起業を決意したきっかけについて教えてください
前々職のIT企業でエンジニアとして電子カルテに関わっていた頃、ちょうど第一次AIブームが来ていて、「医療データでも活用できるのでは?」と考えたのが最初のきっかけでした。例えば、認知症の進行を予測できれば、経験の浅い医師でも早期に対応できる。そんなデータ解析の仕組みを作れたら面白いなと。 でも、実際に医療データを扱ってみると、そもそもデータが揃っていない。大手病院の一部では整備されていても、診療の記録方法は病院ごとにバラバラで、統一ルールがない。地方では未だに紙カルテが使われていることも多く、AIを活用しようにも前提となるデータが整備されていないんです。 もし、医療データを蓄積・統合できるプラットフォームがあれば、研究や治療がもっと進むはずです。難病の発見率が上がり、地方の患者も適切な診断を受けられる。製薬会社が貴重なデータを活用できれば、新薬開発にも繋がるかもしれない。そんな未来を実現したくて、この事業を立ち上げました。
御社の強みと、他社にはない独自性を教えてください
主力サービス『パシャっとカルテ』の強みは、「管理できるデータの幅広さ」と「使いやすさ」 にあります。健康診断の結果、検査データ、処方薬の記録等を一元的に管理できるのが大きな特徴です。 医療データは紙ベースで記録されることも多く、データの形式が病院ごとに異なるのが課題でした。そこで、AIを活用してスキャンデータを自動処理し、人の手で最終調整する仕組みを構築しています。これにより、データの統合精度を高めながら、業務フローを効率化することができています。 さらに、ユーザー層に合わせたUI/UX設計も強みの一つです。30代以上の利用者が多く、特に50~70代の方々にも支持されているので、とことん使いやすさにこだわっています。文字を大きくし、操作を直感的にすることで、スマホに慣れていない方でもストレスなく利用できるよう工夫しています。 こうしたデータ管理の精度、AIの活用、分かりやすいUIの三つが、当社ならではの強みです。
今後の方向性と、エンジニアへの期待をお聞かせください。
これからは「自分の医療データを自分で管理する時代」になると考えています。その中で、患者自身が自分の意志で医療データを活用し、価値として活用できる仕組みを考えています。例えば、研究機関や製薬会社が貴重なデータを求める一方で、患者側は治療費の負担が大きい。データ提供によって適正な対価を受け取れるようになれば、患者にとっても負担を軽減できるし、医療研究の発展にも貢献できる。こうしたシステムを実現することで、少しでも生きやすい社会に繋げたいと考えています。 当社は今、まさに拡張期にあります。ユーザー数や蓄積されるデータ量が急増しており、体制強化が急務です。その中でエンジニアには、自由にキャリアを伸ばしてもらいたいと思っています。新しい技術を学びたい人、キャリアを積みたい人、それぞれが当社の環境を生かして成長してくれれば、それが一番です。これからも新しい技術やアイデアを取り入れながら、一緒に新たな挑戦を進めていきたいですね。
座右の銘と仕事観を教えてください
「やるぞ!」と気合を入れるタイプではないんです。無理に頑張らなくても、結果が出せたらいいよねという考え方です。だから、座右の銘は特にありません。人生、気張らなくてもいいんじゃないかなと。 仕事も大事ですが、家族の時間も大切にしたいと思っています。仕事の代わりは誰かができても、家族の代わりはいない。だから、社員にも「家族を優先していい」と伝えています。繁忙期は調整が必要ですが、普段は公私のバランスを取れる環境が理想ですね。 私にとって仕事は趣味でもあり、生きがいです。世の中を変えられるような器ではないけれど、せめて自分の足で立ち、生き抜いているという実感を持ちたい。 昔は「大企業にいれば安泰」と言われてきましたが、今はそうじゃない。頼らずに自分の力で生き抜ける生命力があること。それを実感できるのが、起業の面白さだと思っています。ヒリヒリするような刺激も欲しいし、何より自分が納得できる生き方をしたいですね。
求職者へ向けてメッセージをお願いします
当社は働きやすい環境だとよく言われます。子育て中の社員も増えていて、互いに理解がある職場です。ランクが上がれば裁量権も広がり、「新しいことをやりたい」と言ってくれれば、そのフィールドはしっかり用意します。 副業もOK です。実際にフリーランスとして土日に活動している人もいれば、技術が好きでいろいろ挑戦している人も多い。起業を目指す社員もいます。企画書を持ってきてもらえれば、内容次第で個人的な出資も検討するし、求められれば経営のアドバイスもします。そういうチャレンジを歓迎する会社です。