アルティメットフリスビーで留学されたとはすごいですね。
アルティメットフリスビーをご存じない方のために紹介すると、いわゆるフライングディスク(円盤)を投げてパスをつないで得点を競うスポーツで、あまり知られていませんが、攻守ともに激しく走り回り、サッカーよりも心肺機能を要求される競技と言われています。。実は私自身、世界大会に出て優勝した経験があるんですよ。 滞在期間の関係で学生ビザを取得する必要があったので、週に何度か英語学校に通い、あとはフリスビーをする生活でした。
キャリアを中断してまで行くとは、勇気が要りましたよね。
そうですね。迷いましたよ。でも、今しかできないことだし、後悔しない確信があったので挑戦しました。好きなことで、行くところまで行く。そうしたら、後々のことは上手くいくものだって思うんです。 現地のチームは、MITやハーバードの出身者や学生が中心で、自分はチームメイトの屋根裏部屋に居候。(笑)彼らとの交流は本当に刺激的で、今のライフスタイルにも影響を及ぼしています。 実は、フリスビーで渡米することが朝日新聞の記事に取り上げられて、退職前に同僚の目に触れてしまったんです。その時、皆が共感して励ましてくれたので、後押しされて旅立てました。
帰国してアコースティックに参画、現在は社長として30人のメンバーを率いていらっしゃいます。今後の御社のビジョンはいかがですか。
モバイルの技術とモバイルのインターネット利用は加速度的に進化しています。同時に、パソコンとモバイルの間の境界線も薄れてきています。近い将来パソコンと区別するための「モバイル」という言葉自体が意味を持たなくなっているかもしれません。そんな中で、モバイル事業に特化してきた強みを活かし、よりリッチなコンテンツ、メディアを提供するべく研究開発を続けていくつもりです。そして新しい技術をいち早く取り入れ、世の中に提供していきます。 その一方で、足元をしっかりと固めながら地道に「改善」を続けていくことが大切だと考えています。 例えば、着メロは、今や着うたに凌駕されつつありますが、当社の着メロ「贅沢なオルゴール」は10万人( 注:全サービス合計で12万人)を超えるユーザに利用され2年以上増加を続けています。これは、当社が品質に徹底してこだわり、積み重ねてきたものがユーザに認められていることの証です。地道に持続すること、それが一番大切だということも忘れずにやっていきます。
本田さんの職業観とは。
先ほども触れましたが、仕事においては、熱意を持って改善し続け、持続していくことが一番大切ではないでしょうか。 大変なのは分かっているのに敢えて会社を作り、好きなこと、新しいことに挑戦しているのです。続けていくことは大変なことですが、その「続けていくプロセス」自体が大切で、楽しむべきものだと思っています。
社員に求めるものは何ですか。
一人一人に対して求めるものは違いますが、共通していることは、「楽しんで一生懸命取り組んでほしい」ということです。また、もしそうでなければ自分の手で変えていってほしいと思います。 それから、まじめに、フェアにやってほしい。現在当社では人数が増えてきたので、これまで仲間内で暗黙の了解で共有してきた規範を明文化する取り組みを行っています。それが、「acoustic style」という行動指針なのですが、その中でもベースになるのが、まじめ、フェアということです。仕事は信頼関係がなくてはできない。信頼関係を築くには長い時間がかかるのに、壊れるのは一瞬です。だからそういう基本を大切にしてほしいと思っています。
休日はどんな風に過ごされていますか。
実は、今でもフリスビーを続けています。一昨年は、じん帯を切って松葉杖で出社したりして、そろそろ考えなくてはと思いつつ、これも一つのライフワークですね。 フリスビーを通じて学生時代から知り合った連中は、仕事では得られないかけがえのない仲間です。ともに同じスポーツにのめりこみ一緒にプレーして共有するものは多く、プレーの後に立ち飲み屋で夜中まで飲むひと時に、とても幸せを感じますね。