株式会社ポロック

株式会社ポロックは「天職の創造」という事業理念を掲げ、業界・業種にこだわらず、様々な事業を展開するグループ会社を設立し、会社設立や事業創造、人材育成や財務等、事業成長を支援しているベンチャー企業である。現在は、リーダー育成をミッションとしてSES事業を展開する株式会社ライコン等のIT企業3社に加え、介護・看護業界に特化した人材事業を行う株式会社LooL、フリーランス支援事業を行う一般社団法人日本個人事業主協会等、九つのグループ会社を支援している。

ポロックの創業は2019年2月。代表取締役社長・足立賢祐氏と専務取締役・末光勝輝氏の二人が創業者だ。二人は高校時代の部活仲間で、在学中から、いつか独立して起業しようと話し合った間柄だ。高校卒業後は別々の道に進んだが、お互いが24歳の時に足立氏の結婚式で再会し、改めて起業の意志を固め、会社設立に至った。

再会した当時の足立氏は、大学卒業後、大手中古車販売会社で営業を経験し店長まで務めたものの、それが自身の天職とは思えず歯がゆい思いをしていた。一方の末光氏は、専門学校を卒業後、ペットショップやデザイン会社、漁師、IT人材の営業等の様々な職を経験しながら、自身の働き方や職を模索していた。

そんな二人が話し合って決めたのが、一人ひとりの思いに合致した働き方を創造できる会社を作ることだ。日本の社会では“石の上にも3年”という価値観が根付いてきたが、世の中は変わり、インターネットを通じて誰もが世界と繋がれる今、その価値観は見直されつつある。

「例えば1週間のうち3日はエンジニア、1日は営業、もう1日はパン屋で働くといった働き方を3年も続ければ、エンジニアとしては勝てなくても、様々な経験をした分、社会人としての厚みは付いてくる。その上で進む道を選択すれば良い。我々自身もいろいろな経験がしたいですし、そういう人が集まれば最強の“面白集団”になる。できるだけ多くの経験値が積める会社で、我々もみんなと一緒にいろいろな経験をしよう。グループ内で多種多様な事業会社を作れば、転職を重ねなくて済みます。高校時代から書き溜めていたノート3冊分の事業アイデアを全て実現するつもりで立ち上げたのが当社です」（末光氏）。

優秀な人材を集めるため最初に着手したのが、二人の営業力を生かせるSES事業だ。2019年5月にライコンを設立。未経験でも前職で何らかの実績を築いた経験を持つポテンシャルの高い若手人材を採用し、現場管理力を駆使し、現場で経験を積ませることでリーダー層が育つ仕組みを作り上げ、着実な成長を遂げてきた。

「当社は決してシステム開発会社ではありません。ITを入り口にして、ゆくゆくは自分の道を見つけられるポテンシャルを重視して採用しています。面接では、何をしたいのか、どんなことに関心があるのか、熱中することは何かを根掘り葉掘り聞きます。入社後、やりたいことを発信し、チャレンジしてもらうためにこのような採用をしています。我々は未来を買っているのです」（末光氏）。

同社の強みは、会社を生み出し成長させるために必要な力だ。グループ会社のホールディングス機能を担う同社本体には、事業創造のプロフェッショナルが在籍し、事業の立ち上げから仕組み化までを一貫してサポートできる体制が整う。

設立から5年、既に社員の思いをきっかけに新しい事業が生まれている。福祉業界の人材事業を行うLooLは、福祉業界をITで支援したいという志を持って入社した社員の思いから生まれた子会社だ。ポロックのコアメンバーが立ち上げ、経営の下地を作った上で、いずれは本人に経営を任せていく計画だ。エンジニアだけではない。営業として入社し、独立して社長となった社員もいる。その子会社は年商2億円の規模に成長し、現在は、さらに次のステージに向かう準備を進めている。

同社が行うのはグループ内での独立支援だけではない。グループ外の法人に対して新規事業立ち上げと事業成長を支援している。

「新しい会社を立ち上げて育てることは簡単ではありません。上場企業の社長でも失敗しています。私達は何十億円という会社はまだ作れていませんが、0から1億円の会社を作ることでは失敗していません。クライアントとジョイントベンチャーを立ち上げたり、事業継承の問題を抱えた企業をM&Aによって復興させたりして収益を確保しています」（末光氏）。

