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インタビュー画像代表取締役社長 佐藤 亮介 氏 1976年愛知県豊橋市生まれ。豊橋工業高校電子工学科卒業後、名古屋のトライデントスクールにてコンピュータグラフィックを学び1997年卒業。1年間のプログラマー経験を経て、1998年、株式会社マップクエストへ入社。開発部配属。2008年、企画室室長に就任し製品企画に従事。GPSソリューションの製品化などに取り組む。2010年、代表取締役社長に就任。ロボットとの連携などGISの用途拡大に向けた研究開発に励む。

マップクエスト社の事業の特徴をお話し下さい。

GISエンジンを大きく分けると研究用と業務用があります。弊社はゼンリン社の住宅地図に特化して、業務用システムを作るためのGISエンジンを開発しています。ビルや集合住宅を上から見ると、ただの一軒の建物ですが、実際には沢山の世帯や企業が、生活したり事業を営んだりしています。そこに集まる複合的な情報を、必要に応じて加工したり閲覧したりするためのエンジンを作っています。 弊社の最大の特徴は、研究開発型の企業であることです。一般的にはGISの分野は、日本は欧米よりも5年から10年は遅れていると言われています。実際、国内で利用されているGISは欧米の大手企業が開発する製品が主流ですが、弊社では、海外製品の模倣や部品を活用せず、100%自前の技術でGISエンジンを開発してきました。 海外製品は、使い勝手やサポートの点で、日本のユーザー・ニーズに対応し切れていません。特にゼンリン社の住宅地図のような詳細な地図は海外には存在せず、それに最適化するように開発されたGISエンジンというものも海外には存在しません。弊社は、設立当初からゼンリン社の住宅地図に特化し、国内ユーザーの声を聞きながら、独自のGISエンジンを磨いてきました。情報量の多い住宅地図で磨かれれば、必然的にパフォーマンスも高くなります。最近は大手のお客様からも、高くご評価いただいています。

今後の事業展開をお話し下さい。

弊社は2011年から、タイ王国に開発拠点を設け、国内とほぼ同レベルの開発ができる環境を整備してきました。今後はこの拠点を生かして、アジアを中心にグローバル市場を狙った営業展開を進めていきたいと考えています。住宅地図で磨かれたGISエンジンは海外でも通用するはずです。住宅地図の動作が日本一早いGISエンジンを目指して、パフォーマンスアップを追及しつつ、海外での展開も成功させたいと考えています。 また、GISの利用範囲拡大を目指した研究開発にも注力していきます。企画室室長の時代にGPSソリューションの研究に取り組み、製品化を実現しました。現在は、そこで培ったネットワークなどを生かし、ドローンやロボットをGISで管理する対象として研究を進めています。ドローンに関しては、約4年前から実機を購入して研究に取り組み、2016年2月に、ドローンの飛行可能なエリアの確認や、実施レポート作成などを支援する地図システム「MapQuest Air」の開発を発表するに至っています。 他に獣害対策システムの研究も行っています。こちらは、もともと地元の顧客開拓に注力していた時にNPO法人の方から鹿の対策で困っていると相談を受けてスタートした取り組みです。GISの新しい活用分野を開拓するチャンスだと考え、採算を度外視して研究を始めました。そして開発したのが、シカ獣害対策アプリ「やるシカない!」です。鹿の食害対策は愛知県だけの問題ではないので全国的に展開できるよう、分散コンピューティングの考え方を取り入れるなどして、よりブラッシュアップさせていく考えです。

どのような会社を作っていきたいと考えていますか。

2010年に代表取締役社長に就任した際に描いたのは、ボトムアップ型の組織です。これまで業界である程度の認知を得るまでの過程では、トップダウン型の経営が有効でした。しかし今後の成長過程で、より技術を磨いていくには、社員一人ひとりが経営者に近しい視点でものごとを見られるようになる必要があると考えています。 ドローンや獣害対策などの大型プロジェクトは私がけん引しています。現段階では、そこまでのレベルは難しいと考えていますが、これらのプロジェクトに刺激を受けて、様々なアイデアが社員の中から生まれてくるのが理想ですね。そのために1台数十万もするドローンや、ロボットを購入して、社内で動かすこともしています。また、毎月一回、全社員が企画を持ち寄ってプレゼンする企画会議も就任以来続けてきました。 海外に開発拠点を設けるなどの環境整備も着々と進んでいます。この環境を生かして積極的にチャレンジするエンジニアがより多く育っていくことが理想です。

佐藤社長ご自身、お仕事をする上で大事にしていることは何ですか。

「何でもでもやってみる」ということです。何でもやってみないとわからないですよ。GPS携帯のソリューションも、弊社はかなり早い時期に取り組みました。周りを探しても他に取り組んでいる会社はなく、成功事例もありませんでした。でも私個人、もともと必要なプログラミング言語を習得していたこともあって、できると思いました。弊社はもともと研究開発型の企業なので、色々なことにチャレンジしては失敗してきたという歴史があります。当時の開発部長や社長に企画を持ち込むと「できそうならやてみろ」と承認を得ることができました。もちろん様々な失敗を繰り返しましたが、主要な携帯キャリアが販売しているGPS携帯を調べて、外部の技術者と情報交換をするなどして、最終的に製品化までこぎ着けることができました。現在、取り組んでいるドローンやロボットの研究開発も、その時に構築した人間関係や経験がなければ生まれていなかったと思います。 開発部から企画室へ異動した際も、私自身、自ら手を挙げたことで実現しています。その経験があるので、積極的に手を挙げる社員にはチャンスを与えていく方針です。バンコクの開発拠点には開発部長クラスのエンジニアを派遣していますが、1年前ぐらいから現地の社長になりたいと言い出しています。そのような想いにはぜひ、応えていきたいと考えています。

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