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インタビュー画像代表取締役・高橋 光史氏 1973年生まれ。大学新卒で小売業界に就職。2003年、株式会社ラウンド入社。大学、病院、工場等で使われる業務用の映像機器の受託営業に携わる一方、メーカーへの脱却を図り、自社製品の開発を牽引し、販路拡大に取り組んできた。取締役・営業部長を経て2023年9月、代表取締役就任。収益性を自らの価値のバロメーターとし「高くても売れる」製品開発にこだわりながら、社会インフラを下支えするメーカーとして持続的な発展を目指す。

御社は創業当時から自社開発と受託開発の2本柱で事業を行っていたのですか

いいえ。創業時は受託開発だけでした。私が入社した頃は、OEMはやっていましたが、自社商品はありませんでした。創業者はもともと技術者ですので営業が得意ではありませんでした。自社製品をかついで売り込むことはできません。また、当社は大手のお客様が複数いらっしゃって受託だけでも潤っていたのです。 当社が自社開発に乗り出したきっかけとなった年は2004年です。受託開発やOEM開発は波があるビジネスです。当社は複数のお客様がいましたので、通常なら、あるお客様の仕事が減少しても、別のお客様でカバーできます。しかしその年は、たまたま各取引先の波が重なった年でした。決して景気が悪かったわけでもありませんが、OEMを含めて仕事がなくなりました。創業時以外に赤字を出したのは、後にも先にもその年だけです。 当時の代表と従業員が主体となって、メーカーとして自分たちで市場を作っていけるようになろうと、初めて自社製品を作りました。それが2004年に自社ブランドで販売を始めた業務用映像機器です。

長期的な事業ビジョンをお話しください

当社は基本的には自社製品を開発するメーカーとしての立ち位置で自立したいと考えています。受託開発やOEMも、これまでに培った技術がありますので、当社を信用してくださっているお客様がある以上はお受けしたいと考えています。ただその売り上げをあてにすると、メーカーになる前の苦しみを再び味わうことになりかねません。 その上で目指す方向性は、まず社会的に脚光を浴びるような商品は作らなくてもよいと思っています。どちらかと言えば、社会インフラを下支えするような製品を作り続けたいと考えています。あくまでも必要な人が、必要なものとして認知して、これがなければダメだと思われるようなものを作っていきたいです。 それは決して急拡大するような事業ではありません。しかしそれがなくなると世の中は困ってしまいます。一発ホームランを狙うのではなく、日陰であり続けながらも、息長く求められるものを常に探して、供給していくようなポジションを維持したいと考えています。10回打席に立てば、1回はヒットが出る。代打専門のバッターのような存在です。 そのような市場を探し出して、ピンポイントで当社の存在をシグナリングしていくことが私の役目です。

