株式会社ファーマテック

株式会社ファーマテックは、薬剤師52名を含む72名で、12の調剤薬局を運営している。
薬を販売するのに一番大切なのは「人」であるとの強い信念の下に、様々な工夫をこらす同社。

それも、代表取締役の蛭沼氏の経験によるところが大きい。同氏は、大手のチェーン薬局に薬剤師として勤務していたが、効率を追及するチェーン展開型の経営では、薬を販売する「人」を育てることはできないと考え、独立を決意した。

患者の目線で店を作り、個々の患者のニーズに応じたサービスを提供できる個人商店型経営こそが、理想的な姿だと考える同社では、運営する各薬局の責任者を個人商店主ととらえ、経営上の権限や責任を大幅に委譲した経営を行っている。

同社の掲げる理念は、「店づくりは人づくり」。
個々の薬剤師や社員に求められるものは大きい。しかし、薬剤師が薬を渡すだけでなく、まずは患者の話を最後まで聞き、その人の状況に応じた最適な対応をすることができるようになるための「人づくり」を、同社では全力でバックアップしている。

社員一人ひとりをよく見て、コミュニケーションを欠かさない蛭沼氏のもと、社員達も自発的に店舗の運営に関わり、店を良くしていく努力を続けているという。

前述のように、同社では、「人づくり」への投資は惜しまない。
日本薬剤師会学術大会・日本薬学会・地域講習会等への参加や、社内教育研修制度など、専門性を高める研修のほか、定期的に異業種の人を呼んで講演会を開き、視野を広げるように促すなど、社会人としてのコミュニケーションスキルをも育成している。

実際、同社で働いている人たちは勉強熱心な人が多く、自ら希望して研修に出かけることもある。長く経験を積んだ社員は先輩としての自覚が強く、若い社員に丁寧に業務を教える姿も見られる。

また、代表の蛭沼氏自身は、現在でも現場から離れることがないという。新規店舗の立ち上げの際には自ら出向いて薬局に立ち、軌道に乗るところまで指導を行ったり、マーケティングを行ったりしている。

薬剤師として、対等な立場で話せる蛭沼氏。同氏は、これからの医療人として何をするべきか、何ができるのかといったことを、社員と話すことを大切にしているという。研修プログラムの構築に際しても、現場やその他いろいろな人から意見を聞き、同社ならではの「人づくり」を自ら模索しているのだ。

現在、12ある店舗は、二つのタイプに分けられる。一つは、新丸の内ビルに入居する丸の内ファーマシーや大崎シンクパーク内のシンクパークファーマシーなど、オフィスタワーにあるメディカルセンターに併設された都市型薬局。もう一つが、関東・関西の各地にある郊外型薬局だ。

都市型薬局では、オフィスが近いことから患者の往来も多く、複数のクリニックの処方箋を一手に扱うため、患者にとっては便利であり、また同社にとっては経営が安定し、薬剤師にとっても働きやすい環境を提供できるメリットがある。郊外型では、地域密着のかかりつけ薬局として、処方箋を持ってくるだけでなく、高齢者福祉施設や介護型住宅などへの薬配を行ない、地域の薬需要を囲い込んで、基幹薬局になることを目指している。

このように積極的な展開を今後も続けていく方針の同社で、求められる人物像とはどんなものだろうか。

同社では、医療サービスとはその名のとおり、サービス業であるという認識を持っている。このため、そのことを忘れずに、人と人とのつながりを大切にすることができる人を求めるという。また、会社からの「人づくり」のバックアップはもちろん充実しているものの、それを生かすのは一人ひとりの社員であることから、やる気があってまじめな人であるということも重要だ。

また、同社では、年に2回、「自己考察シート」を使った能力開発評価を行っている。これは、仕事内容やそれに対する自己評価と、今後の希望について書き込み、上司と一緒に確認するというもの。仕事に対する前向きな希望は極力聞き入れ、実現するようにしている。

社員の人数も少なく、薬局の雰囲気もアットホームで、離職率も低いという。それだけに、同社の理念に共感し、まじめに業務と人に向き合える人の応募を待っている。