宇宙物理学の博士号を取得後に、リアルな産業や現場の課題解決を行いたいと会社員へ。その背景には、どのようなきっかけや思いがあったのでしょうか?
宇宙物理学は理学、つまりサイエンスの世界であり、純粋な好奇心に基づく探求の分野です。結果として人の役に立つこともありますが、直接的な社会貢献を目指すものではありません。 私自身、未知のことを知りたい、謎を解き明かしたいと取り組んでいましたが、周りが非常に優秀で、研究者としての自分に限界を感じ始めていました。このままだと新しい発見もなく、中途半端な状態になってしまうと考えるようになったのです。 そして自分が本当にやりたいことは何かと深く考えた結果、社会を支えている産業分野で役に立ち価値を創出したい、それを次の生きがいにしていこうと考えるに至りました。 当社の事業内容は、まさにその延長線上にあります。我々は各々の強みを最大限に生かし、人々の生活を支える産業で現場が抱える課題解決に真摯に取り組むことで、社会への貢献を目指しています。
会社設立に至るまでの過程と、直面した困難があればその克服方法についても教えてください。
所属していたDeNAでAIを活用した新規事業の創出を任され、100社を超える会社からヒアリングを行いました。その中で電力会社の計画業務の話を聞き、社会基盤を支える大企業が人の頭と経験に頼って複雑で難易度の高い計画業務を行っていることに違和感を覚えました。初めは1社だけの問題かと思いましたが、他社も同様の課題があると分かり、ソリューションが存在しない社会課題の解決に取り組む意義を感じました。 しかし、DeNAの本業とのシナジーがなく、資金や人材を投じてもらうことが難しいため、スピンオフすることにしました。現在もDeNAに株式を一部持ってもらっており、事業の成功を還元できる良好な関係です。 開発においては、課題解決の方法を誰も知らないし手段も分からないという難しさがあり、トライ&エラーを繰り返しました。また社会インフラのプロジェクトは不可逆性が高く、顧客企業内で承認を得るのが難しい面もありました。しかし顧客側担当者の意識が高く、新しい取り組みに積極的に協力してくれたことが大きな助けとなりました。
ビジョンとして掲げる「社会基盤の最適化」を実現するため、今後の具体的な取り組みを教えてください。
提供する『Optium』は企業の計画業務の課題を深く理解し、フルオーダーであらゆる条件を実装できるユニークなソリューションです。 その展開とともに、プロダクトベースでのソリューション提供に向けた取り組みも進めています。 第一弾として、化学業界特有の計画に特化した『Planium』の正式版をリリースします。その後はこれまでに得た知見を生かし、実績のある様々な業界に向けた計画最適化ソリューションをSaaSとして順次提供していきます。 将来的には、グローバルスタンダードであるERPパッケージベンダーのように、当社のソリューションがなければ高度な事業運営が難しいと言われる存在を目指します。その先では、個別企業の最適化だけでなく、複数の企業間でのリソースの最適化を実現し、社会全体の効率化に貢献したいと考えています。 具体的には、ある企業のリソースに過不足がある場合、各企業の計画が常に高精度に保たれていることで、高度なリソースの融通が可能となり、社会的に無駄をなくすビジネスモデルが実現できます。これがビジョンである「社会基盤の最適化」の意味するところです。
仕事を離れた時間では、何をして楽しんでいますか?
趣味は自転車で、もともとはトライアスロンをやってました。自転車は相手との戦いであり戦略的な面が強いのが特徴。状況に応じてベストな打ち手を探す競技だと感じています。例えば、平坦な所では他の人を風よけに使ってラクをしたり、上りではあえてペースを上げて相手を引き離したりします。かなり戦略的にリスクテイクするところに面白さがありますね。 一方でトライアスロンでは、自分をコントロールすることが求められます。自分の身体の状況を客観的に捉えて、ゴールまでを見据えて全体を通じたパフォーマンスを最大化しなければなりません。ギリギリを見極める必要があります。 スポーツは頭をリセットするのに役立ちます。一旦ストレスから切り離されることで、再び課題に向き合う時に上手くいくことが多いです。仕事と別の世界を持つという意味でも重要で、それぞれ世界で自分は別の立ち位置にいることが多いもの。別の立場から物事がどう見えるのかというのは、仕事にも応用が利きます。真剣に打ち込める世界を仕事以外にも持つことが、物事の判断には大切だと思っています。
最後にGreenユーザーへのメッセージをお願いします。
私達は、顧客や社会のために本当に価値のあるソリューションを提供しています。そして利益を優先するビジネス的な判断ではなく、顧客と社会にとってベストな選択を強い意志を持って行う社会実装を徹底しています。誠実に取り組んだ結果、社会に信頼され、技術は一次的な流行りではない形で確実に浸透していくと確信しています。 仕事は人生の一部です。だからこそ誠実さを持って働き、気持ち良く仕事をすることが大切です。私達のチームは、多様な働き方を尊重しながらも、誠実に仕事に取り組む人々が集まっています。そのため新しい人にも、顧客や社会のために貢献したいという強い意志を求めたい。スタートアップとして、他にはない新しい挑戦をしながら、誠実な姿勢で顧客と社会に価値を還元していくことが私達の使命です。 共に未来を切り開き、本当に社会に貢献する仕事をしませんか?エントリーをお待ちしています。