社員に望むことをお話ください

従業員にしつこいぐらいに言っていることは、外注先を大切にしてほしいということです。当社は工場を持たないファブレスメーカーです。つまり、外注先がなければ当社の仕事はビジネスとして成立しません。彼らが部材を納品し、加工し、組み立て、部品を実装してくれるのです。それをありがたいと思わずに、上からものを言うようなことをすれば、自分たちで自分たちのビジネスを壊すことになります。お金をくださるお客様も大事ですが、それ以上にうちに物を納めてくださる外注先は、より大切にするべきです。そこだけは守ってくれと言っています。 だからこそ、当社に出入りしてくれている外注先で「もうお付き合いしたくないです」と言われることはまずありません。長くお付き合いしていただければ、当社の癖や要望を理解しながら、私達と一緒に成長していただけます。失敗もありますが、頭ごなしに叩くのではなく、一緒に頑張ろうという気持ちで接することが大切です。 もう1つは自分に投資してほしいと思っています。例えば資格を取ることも1つの投資です。最近は、昔に比べると自分に投資する人が減りました。それは最終的には自分に跳ね返ってくることです。本当は、自分のお金で自分に投資した方がよいのです。会社のお金が惜しくて言うのではありません。その投資は、最後は給料や世の中のポジションとして、自分に返ってきます。 多くの若者は、家に帰ればスマホやゲームで時間を過ごすことが多いようです。もちろん、それが悪いとは言いません。 しかし考えていただきたいのは、皆さん、高校や大学を受験するときは、好きなことも少し我慢して、塾や予備校に通った方が多いはずです。自分を高めるためにお金を払ってまで通ったのではないでしょうか。ところが学校を卒業して、サラリーマンになった途端に、自分への投資をやめてしまいます。就職することがゴールではありません。自分で稼いだお金で本を読むだけでもよい。それだけでできる投資もあるのです。自分に投資をするかしないかで、10年後、20年後の成長は大きく変わります。 私は、自立できる人を育てたいと思っています。その思いはゆるぎません。社会は非常に不安定なものです。会社も将来どうなるかわかりません。今儲かっている会社が急に儲からなくなることもありますし、潰れそうな会社でも将来急成長する場合があります。それらは世の中の流れにも大きく影響されます。どこかの国の天候不良や社会情勢に影響を受けることもあります。円相場が上下するだけでも打撃を受ける会社もあります。私たちの力が及ばない環境変化で、私達自身の仕事も激変するのです。その変化を臨機応変に受け入れられるだけの体力や能力、技術を身につけておかなければ、本人が困ります。会社ではなく、本人に軸を持ち、会社に依存しない人材になってもらいたいと願っています。

御社で働く魅力をお話しください

お伝えしたいことは、当社はあまり日の目をみないような製品を作っている会社ですが、ユーザーとの距離は意外に近いということです。特に文教向けの授業支援システムは、近隣の大学や高校にたくさん納品しています。そのため導入時や不具合があった時など、現場を訪問して、実際に使っている先生方と話す機会も少なくありません。その時に「ここが便利」「ここは不便」と様々な話をお聞かせいただけます。 また受託開発では大手電機メーカーなどに製品検査用機器を提供しています。中には世界中で使われているような大ヒット製品の出荷検査などにも使われています。このような検査用機器は、製品に合わせてオーダーメイドで開発するものなので、その製品がどのような過程を経て生まれたかというストーリーに触れられますし、世界中で使っていただいている製品が、当社が設計した検査用機器を通らなければ出荷できないと思うと、嬉しいなと感じます。 さらに、当社は経営状態が非常に安定している会社です。その安定性の下で、様々なことにチャレンジしていただければと思っています。 ただ、それは来ていただかなければわからないと思います。おそらく、京都の会社と言えば、皆さん京都市内で働けると思うはずです。ですが当社は、ローカル線の駅から歩いて15分の住宅街にある会社ですので、初めて来られる方はびっくりするかもしれません。ただ、今のようなデジタル社会では、働く場所はさほど重要ではありません。自分で発信すれば、世界にものも売れます。地方にある会社でも、世界と繋がることはできると思っています。実際に会って話をしていただければ、当社の本当の姿をご理解いただけるはずですので、ぜひ、話をしにきてください。

最後に転職者にメッセージをお願いします

私は、面接をして、内定を出した人に必ず言うことがあります。それは就職活動をしている時しか、企業の内情を知る機会はないので、たくさんの会社を訪問し、しっかりと話を聞いてきてくださいと言っています。例えば、離職率や売り上げ等のセンシティブな質問に、ストレートに回答してくれる会社は比較的健全な会社です。それに対して有耶無耶な回答をする会社は信用できない会社です。そのような質問をするだけで、長く働けそうかどうかを判断することは可能です。 私は人が仕事をする上で大事なことは、人間関係だと思っています。1日8時間、働いていて楽しいと思うのは、仕事内容にもよりますが、周りにいる人たちとの関係性が大きなウェイトを占めています。人間関係が円滑な方が楽しいと思うはずです。人間は生き物なので、お金よりも心の問題の方が大切です。自己成長のためにも、正しい判断ができる目を養って欲しいですね。少なくとも5社ぐらいは受けて、しっかり精査した上で、当社を選んでいただければ嬉しいです。

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