貴社を設立した経緯を教えていただけますか。
前職の外資系証券会社時代、私は地域金融機関営業部に所属し、地方銀行や信用金庫をクライアントとして金融商品の販売に従事していました。 しばらく仕事をする中で、情報の非対称性に起因する取引が多いことを実感しました。金融機関の運用資金は預金が源泉となっています。その預金とは地域ごとに存在する産業、そこで生まれた企業や従業員が長い年月をかけて積み上げてきた資産であり、金融商品を販売することは日本人として育ってきたはずの自分がその資産を外国企業の収益に転換することになる構図に違和感を持ったことがキッカケで別のキャリアを考えるようになりました。 転職という選択肢も検討したのですが、自分の能力や才能を日本のために活かしたい、という想いの受け皿になってくれそうな会社は見つからず、自身で起業するという道を選びました。
設立時に定めたビジョンにはどのような思いが込められていますか。
私は日本生まれ日本育ちなのですが、ここに至るまで義務教育、治安の良さ、無料で多くの本が読める図書館等、日本という国の様々な社会的資本に支えられてここまでやってきました。この資本を享受するだけではなく、より良いものにして次世代に渡したい。そのために経済の側面から働きかけていこうという想いを込めたのが「日本経済に、パラダイムシフトを。」という当社のビジョンです。 戦後の日本経済は人口増加社会を前提に最適化されてきましたが、現在の日本の状況からはギャップが生じています。高齢化・労働人口減少によりGDP成長率も実質的に0%近傍となってきており、これまでのような目標設定・成長モデルを維持し続けることは難しくなってきていると理解しています。 このような社会において、日本全体が心を一つにして未来に向かうことできるような新しいスタンダードを当社が示し、パラダイムの転換を促す役割を果たしたいと考えています。
野原様の仕事観を教えてください。
人間は生まれて死んでいく儚い存在だからこそ「自分は生涯を通じて、社会に対してこのような役割を果たしたんだ」と胸を張って言えるような何かを、仕事を通じて成し遂げたいと思っています。 私の好きな小説に、司馬遼太郎の『坂の上の雲』があります。主人公の秋山好古・真之兄弟は「あの人達がいたから、今の日本がある」と言われるような存在です。私個人としては彼らのような人物をロールモデルとして思い描いています。
社員のマネジメントで大切にされていることは?
「人が成果を上げるのは強みによってのみである」というドラッカーの言葉があります。私はこの言葉がとても好きです。なるべく長所に目を向け、本人が気付いていないところも含めて強みを引き出して、活躍の場を提供する。そんな強みによるマネジメントを大切にしています。 先ほども触れたように、人はどんどん減っています。もちろん雑に扱っていい人的リソース等、今も昔も存在しませんが、かつてのように大量の労働者を役割という型にはめてしまうのではなく、一人ひとりの潜在能力を失わないようにマネジメントしていかなければいけません。 もう一つ大切にしているのは、社員をきちんと見てあげること。誰もがアテンションを求めていますから、きちんと見て、気付いたことがあれば声をかけています。今、オフィスはワンフロアで社員と私のテーブルも近いので、お互いかなりフランクに話しかけられる状況にあります。
お忙しい中、どのようにリフレッシュされていますか。
リフレッシュ方法は、ウエイトトレーニングと読書です。 ウエイトトレーニングは昔から少しずつやっていましたが、意識して定期的にやるようになったのはこの1年くらいです。週1〜2回、朝7時のジムの開始とともに1時間トレーニングをして、9時の出社に間に合わせています。実感として、きちんと運動をしている時の方が体調も仕事のパフォーマンスも良いですね。ですから忙しい中でも早起きして、無理やりにでも運動する時間を確保しています。 読書については、元々私は本から学ぶことは非常に多いと思っているのですが、特に古くから読み継がれている名著とされる本を中心に読むことが多いです。新書等話題の本をパラパラと読む時もあるのですが、時間の経過に耐えてまだ残っている良書は沢山あって、そこから貪欲に学ぶことは普段からやっています。お勧めの本を聞かれるケースが多いので、読んだ本はリストにしてあります。