株式会社X Capital

「日本経済に、パラダイムシフトを。」というビジョンを掲げ、企業に対するコンサルティングサービスを提供する株式会社X Capital。同社は「2060年・時価総額1兆円」という長期展望に向け、中期的にはプリンシパル・インベストメント（自己保有資産のみによる企業等への投資：PI）を事業の柱に据え、まずはコンサルティングに注力。2018年の創業以来、顧客への「価値提供」を中心に、成長と利益創出を継続している。

プロジェクトマネジメント・テクノロジー領域を強みに持つ同社は、製造業、金融、通信・回線、インフラ・公共等、幅広い業界の顧客の課題に取り組んできた。例を挙げると
・海外企業への子会社売却における事前交渉およびPMI（統合プロセス）推進支援
・株式私設取引所立ち上げプロジェクト支援
・国内製造管理業務における海外ローカライズ支援
・Open APIプラットフォームにおけるAWS移行支援
・キャッシュレス決済アプリにおける新規サービス導入支援　等
このように実績は多岐にわたっている。

各プロジェクトにおいては、顧客との伴走を徹底させている。
・経営層と現場、ITサイドとビジネスサイド等との橋渡し役を担う
・英語によるコミュニケーションの補助
・移行をベンダー任せにせず、AWSや移行後システムの細部まで把握
・特定の担当社員に閉じていた業務の棚卸を実施し、マネジメント業務を引き受ける

重要なのは、この取り組みはステップ1であること。同社は「2060年・時価総額1兆円」を実現し、「日本経済に、パラダイムシフトを。」もたらすことをビジョンとしている。その初めの一歩なのだ。

「2060年・時価総額1兆円の実現に向けて、当社は年率20%で成長していくことになります。そのペースで成長するには投資によってレバレッジを効かせ、投資先に対し当社のコンサルタントを経営者として送り込む。しかし経営者になるには、戦略を立てるだけではなく実行力が必要です。その能力を磨くために、当社のコンサルタントは顧客と徹底的に伴走しながら現場へ価値提供を行っているのです」（代表取締役社長 野原秀介氏）。

徹底した伴走の背景には、「クライアントファーストを貫く」というバリューがある。このバリューを掲げたきっかけを、野原氏は以下のように語る。

「創業当時は『こういうビジネスをやりたい』というように、自分達が出発点でした。しかし売上が全く立たない時期が1年半も続いたのです。その結果から学んだのは、ビジネスの基本は顧客がお金を払ってでも解決したい課題に応えること。そこでこのバリューが生まれました」

バリューの実践で力を入れているのが「現場への価値提供」である。戦略を立てても実現しなければ意味はない。実現するには一つひとつの仕事を、周囲を巻き込みながら推進していく必要がある。そこで同社が行っているのが、前項で紹介した顧客の現場での伴走である。ともすると上流の戦略立案に価値が置かれがちだが、同社では戦略は目標に過ぎないと捉え、実行という苦しい道のりを、手を抜かずに歩むことを重視している。「だからこそ顧客に継続して起用してもらえるのです」と野原氏は語る。

同社では現場の課題を常に共有するために、組織をフラットにしている。社長・役員を除けば部長・グループ長・一般社員の3階層しかない。オフィスはワンフロアで個室はないので、現場の課題は一般社員から経営層にすぐ伝わり、顧客へのシフトが組まれる。

現場では顧客の課題だけではなく、同社の課題も顕在化する。プロジェクトを進める中で、コンサルタントには業界知識や部署間調整のスキルまで、様々な能力が求められる。そしてそのニーズは時間とともに変化していく。そこで同社では現場からのフィードバックを基に、独自の研修プログラムを作成。新人コンサルタントに対し、1～2カ月かけて最新のノウハウを提供しているのだ。

なお、同社のコンサルタントは異業界、事業会社からの転職者が多い。その理由も「価値提供」がキーワードとなっている。

「経験者を採用して活躍してもらっても、『コンサルタントの経験』が会社から会社に移動しただけで、社会全体としては価値を生み出していない、というのが私の考えです。むしろ未経験者をきちんと育成し、コンサルタントとして顧客の現場に送り出すことによって、社会全体へ価値を提供できるのではないでしょうか」（野原氏）。

「日本経済に、パラダイムシフトを。」もたらす準備は着々と進められているようだ。

野原氏には「売上が全く立たない」1年半を過ぎて売上が伸び、社員が4、5名と増え始めた頃から取り組んでいることがあるという。月1回の全社会での業績共有だ。その場では数字の共有に留まらず、経営方針の確認や社会的意義についても都度伝えるようにしている。

「会社経営や組織運営で大切なのは、みんなの心を一つに束ねて引っ張っていくことです。自分達がしていることは何か、どのような意義や社会的責任があるか。この点については経営者がトップダウンで伝え続け、求心力を高めなければなりません。そして求心力がしっかりと高まっていれば、あとは社員が能動的に活動してくれればいい。マイクロマネジメントはしませんから」（野原氏）。

野原氏の言葉通り、同社の社員は自らの仕事の社会的意義を理解しながら、様々なことに自主的に取り組んでいる。例えば勉強会が挙げられる。中小企業診断士の資格保有者が、勉強のプロセスで学んだことを共有するために開催。IT関連の資格保有者が社内から新たな合格者を出すために、次の試験日に向けて開催。大手の顧客の社内調整について実践で学んだコンサルタントが、後輩に知見を共有…というように、社会や顧客の貢献に繋げる目的で自主的に学びの機会を生み出している。また数カ月に1回のペースで、顧客や協力会社、人材エージェント等を招いてパーティーを開催することもあるそうだ。

社員同士の交流も活発だ。誰かが社内チャットで呼びかけるとすぐに賛同者がレスポンス。ビアガーデンで暑気払い、屋形船で隅田川下り、週末にはスポーツに山登り…と、オフサイトでの集まりも盛んだ。

将来経営者となるために、現場への価値提供にこだわり、徹底的に顧客と伴走する。そんなコンサルタント達が集まり、切磋琢磨し合う場に招きたい仲間とは。野原氏は最後にこう語った。

「率先垂範、自ら進んで他に範を示せる人ですね。バリューにも『率先垂範し変革の主体であり続ける』とありますが、人間関係から職場環境、そして日本経済まで、今とは違う形にしたいのであればまず自分を変え、周囲に影響を与えることが筋です。自分を変えることは時に痛みを伴いますが、それでも自己変革に対してオープンでいられる。そんな人に参加してほしいと思っています」