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株式会社ラウンド

  • 製造・メーカー系
  • IT/Web・通信・インターネット系

ニッチ戦略で顧客とのフラットな関係と高収益を実現する電子機器メーカー

自社サービス製品あり
残業少なめ
カジュアル面談歓迎

企業について

株式会社ラウンドは、1985年11月、大手電子機器メーカー出身の技術者が京都府宇治市で創業した開発会社だ。現在(2024年10月)は2023年9月に、創業者から経営を引き継いだ代表取締役社長・高橋光史氏が中心となり、自社製品の開発・製造・販売を軸に、受託開発やOEM生産を行っている。

同社が最も注力するメーカー事業で手掛けるのは、業務用映像機器、文教向け授業支援システムだ。
業務用の映像機器では、コンピュータから出力される映像を、複数つのモニタに出力したり、切り替えて映したり、遠くに伝送したりする製品を開発している。工場や企業のビル等、24時間365日稼働し続ける環境での使用に耐えうるよう、品質と耐久性を考慮し、映像の高精細出力や外乱ノイズ対策等の最新技術を駆使した製品を提供する。

高橋氏が例として挙げるのは、医療機器メーカーと共同で開発し、同社ブランドで提供する監視装置だ。大型の病院に導入されるの血液成分を分析する装置をリモートで監視・対応するための仕組みで、技師が手薄となる夜間時間帯に一括管理するために使われている。

「この製品に関しては、ほぼ独占状態であると認識しています。血液の搬送機を導入する病院は全国でもせいぜい1,000院。全国制覇しても1,000システムしかない市場に参入するメーカーはほとんどありません」(高橋氏)。

また、文教向け授業支援システムで開発するのは、高等学校、専門学校、大学等の高等教育機関向けの製品である。代表的なのがコンピュータ教室での授業を支援する、デジタル映像中間モニタ配信システムだ。学生側は教師が見本として操作するコンピュータの画面を映し出し、教師側には教室で学習している学生全員のパソコンの画面をサムネイル表示させる。1人の教師が多数の学生を教えるためのコミュニケーションツールだ。

このような高等教育機関向けの授業支援システムを開発する国内メーカーは4社程度、海外製品を販売する会社を含めても競合は10社程度だ。市場が小さいため調査データはないが、主要メーカーの一角を担う存在である。しかも、競合会社の一部にOEM提供しているため、実質的にはトップクラスだ。

さらにソフトウェア製品の自社開発も行っている。ブラウザタイプの授業支援ソフトウェアや、Windowsに特化して細やかな指導を可能とするソフトウェア等だ。少子化で学校の数が減少したことから、大手も参入しない領域である。2020年には、新たな挑戦としてクラウドサービス方式の出席管理システムをリリース。好調なスタートを切っている。

メーカーとして同社が手掛けるのは、いずれも、確実にニーズは存在するものの、潜在的なユーザー数は限られるニッチな市場に向けた製品だ。そういったニッチな市場にセグメントする方針は、受託開発にも通じる。生産ロットが1,000を超える大量生産のオーダーは一切、基本的に受けていない。特に多いのは関西に本社を置く大手電機メーカーや製造機械メーカーで使われる検査装置の開発案件だ。ほかには、R&Dや試作品開発、あるいはモーターショー用のコンセプトカーに使われる電子回路等、量産化に至る前の段階の開発を請け負っている。

ユーザーが本当に必要としているもの、欲しがるものを、自社の技術とアイデアを組み合わせて開発する。また、独占・寡占の状態は、ユーザー側の選択肢がなくなり、市場が衰退する原因にもなる。そのため海外移転などで一旦技術が途絶えてしまったようなメーカーからの要望に応えたOEM開発なども行っている。

「薄利になる大量生産には参入しません。会社の社会への貢献度を測る尺度は収益です。どれだけ収益があるかということが、商品や会社が社会に受け入れられているかどうかのパラメーターになると考えています。薄利であるということは、安くなければ売れない製品を自分たちが作ってしまっているということです。そうではなく、高くても買っていただける商品を作りたい。そのために自分たちのアイデアと技術を注ぎ込む。それが当社の事業方針です」(高橋氏)。

このような事業方針を貫くために重視しているのが、まず、顧客との対話だ。コロナ禍以降、ビジネスの現場でも、オンラインによる非接触型のコミュニケーションが増えた。同社もそれらのツールは生かしながらも、営業や技術者が顧客と直接会ってする会話の中から、製品開発のヒントを得る。高橋氏自身、営業として直接顧客と接する中でニーズを探り、数々のアイデアを生み出し、息の長い製品作りに繋げてきた。直接会うことでしか感じられない空気感、温度感に触れることは、営業面でも最後のクロージングに大きく影響するという。

「当社は製造業ではなく開発会社です。大切なことはアイデアです。こんなことをすればお客様が喜ぶ、これを作れば世の中に受け入れてもらえるかもしれないと考えて、アイデアを生み出すことが、我々の仕事であり、最も得意とすることです。そのためにも、人と実際に会って話すことは宝の山だと考えています」(高橋氏)。

