株式会社フェイス

株式会社フェイスは、「音」の流通を柱に、エンタテインメント、教育、ライフ等の広い分野で事業を展開する。コンテンツの制作から流通システムの構築・運用、配信、販売に至るまで、音楽産業の変革を促すソリューションを提供し続けている。コンテンツ配信に関するあらゆる機能をグループで有し、グローバルに事業展開を行う東証プライム上場企業だ。

1992年に創業し、日本初の音楽ダウンロード販売を開始した同社。その後、インターネットや通信機器が普及した1999年から2000年代初頭にかけて、世界で初めて携帯電話の着信メロディを考案・実用化した。着信メロディは、世界100ヵ国で展開され、90億台のデバイスで利用された実績を持つ。
確かな技術とサービスの企画・開発力、ノウハウを活かして今後もコンテンツを届ける「新たな仕組み」を提供していく。

同社の創業から現在までの事業の変遷は、通信デバイスやインフラの進化と共にあった。
”音楽をコアにして新たな価値をゼロから作り出す”という理念は決して変えず、音楽産業の変革者であるべく事業に取り組んできた。

グループ開発本部 本部長 飯島久生氏が、その変遷の一端を語ってくれた。
「創業時と現在で大きく変わっている点は、やはり通信デバイスの進化ですね。当時の主流は携帯電話でしたが、現在はスマートフォンになっています。当社は、2000年代初頭の着メロ事業によって大きく飛躍を遂げました。しかし、それは通信デバイスやインフラの変化に合わせたというよりは、音楽産業の変化を促すべく事業展開した結果と言えます。」（飯島氏）

先にも挙げた携帯電話の着信メロディの考案・実用化をはじめ、数々のコンテンツ配信事業立ち上げを経て、現在は音楽ビジネスの全機能をワンストップサービスにしたプラットフォームの展開や、サイト構築・受注管理・出荷管理・在庫管理・売上管理までをワンストップでサポートするフルフィルメントシステムの提供等を行っている。

すべての事業に共通しているのは、「新たな仕組み」を作り出して、ユーザに高い価値を提供すること。そして、アーティストやクリエイターの権利を大切にすること。
この倫理方針をベースに、30期という長期に渡って成長を続けている。

本章では、同社の手がける事業を詳しく見ていく。
広い分野で多岐に渡る事業・サービスを展開している同社。着信メロディ・着うた配信サイトの運営は、現在も同社の主力事業だ。

そして、現在最も注力している新規事業が音楽プラットフォーム「Fans'」である。
これは、アーティストが自身でマネタイズでき、ファンとの接点を多面的に作り出せるプラットフォームである。

その機能は多彩だ。
楽曲ダウンロードやCD・DVD販売に留まらず、ミュージックビデオの視聴サービス、ファンクラブの入会、アーティストグッズやライブチケットの販売、ソーシャルサービスとの連携、クラウドファウンディング等、音楽ビジネスのありとあらゆる機能がすべて集約されている。

「今まではCDやDVDといった媒体を通じて、音楽が届けられてきました。しかし、今はアーティストがファンへ直接音楽を届けられるインフラ基盤が整っています。Direct to Consumerが可能な環境です。我々はそこに注力して、音楽業界を変革することを目指しています。」（飯島氏）

所属レコード会社やマネジメント会社主導ではなく、アーティストが自身の声をダイレクトにユーザへ届けられる新たな仕組みを作り出したのだ。飯島氏は、このプラットフォーム開発の背景になった逸話を語ってくれた。

「世界的に著名な人気ポップシンガーが大手の定額制音楽配信サービスと音楽ストリーミング配信サービスにおいて、配信報酬の仕組みに納得できないという理由で作品を引き上げたという話がありました。アーティスト自身もマネタイズの重要性に気付き始めているという事例です。」（飯島氏）

同社は、時代背景や通信デバイス・インフラの変化、アーティストとユーザのニーズ、メリット等、様々な要素を加味して事業を創出しているのだ。

「我々は音楽レーベルを持っていますし、アーティストも抱えています。コンテンツ配信に関するあらゆる機能をグループ内で持っているので、中立的な立場で音楽ビジネスを見ることができます。これは、他社にはない圧倒的な強みです。」（飯島氏）

音楽を聴く手段やコンテンツを楽しむ方法は、今後も刻々と変わっていくだろう。同社はその変化の中にあって、一面的な利害の枠を超えたビジネスの仕組みを作り出していける。これは、同社で仕事をする上での大きなやりがいであり、面白さだ。

同社が確固とした理念の基、創造性を発揮して事業展開する様を理解できただろうか。
ここでは、社内の雰囲気等の社風をみていこう。

同社はプロジェクトごとに「ユニット」と呼ぶ流動的なチーム編成を行い、全社体制で業務を進める。その為、部門を越えて様々な事業に携わることができる。

「エンジニアとしても、ユニット毎に発想を転換して旬の技術を取り込むといったことも可能なので、面白いのではないでしょうか。」（飯島氏）

入社時に全社員に発行される e-ラーニング用のID・パスワードにより、業務の合間を見て自己学習に取り組むことが出来る。OJTを基本にしつつも、外部の公開講座の受講も申請によって可能だ。四半期ごとに行われる面談により、成果を確認。個々人のロードマップに沿った目標設定を行う。スキルアップとキャリアアップをバックアップする体制が整っている。

グループ会社との交流も盛んだ。グループ会社社員が集まる納会では、所属アーティストがライブを行ったり、社内で結成されたバンドが演奏をしたりと大いに盛り上がるという。

「当社の企業理念は"あるものを追うな。ないものを創れ。"です。その理念実現に向けて、社内には一丸となって新たなビジネスを創っていこうという気風が溢れています。同じ方向を向いているせいか、社員間の風通しが良く和気あいあいとしていますね。」（飯島氏）

株式会社フェイスは、東証プライム上場企業という安定性がありながら、ゼロから新たな価値を生み出していくというベンチャー的な先進性を併せ持つ。