仕事で大切にしていることとは何でしょうか?
「逃げない、やりきる」ということです。経営者の仕事は、判断することの連続です。一つのことに対して賛成、反対といろいろな意見があります。私も社長になる前はネガティブな意見を言ったこともありますが、社長となった今は、ネガティブな意見は参考にしつつも“やらずの後悔”だけはしたくないと思っています。なぜならば、そこからは何も得るものがないからです。 もちろん、明らかにやるべきでないこと、失敗が確実なことはやりませんが、やってみなければわからないことは全力でチャレンジしようと思います。それで失敗しても、失敗から得るものはあるからです。前向きにチャレンジできる機会は逃したくはありませんね。 また、私はたまたま縁があってゲームスタジオの社長をやっていて、幸いなことにいいメンバーと仕事ができる環境にいます。そうした中にあって、自分の役割としてゲームスタジオとかかわる人たちにはゲームスタジオを好きになってもらうことがあると思っています。それができなければ、自分に魅力がないということ。ですから、常に自分に磨きをかけていかなければなりません。そのためにも、ここに集まる人たちとはお互いに刺激し合い、吸収し合っていきたいと思っています。
社員に対して、どういう存在としてどう活躍してほしいと思っていますか?
いい人間であってほしいと思います。業績を上げることは重要ですが、しかし仕事ができるだけの人では面白くありませんし、あまり付き合いたいとは思われないでしょう。ぜひ仕事を通じて、人として味のある魅力的な人になってほしい、人気者になってほしいと思っています。 その基本にあるのは、嘘をつかない誠実さにあると思います。誠実さがベースにあって、初めて他人から信頼され協力してもらえるようになるのです。薄情な人、平気で嘘をつく人に誰も仕事などお願いしたくないですよね? そもそもそういう人では、ゲーム会社の社員として面白いモノを世の中に出していくことは難しいでしょう。今の時代、自分ひとりでゼロからゲームをつくってリリースすることはほぼ不可能だからです。
趣味やオフタイムの過ごし方をお教えください。
無趣味ですね(笑)。 以前はゴルフをやっていましたが、メンバーを揃えるのが大変であまり行けなかったので、一人でもできるサーフィンを始めました。しかし海にもなかなか行けず、それではいけないと最近はジム通いを始めています。体を動かすことが好きですね。あとは読書をしたり、アニメを見ることもありますよ。
ゲームをすることはお好きですか?
大好きですよ。学生の頃からよくやっています。 最近のゲームでいえば、一番ハマったのは、『モンスターハンター』(発売元/株式会社カプコン)です。休日になると同年代の同好の仲間4人がファーストフード店に集まり、一日中興じていたこともあります(笑)。おっさん4人が休日に家庭を放り出して何をしているのか、という話もありますが、それだけ楽しいということですね。
では、ゲーム会社の意義とはどこにあるとお考えですか?
確かに、衣食住にゲームは必需ではありません。ゲームがなくても人は生きていくことはできますね。しかし、日本のように社会が発展し人々の生活に時間的、経済的なゆとりができた場合、人々は心を豊かにするものを求めたいと思うでしょう。その時に、非日常的な体験を楽しむことができるエンターテインメントは、不可欠のアイテムとなると思うのです。 映画や音楽、美術、演劇、小説などエンターテインメントにはいろいろなものがありますが、ゲームはその中でも愛好者の多い重要な分野だと思います。ですから、人々の心を豊かにするアイテムをつくり出す存在として、ゲーム会社は社会に貢献していると自負しています。