エヌシーアイ総合システム株式会社

エヌシーアイ総合システム株式会社（NCI）は、日鉄ソリューションズと伊藤忠商事、伊藤忠テクノソリューションズ（CTC）の出資によるシステム開発ベンダー。産業システム事業、金融システム事業、DWPソリューション事業を運営し、主に製造業や流通・小売業、金融業等の顧客に対し、基幹システムをはじめとする業務システムの構築を手掛けている。

●産業システム事業
製造業や流通・小売業の生産管理、販売管理、MD管理等の基幹業務システム分野での大規模構築・運用や、業務改善を推進するワークフローシステム開発等の幅広いシステム領域でソリューションを提供。近年は、DXに向けたオープンソースのERPやパブリッククラウドサービス、ローコード・ノーコードツールの活用等、新たな技術分野にも積極的に取り組んでいる。

●金融システム事業
メガバンクや信託銀行、証券会社における金利デリバティブ等の金融商品の取引締結や与信管理といったフロント・バック業務システムの構築から、市場リスク管理・信用リスク管理等のミドル業務システム構築、さらにはクォンツ業務等の支援まで、多岐にわたるサービスを展開。

●DWPソリューション事業
独自開発によるワークフローツールであるデジタル・ワークプレイスソリューション『NCI-DWP』の提供により、顧客のDX業務改革課題に対応。

同社の顧客は、上記業界の大手企業が中心。プライムが約60%、準プライムが約40%で、準プライムも、親会社がプライムのプロジェクトに当初から参画し上流工程から携わっている。

例えば、プライム契約の大手建機メーカーにおいては、50名ほどの規模で生産管理システム等の基幹システムに15年以上にわたって取り組んでいる。また、数千万円規模の小規模の案件を中心に、クラウド等の先進的な技術にチャレンジするケースもあり、こうした実績を基に、お客様の裾野が拡大している。

同社のビジネスの目的は、モノをつくることではなく、あくまでも顧客の業務改善等の課題を解決することにある。したがって、業務においては課題のヒアリングや要件定義といった最上流から、ソリューションの構築および運用までを一貫して担うことが基本。その上で、最良のソリューションを提供するためには、顧客のビジネスを熟知する必要がある。
そこで、例えば金融システム事業のSEが証券外務員の資格を取得するといったケースが多くあります。このため、お客様は事細かに業務内容を説明しなくても、的確なソリューションを導入できるメリットがあると言えます。

こうした同社の業務特性は、後述する「NCI-SE」という人材像の中に定義されている。ITビジネスを推進するプロフェッショナルを目指す人材にとって、魅力的なポジションと言えるだろう。

同社は、1988年4月、新日本製鐵（現・日本製鉄）と伊藤忠商事のジョイントベンチャーとして設立された。

当時の新日本製鐵が鉄鋼業以外の新規事業を模索する中、大きな成長性・将来性が期待されたITビジネス領域に打って出る意思決定を行い、同年に社内の情報システム事業部門を母体として新日鉄情報通信システム等4社の情報システム子会社を設立する。そのうちの1社であるNCIは、オープン系のシステムインテグレータを目指し、当該ビジネスのノウハウを求めて伊藤忠商事と連携することとなる。
以来、35年以上にわたり、この領域における先駆者として難易度の高いプロジェクトにチャレンジしてきた。

なお、後年に株主が日本製鉄から日鉄ソリューションズ（NSSOL）に変わり、伊藤忠商事に加えて、伊藤忠テクノソリューションズ（CTC）が加わり現在は3社となった。親会社である日鉄ソリューションズや伊藤忠テクノソリューションズとの棲み分けは、案件の規模が基本。NCIが獲得するプライム案件は中小規模が主体で、先述のとおり親会社の大規模案件にNCIが“助っ人”として加わる形が多い。

今後の経営ビジョンとしては、「既存ビジネス（顧客・提供価値）基盤を基に、ITソリューションの実現・運営のオペレーションを磨きつつ、業界/業務知見を深め顧客とのビジネスの実現・運営の領域を拡大、先進技術を活用しITソリューションの創造・設計を進化、お客様と共に新しいビジネスを創造・設計する領域に挑戦し、常に成長を続けている会社」を目指す。
これを「NCI Navi」と呼ぶ、目指す提供価値領域に整理。第Ⅰ象限から第Ⅳ象限まで同社が提供できる価値領域を分類し、成長のベクトルを示すことで中長期ビジョンを可視化している。

同社の掲げる企業理念は、【エヌシーアイ総合システムは、専⾨性の⾼い得意分野を持ったSlerとして、優れたシステムの提供を通じて社会に貢献し、お客様とともに成⻑し続けます。】というもの。小池氏は、最後の「成長し続けます」という一文を最重視している形だ。

同社のエンジニアは、先述の「NCI-SE」を目指して、日々研鑽を重ねている。NCI-SEとは、一人のエンジニアがアカウントSE、アプリケーションSE、プロジェクトマネジャー等複数の役割をこなしてプロジェクトに貢献するという、同社としてのプロフェッショナル人材を指す概念。

●アカウントSE：顧客の業務知識を理解して提案のできる上流SE
●アプリケーションSE：ITスキルや技術に関する知識に常にアンテナを張りつつ、実践においては手を動かしてものづくりができる開発運用エンジニア
●プロジェクトマネジャー：顧客から受託したシステム開発案件をスムーズに完遂するプロジェクト管理者

NCI-SEは、上流工程や下流工程だけを担うのではなく、企画から運用・保守までのSIの全工程を経験して理解し、実際に活躍できる存在。NCI-SEがプロジェクトをリードすることで、顧客のビジネス戦略に沿い、開発や運用面も考慮した最適な企画・設計が可能となる。難易度の高い課題や大規模なプロジェクトであっても、俯瞰的な視野を持って効率良く進行させることができるため、顧客の求める「ITを駆使したビジネス加速」に貢献できるのだ。

こうしたNCI-SEを目指すための「キャリアモデル」が策定されている。NCI-SEに必要な設計・開発や要件定義、プロジェクトマネジメントをはじめとする26項目のスキルを抽出し、7段階のレベルを表現したものだ。これによって一人ひとりのスキルマッピングと将来の成長目標を可視化し、人材育成や人事考課に活用している。

人材育成においては、新入社員研修やITスキル研修、受講し放題のe-ラーニング、ビジネススキル研修等のほか、資格取得を報奨金制度で支援。「システム監査技術者」は20万円、「システムアーキテクト」は10万円、「応用情報技術者試験」は5万円、「基本情報技術者試験」は3万円等の一時金が資格取得時に支給される。

大手企業の子会社として、福利厚生制度も充実。特筆すべきは、入社した日から年間20日の有給休暇が付与されること。さらに同社は試用期間がない。

社内コミュニケーションの面では、「Home Coming Day」と呼ぶ帰社日を設け、事業部長がバリスタとなって振る舞うコーヒー等を飲みながら親睦を深めている。
そんな同社の離職率は7%と低い。NCI-SEというキャリアビジョンが明確にあり、1on1等でのフォローアップもしっかり行われていることや、充実した福利厚生が奏功しているようだ。

同社が社員に求めているキーワードは“自主・自律”。開発業務や後進の育成に主体的に取り組める人材にとって、絶好の環境があると言えるだろう。