まず、メルカリの設立の経緯を教えてください
以前はウノウという会社を経営していました。そこで開発した『まちつく!』というソーシャルゲームのユーザーが500万人を突破して、日本市場では成功することができました。次にどう世界に展開するか、という局面に立ったわけです。 ちょうどそんな時に、Zynga Game Network, Incから会社を買いたいというオファーが届きました。会社としての独立性を守るべきか悩みましたが、Zyngaには3億人のユーザーがついているわけです。Zyngaに託せば、『まちつく!』を世界で通用させるというミッションを貫く道が開ける。そう判断し、売却を決めました。 その後、Zyngaでの役割を終え退職してからは世界一周の旅を経て、さて何をやろうかと考えて出した結論が、スマートフォンのアプリでした。日本ではLTEもあり、新しく進化した端末が普及し始めている。ガラケーのサイトでモノを買う文化も定着している。これからやるなら、やはりスマホのアプリだろうと思いました。
世界一周旅行に行かれたのはどういった動機でしたか? また、フリマアプリというアイデアは、旅行の中で出てきたのでしょうか?
私は元々旅行が好きで、アジアにはよく出かけていました。次に会社を始めたら長い休みは取れないだろうと思い、当時はまだ独身ということもあったので1年間休んで世界を回ろうと決めました。その旅行中にビジネスを考えるということはしませんでしたね。というよりも、毎日、次はどこに行って何をするかを調べて動くことにバタバタと忙しかったということもあります(笑)。 ですけれども、旅行中は発展途上国も周り、いろいろ考えさせられたことがビジネスアイデアにつながっているということはあります。そういった国の人たちは、みんな豊かになりたいと思っている。数十年すれば、日本やアメリカのように豊かになっているだろう。けれども、その中でも差はきっと生まれる。集まるところには集まり、不足しているところは不足し続けている。その中でリセール品の需要はきっと高まり、それを促進させるツールが必要になるに違いない、と。そういったことが肌感覚として感じ取れましたね。 帰国して、いくつかの事業アイデアを整理しましたが、その中でフリマアプリに一番可能性を感じました。地球資源が不足していく中、リセール市場を盛り上げるフリマアプリはあるべき社会をつくる手段と確信できたからです。
バリューについて、そのお考えをお聞かせください。どのような会社になりたいとお考えですか?
当社のバリューは「Go Bold – 大胆にやろう」「All for One – 全ては成功のために」「Be a Pro – プロフェッショナルであれ」です。あまり多くなっても覚えきれないので、シンプルに3つに絞り込みました。この考え方はずっと変わらないと思います。 ベンチャーは、当たり前のことをやっていては当たり前な結果しか出せない、ということです。それでは次のステージにステップアップできません。大胆にやっていく必要があると思います。当社がほかの多くのITベンチャーと違うと思っているところは、それぞれの分野におけるプロフェッショナルを選りすぐって採用しているところです。そんなトップクラスの人材が、お互いリスペクトし合って力を結集している。もちろん、失敗も数多くありますが、それをも次の糧にしていけるだけの推進力がある。みんな、世界で通用するサービスを成功させたいと思っているからです。経験と実績を積んだプロフェッショナルが他社にはできない開発にチャレンジしているわけです。この3つのバリューどおりに進んでいます。 また我々は、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る(To create value in a global marketplace where anyone can buy & sell)」をミッションとしています。世の中では多くのモノ・サービスが生産・販売されていますが、誰かには価値があるのに捨ててしまうなど地球資源の無駄になっていることが多いと考えています。「捨てる」を無くすために、個人間で簡単かつ安全にモノを売買できるフリマアプリ「メルカリ」を日本とアメリカで展開して行きます。