そのようにして事業会社を増やし、成長させてきた同社が、“天職に出会うきっかけを作り出す”というミッションを達成する上で、分かりやすい目標として掲げるのは、2,000社の会社設立だ。そして設立から5年で150名が在籍する企業グループに成長した今、そのミッションや目標に向け、事業体制の再構築に取り組んでいる。これまで同社自体はグループ会社の支援に特化してきたが、より強固な収益基盤を作るため、同社自体でしっかり事業を行える体制を整えている。現在進めていることは、組織作りと、その組織図に即して配置する人材の採用、売上の拡大、上場を目指せる事業の創造である。

その取り組みの一環として、2023年6月に新設したのがITソリューション事業部だ。外部への支援を行う中でシステム開発の依頼が増えたことから、SESを軸にしつつ、派遣や受託等、クライアントの要望に応じた柔軟な支援を行える体制を整えてきた。既に国立大学法人や大手企業等のエンタープライズから中小企業まで、大小様々なクライアントに対する支援で実績を残している。そのほとんどが直案件だ。

「事業実態のなかったところから順調に売上が上がり始めています。実際にするかどうかは別として、上場も視野に入れられるぐらいの基盤は作っていきたい。ITソリューション事業を売上の柱として確立し、“天職の創造”というビジョンを実現する根幹となる柱を作っていく考えです」（末光氏）。

これまでは未経験者を採用し、現場での経験を通じて育てる手法を採ってきた同グループだが、計画の遂行を加速するためには育成のスピードを速める必要がある。そこで現在は、経験が浅い若手社員を束ね、牽引できるリーダー層の採用に注力中だ。

現在ポロックグループには、東京本社、大阪支社、それぞれ約50名のエンジニアが所属している。その多くが、過去の経験を生かしながら、自分の適職を見つける、または作り出すことを念頭に業務を行っている。実際にエンジニアから営業に転じて活躍している社員もいれば、経営者を目指す者、人材育成に道を開こうとする者、エンジニアとして培った幅広い経験や知識とコミュニケーション力を生かし、マネージャーやコンサルタントとしてのキャリアパスを目指す者等、多種多様なビジョンを描きながら開発現場で経験を積んでいる。

これまで経験の浅い若手エンジニアに対しては、現場の経験を積ませながら、半年ごとに面談し、顧客や上司からの評価等をフィードバックすることで育成を図ってきた。新人に仕事を教えるリーダー層に対してもマネジメントスキルのフィードバック等を行っている。

採用戦略部・福本龍聖氏が語る。
「半年ごとのフィードバックでは、各社員のキャリアビジョンに対し、客観的に見た適性もしっかり伝えています。その上で、次の半年の課題や目標を一緒に考えています。現在携わっている業務だけではなく、キャリアビジョンも踏まえながら、個々のエンジニアに会社が伴走し、支援しています」

同社は熱量の高い人材が集まる会社だ。経営陣は、エネルギッシュな社員一人ひとりが、自分の夢やビジョンを自然に表現できる雰囲気を作ってきた。社長や役員の前でも緊張したり遠慮したりせずに自分を表現できる文化が定着している。

また、社員同士の人間関係も良好だ。最低でも月に1回は各拠点に全員が集まる機会を作る。硬い雰囲気の社員総会ではなく、会場（オフィス）を装飾してイベント化し、食事をしながら売上や人員計画等を発表して、会社の動向や運営にも関心を持ってもらう工夫をして帰属意識を高めている。社員同士、プライベートでも交流を持っており、バーベキューやキャンプ等、有志による活動も活発だ。社員同士の交流を支援するため、部活動制度も導入している。さらに、クライアントの事業成長を支え、知識やノウハウを持った会社らしく、待遇や制度も整う。福利厚生は誕生日祝い金制度、おうち契約割引制度、マイカー購入割引制度等、設立5年の若い企業とは思えないほどの充実ぶりだ。そういった制度設計にも社員の希望や意見等が反映されている。

設立以来、離職者ゼロという実績は、そういった環境の中で具体的な目標を見出したり、成長を実感したり、何らかの手応えを感じて働けるからだ。

「肌で感じる当社の魅力は風通しの良さです。組織的にはピラミッド型ですが、人間関係はスクエア型です。風通しの良さ、発言のしやすさを重視しているのはベンチャー気質の当社ならではだと感じています」（福本氏）。

「心が躍る体験を。」「チャレンジ精神を持つ。」「仲間を尊重する。」

これが同社の行動指針だ。働くことや職に対する未来を作りたい。そんな価値観に共感し、行動する熱量を持った人材を、同社は待っている。