ご略歴をお教えください。
1998年に高等専門学校を卒業後、成長していたソフトウェア業界に着目し、システム開発会社に入社しました。そこでプログラマーとして銀行や保険といった金融システム開発に携わります。 3年ほど経ったところで100名ほどの規模のコンサルティング会社の情報システム部門にスカウトされ、社内SEとして入社しました。 そこでは9年ほど働きましたが、経営課題への対応や社員に対するヘルプデスク、外部システムベンダーとのやり取り等、様々な業務に対して孤軍奮闘していました。他にもパソコン端末の手配や管理から1~2億円規模の基幹システム構築まで、いろいろなことを手掛けました。その会社は専門誌の発行も手掛けていて、担当部署からの依頼でデータから制作を自動化するシステムを自作したこともあります。雑誌の巻末にあるデータ掲載ページを従来は人の手で行っていたのですが、その作業が非常に複雑でSOSを受けた形でした。 そのような情報システム部門の業務を9年間手掛けた後、独立して当社を設立しました。
アバンテを創業した経緯についてお教えください。
情報システム部門の仕事は、情熱を傾けることができる良き職業だと思っていました。現に私は、そのコンサルティング会社の360度評価でトップランクの常連でした。社員から頼られる、やりがいのある楽しい仕事だと思えたのです。そのように思いながら活躍していたせいか、外部の様々な企業や学校から相談されるようになりました。それにお応えしたいと思っても、企業に所属している身ではままなりません。以前から独立志向もあったので、今独立しなければ一生しないだろうと、企業の情シス部門を支援する当社の設立を決心しました。 独立することを会社に告げると、当然引き留められました。そこで、独立しても今の会社の業務は続けるという約束で独立を認めてもらうことができました。以来、最初のお客様として今日まで取引を続けています。 前職での情報システム部門業務の中で、圧倒的なスピードで変化するIT領域を担当する者の負荷は大きく、楽しい半面、大変さを味わってきました。そこで、こうした境遇の中にいる情報システム部門の担当者をサポートしたいとの思いが募り、当社を設立したという経緯です。
アバンテをどんな会社にしていきたいとの思いがありますか?
当社の業務を通じて、この仕事の魅力をもっと世の中に広げ、仲間を増やしたいと思っています。例えば、情報システム部門や社内SEが、小・中学生の「なりたい職業」のベスト10にランキングされるような存在ですね。しかし、全くそうなっていないのは、その存在がよく知られていないからだと思います。あるいは、ITエンジニアが脚光を浴びているのに対し、情報システム部門や社内SEは地味でネガティブな存在に思われているのではないでしょうか。 それは、企業等の情報システム部門の人材は営業等、他部門のいずれにも当てはまらなくなった人や、逆に社外から招いたITの専門家が担う傾向があり、ジェネラリストが少ないからです。情報システム部門は、経営と現場を仲介し、経営の意思を現場の隅々まで行き渡らせ、実現させる仕組みづくりをITで実現させるといったミッションがありますが、以上のような“偏った”人材だと経営と現場を仲介できず、軋轢が生じがちとなります。そこで、ジェネラリスト集団としての当社がそんなネガティブなイメージを改め、素晴らしい業務であることを知らしめていく存在になりたいと思っています。
そのために社員に対して期待することや、どう活躍してほしいかといった思いをお聞かせください。
ITに詳しくなって人生で損することはありません。逆に、ITで人の役に立ち、人を幸せにすることができます。ただ優れたITがあっても、宝の持ち腐れになることも多いです。その仕組みを、企業にかかわる人たちに伝え、活用させることができる、当社でぜひそんな人材になってほしいと願っています。 IT領域で活躍するのは、大学で専門領域を専攻したスペシャリストと思われがちですが、そうではなく文系のジェネラリストとして活躍できる道もあるのです。SNSやツールの使い方等、様々なことをライトに知り、コミュニケーション力と知恵を持って、人の困り事に対応していくのは文系人材でも十分に可能です。 また、この仕事を通じて企業経営者等のハイレベルな人と直接話す機会も多く、そんな機会を通じて自らのステージを上げていくチャンスもあります。ぜひ、そのようなことへのチャレンジもしていってほしいですね。 私のことをお話しすると、少年時代はこれといった得意分野がないことに悩んでいました。何もないと感じるまま30代となり、そこで「何もないからこそ、何でもできるのではないか?」と気付いたのです。ジェネラリストの価値に気付いた瞬間です。この気付きのおかげで、現在の私やアバンテがあるということですね。
佐々木さんの仕事観をお聞かせください。
突き詰めれば、「人の役に立って、その報酬を得ること」だと思います。自由経済にあっては、その報酬は大小様々。自分の報酬が安ければ、努力と工夫で高めていくことができます。そこに成長の源泉があると思います。 また、仕事とは「自分にできることを相手に約束し、約束したことを達成すること」であるとも言えるでしょう。契約に近い考え方ですが、それを遵守することで信頼が生まれ、次の仕事の機会に繋がるということです。