貴社を設立された経緯を教えてください。
当社を設立したのは大学4年生の時です。学生時代、学内のサークルに10個ほど所属しながらずっとインターンをしていました。広告代理店と教育関連のスタートアップで働き、その後はフリーランスで広告の運用を半年間ほど。ピーク時は高い収入がありました。 親戚に数百名の従業員を抱える企業のオーナーがいて、2年生の頃からビジネスについて指導してもらっていました。私が起業したいと言うと「出資してもいいが条件がある」とのこと。良いエンジニアと組み、上場を目指せるようなビジネスモデルを考える。それが条件でした。 私は以前のインターン先で現在のCTO(倉橋 康熙氏)を紹介してもらい、「ぜひ手伝いたい」と言ってくれたサークル仲間と3名での起業を決意しました。300人へのインタビューを通じて「AIによるスライドの自動生成」に強い手応えを感じたので、まずはこのビジネスモデルを磨き上げることで出資を得て当社をスタートさせました。
起業後は順風満帆でしたか。それともかなり苦労されたのでしょうか。
今はユーザー数が12万人にのぼり経営も安定していますが、最初の3年はユーザーが数百人と厳しい状況でした。当時の日本ではまだ生成AIに関する認知度が低かったので、当社のサービス自体を知ってもらうきっかけがなかったのです。毎月資金集めに走り回り、「もうキャッシュアウトするんじゃないか…」と不安な時期でした。 そんな苦境を乗り越える上ですごく重要なのが、「ピンチの時ほどIQを下げない」ということです。私は幼少の頃から逆境に置かれるたびに、自分で何とかすることで乗り越えてきました。自分の人生に責任を持ちたかったからです。しかも私は経営者ですから、社員を守らなければなりません。自分一人ではなかったことが、この最初の3年を乗り切ることができた大きな要因だと思います。何より、このビジネスはきっと世の中に貢献するとの確信もあったので、社員と共に踏ん張ることができました。 社員のため、社会のため、この会社は絶対に存続させる。その気持ちがブレたことはありません。
宮﨑様の仕事観を教えてください。
私にとって働くことは自己表現です。…と今なら明言できますが、実を言うと学生時代に一度、働くことや生きることについて考えが揺らいだ時期があります。 大学生になってから勉強のために年間100〜200冊の本を読むようになりました。その中で遺伝子に関する本を読んだ時、「人間は遺伝子の乗り物にすぎない」という考え方を知り、インターンで日々忙しく働くことに虚しさを感じたのです。遺伝子を運んで増やして、その先に何があるんだろう?今やっていることに意味があるのか?と。 でもそこで踏みとどまり、自分が「いい」と思える世界を作るためにやれるだけやろう!激しく生きよう!と考え直しました。退路を断つために月100万円稼いでいたフリーランスを辞め、就職活動もしないと決め、AIでのスライド生成一本で行こうと決めたのです。
社員の皆さんに対してどんな思いを持っていらっしゃいますか。
この先AIは仕事においても生活においてもスタンダードになります。AIに慣れ親しみ、使いこなせる人材になってほしいですね。使いこなせる人と使いこなせない人では凄まじい差が生まれると考えています。 そこで会社では私が中心となってAIの活用方法について日々情報共有やレクチャーをしています。意志が強い人、やりたいことがたくさんある人ほど、圧倒的な思考力を持つAIを使いこなすことで飛躍的に成長できると感じています。 もっとも、そのような変化の範囲やスピードは人によって違ってきます。私は「この人は、成長に向けて自分を大きく変えられるな」と見込んだ社員をマネージャーに登用するようにして、あえて高めの要求を出しています。根幹にあるのは、「一般の社員が適性に合わせてストレスなく結果を出せる仕組みを作ってほしい」というメッセージです。 誰もが伸びたい方向に伸び、次世代で活躍できる。そんな人材を育む環境を一緒に作ってほしいと考えています。
最後に、宮﨑様がリフレッシュするための趣味を教えてください。
経営者はアスリートだと思っています。朝早く起きる、運動する、食べる、睡眠をとるという規則正しい生活を送り、つねにパフォーマンスを最大化することが不可欠です。数年前にはお酒もやめました。 とはいえ、気晴らしも大切ですよね。私の場合はゲームが気晴らしです。小さい頃からゲームが大好きで、実家には300本ほどソフトがありました。ゲームをやりたくてよく幼稚園を休んでいたので、周りから「宮﨑君は病弱なんだろう」と思われていたほどです。今でもゲームは好きですが、仮病で休むなんてできませんから、本当に好きなRPGがリリースされた時だけやるようにしています。 もう一つのリフレッシュは読書ですね。今でもビジネス、哲学、小説などあらゆるジャンルの本を年間100冊ほど読んでいます。一番心に残っているのは松下幸之助さんの『道をひらく』です。読み返すたび、休むことなく自分の道を歩いていかなければと気を引き締めています。