮できるようなコミュニケーションやプロセスを大事にしたいと強く思っているのです。皆さんとはそれぞれの可能性を伸ばせるような関わり合いをしていきたい。そんなふうに考えています」。