また、技術者教育も重要な要素だ。同社のハードウェア技術者は全て、回路設計と機構設計の両方ができる。自分で思い描いたことを自分で形にできる技術を、一人ひとりが持っている。ソフトウェアエンジニアも、ハードウェアの組み込みソフト、Windows用のアプリケーション、どちらもプログラミングができる。その技術力を背景に、受託開発でも顧客とはフラットなパートナーシップを築き、収益の高さを維持してきたのである。

「創業当時から取引が続く大手メーカーとは、当社の技術者が新人教育を行う関係性です。技術力や提案力についても高い評価を受けており、大手企業との取引では、事業部門自体がなくならない限り、一度も途切れたことがありません」(高橋氏)。

創業者から経営を引き継いで以降、高橋氏が心に決めていることがある。社員たちが何を作るのかから自分たちで考え、自分たちで作れる技術を、自発的に身につけられるような道筋を作ること。それを自身が引退するまでに成し遂げるべきミッションと定める。そのためにも、人への投資を優先し、人を集め、集まった人たちがやりたいと思う仕事を、思う存分にできる環境を作る覚悟だ。

「労働者人口が減る中で事業拡大をするにはベースとして人が必要です。作りたい製品はいくらでもありますが、どんな製品を作るにも2年や3年はかかりますし、研究に回せる人員が確保できなければ作れません。また、人がいなければ受けられるはずの仕事も受けられません。現在は人がいるだけで、差別化になる時代です。新しい考えや価値観を持った人が入ってくれば、社内の刺激にもなります。30年培った技術の良い面を引き継ぎ、お客様に受け入れてもらえる製品作りを進めていただける人材を確保し、育成したいと考えています」(高橋氏)。

高橋氏が技術者育成に力を入れる理由は、自社の優位性を保ち、事業を拡大するためだけではない。技術者自身の価値を高めることも目的の1つだ。どんなものが求められているのかを自分たちで考え、自分たちで形にできる技術力があれば、会社に依存する必要もない。

「ファブレスメーカーの当社にあるのは人の価値だけです。だからこそ人は大切にしたいと考えています」(高橋氏)。

このように人を大切にする姿勢は、離職率の低さにも繋がっている。創業2年目、3年目に入社して30年以上勤続している技術者も3名在籍している。技術者だけではなく事務を担うパート社員も同様だ。

「みんな長年働いてくれています。おそらく働きやすいと感じてくれている思います。昔も今もパワハラがあるわけでもないし、無理に残業を強いることもありません。間違っていれば方向修正はしますが、自由に発想し、自由に発信して行動してもらいたいと考えています」(高橋氏)。

理不尽なことを押し付けるような取引先もない。値下げをはじめ、高圧的に無理な要求を通そうとする取引先とは距離をとってきた。結果的に筋の良い顧客だけが残った。

求めるのは、根本的にものづくりが好きな人物だ。やりたいことの理由は問わない。失敗しても構わない。研究にやりがいを見出し、関係者とコミュケーションをとりながら、作りたいものの実現に向け、ひたむきに挑戦する技術者を待つ。

インタビュー

株式会社ラウンドのインタビュー写真
代表取締役・高橋 光史氏 1973年生まれ。大学新卒で小売業界に就職。2003年、株式会社ラウンド入社。大学、病院、工場等で使われる業務用の映像機器の受託営業に携わる一方、メーカーへの脱却を図り、自社製品の開発を牽引し、販路拡大に取り組んできた。取締役・営業部長を経て2023年9月、代表取締役就任。収益性を自らの価値のバロメーターとし「高くても売れる」製品開発にこだわりながら、社会インフラを下支えするメーカーとして持続的な発展を目指す。

── 御社は創業当時から自社開発と受託開発の2本柱で事業を行っていたのですか

いいえ。創業時は受託開発だけでした。私が入社した頃は、OEMはやっていましたが、自社商品はありませんでした。創業者はもともと技術者ですので営業が得意ではありませんでした。自社製品をかついで売り込むことはできません。また、当社は大手のお客様が複数いらっしゃって受託だけでも潤っていたのです。

当社が自社開発に乗り出したきっかけとなった年は2004年です。受託開発やOEM開発は波があるビジネスです。当社は複数のお客様がいましたので、通常なら、あるお客様の仕事が減少しても、別のお客様でカバーできます。しかしその年は、たまたま各取引先の波が重なった年でした。... 続きを読む

企業情報

会社名

株式会社ラウンド

業界

製造・メーカー系 > 電気・電子・機械・半導体

IT/Web・通信・インターネット系 > システムインテグレータ・ソフトハウス

IT/Web・通信・インターネット系 > その他IT/Web・通信・インターネット系

企業の特徴
カジュアル面談歓迎、自社サービス製品あり、残業少なめ
資本金

1000万円

売上(3年分)

202464億3100万円

202363億6700万円

202264億700万円

設立年月

1985年11月

代表者氏名

高橋 光史

事業内容

■業務用映像・コンピュータ周辺機器開発
■教育機関向け授業支援システム開発
■制御機器・計測機器開発
■ソフトウェア開発

株式公開(証券取引所)

非上場

従業員数

16人

平均年齢

43.1歳

本社住所

京都府宇治市五ケ庄芝の東3番地9

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