IT業界でのキャリアのスタートは?
デザイン専門学校で学んだ後、Webデザイナーとしてキャリアをスタートさせました。フロントエンドのコーディングやディレクション等も経験し、徐々にスキルの幅を広げていきました。その後、縁あってインターネットでラジオ放送が視聴できるアプリの開発に携わることになりました。その頃には、バックエンドの開発までできるフルスタックエンジニアになっており、スキルアップとともに業界内でも有名になりました。 IT業界から抜け出そうと考えいたとき、私のキャリアに転機が訪れます。 当時のIT業界は、今とは違って就労環境が整っておらず、朝6時に出社して終電で帰る生活が当たり前。もう少しゆとりのある生活をしたいと考え、業界から抜けようとしました。知り合いからアンティーク家具の輸入ビジネスを学びましたが、残念ながら才覚がなかったようで、IT業界で働いた方が有意義だと周囲に勧められ、半年でIT業界に戻ることにしました。
株式会社ワイヤードパッケージを設立した経緯は?
エンジニアに戻った私は、フリーランスとして生きていく道を選択。 それまでのキャリアで人脈を築いていたので、仕事には困りませんでした。フリーランスエンジニアとして、腕一本で食べていこうと考えていましたが、仲間ができることに。彼らの仕事も作らなくてはならなくなって、それならば法人化してビジネスにしようと考え、起業に至りました。最初は、スマホアプリなどの受託開発案件から仲間とともにスタートしました。 とはいえ、受託開発だけではスキルアップが遅く、エンジニアとして成長してもらうために、他の現場で腕を磨いてもらうことにしようと考え、知り合いの開発会社に頼んで、SESとして外で働いてもらうことにしました。それがSES事業の始まりでした。エンジニアを育成するにはSESで現場を経験するのが近道ですが、経験が浅いとSESでは働けません。そこで、未経験の人材をエンジニアへ育成する事業を始めました。(現BOOT CAMP事業)
ワイヤードパッケージの事業内容は?
未経験のエンジニアを育成して、SESで活躍してもらい、みんなで稼いだ資金で受託開発や自社開発を進める。システム開発会社として、順調に成長していました。メンバーの数も増えて、会社と呼べる組織になりました。SESを事業の中心に据えたことで、キャッシュフローが安定し、経営は軌道に乗りました。 会社の経営が安定したことで、自社開発を始め、AIの一分野である「コンピュータービジョン」に取り組みました。コンピュータービジョンとは、機械学習とニューラルネットワークを使用して、コンピューターとシステムにデジタル画像、動画、その他の視覚データから意味のある情報を導き出し、欠陥や問題が特定された時に推奨事項を作成したりアクションを実行したりするように教える人工知能のことです。 GAFAが巨額の資金を投入してしのぎを削っているマーケットなので、AIのエンジン部分は、小さな会社で開発するのは難しいです。それに、個人的な見解として、AIエンジンを作るのはサイエンティスト。AIエンジンを活用してAIを社会実装するのが、私達ソフトウェアエンジニアの仕事だと思っています。
ワイヤードパッケージの事業をピアズへ譲受した背景は?
コンピュータービジョンの技術を使って画像や映像を解析し、人を認識したり、年齢を推測したり、さらには表情から心の動きを察したりするプロダクトの開発をしていました。2018年にスタートしたプロジェクトは、2020年には形になりました。 ところが、その後が大変だったのです。AIプロダクトは開発だけでなく、その後のチューニングが重要。そこにリソースと資金を必要としましたが、2022年にようやくリリースすることができました。 2024年7月、ワイヤードパッケージは当社(ピアズ)に受託開発・SES・エンジニア育成の事業を譲渡。一部の事業はそのままワイヤードパッケージに残っていますが、私も当社にジョインして、新設された開発部の責任者として働いています。 当社に事業を譲渡したのは、今後の成長を考えた時に、ワイヤードパッケージ単体ではエンジニアの確保が難しいと判断したからです。エンジニアの採用は年々難しくなっており、それに合わせてコストも増加。当社は採用チームが強く、今後の開発に必要なエンジニアを集められると考えました。 加えて、事業のシナジーも事業譲渡を決定する大きな要因でした。当社の子会社である株式会社Qualiagramでは、「おもてなしテック」をコンセプトに、日本のサービス業のおもてなし力をテクノロジーで進化させるチャレンジを続けています。私達のコンピュータービジョンの技術を生かせると考えました。
仕事をする上で大切にしていることは?
チームワークです。開発という仕事は、一人ではできません。 様々なスキルを持った人材が集まり、それぞれの得意な分野で力を発揮して、システムやサービスは作り上げられます。エンジニアだけでなく、ビジネスサイドの人材も必要で、みんながスペシャリストとしてワークすれば、最高のプロダクトができます。 「人を信じても、仕事を信じるな。」 チームワークを実践する上で、大切にしている言葉です。チームワークが機能するには、メンバー同士の信頼感は絶対に必要です。自分にはできない仕事を任せられるから、開発は進められます。ただ、全幅の信頼を寄せていても、仕事の進捗やクオリティーはチェックする必要があると考えています。小まめに情報を共有して、お互いにチェックし合うのが、チームワークだと考えます。 開発が上手く進まない時は、どこに原因があるのか追究しなければなりません。そんな時も、ミスの原因を人に紐付けることなく、純粋に改善としてみることが重要です。ミスを憎んで、人を憎まず。誰がミスしたのかを明らかにするよりも、そのミスがなぜ発生して、繰り返さないためにはどうすればいいのか、建設的な議論をしたいと思っています。 日々、テクノロジーの進化はものすごいスピードで進んでいます。一方で、技術は認知され、活用されなければ我々の生活は変わりません。 「New Normal Acceleration」というパーパスを掲げているピアズでテクノロジーの発展を支えるとともに、そういった便利で豊かになる技術の社会実装を共に目指していくメンバーに出会いたいです。