代表取締役　薮本直樹氏

創業するまでの略歴についてお教えください。

学生時代に、ライオンズクラブの青年部に参加してボランティア活動を行っていました。クラブから全額費用を出してもらって、ニュージーランドに2カ月間行かせてもらったのです。世界の広さを経験し、クラブに寄附をする経営者に対するリスペクトの感情が生まれ、価値観が一変しました。そして、ニュージーランドでは、人口3万人ぐらいの小さな街に滞在してボランティア活動を行ったのですが、たまたまラジオ局に訪問する機会があり、その際に出演までさせてもらったのです。それがとても楽しくて、自分が話すことで何かを表現し、それが人に伝わってその人と繋がれるということに感動しました。これが動機となってボイスタレントになり、ナレーションや司会、MCなどの仕事を始めたのです。その後動画の世界に転身しました。創業のきっかけは友人がパソコンで動画を制作している姿を見て衝撃を受けたためです（「企業詳細」タブ参照）。 ちなみに私は人とのコミュニケーションが大好きで、映像もその一つの手段であると思っています。また、オフビジネスで“IT飲み会”というイベントを立ち上げ、現在14カ国36会場で行っています。ITを活用したいという人なら誰でも参加できるミートアップですが、弁護士から整体師まで参加してくれて、なかなか盛り上がっています。なんとアサヒビールさんとコラボレーションして、“ITビール”の開発までしているんです。そのほか、大阪府が主催するベンチャー支援組織にも協力しています。これらはすべて無償で行っていますが、昔からボランティアが大好きなんですね（笑）。

会社を設立した時に、どんな会社にしようと考えたか、その思いをお聞かせください。

当時から"パブリック"な存在にしようと考えていました。しっかり収益を上げ、きちんと納税し、人材も雇用し、そして上場するということです。こうした考え方は、母親からの影響が大きいです。母子家庭で、母親が働いていたわけですが、よく「働くとは、“傍を楽にする”こと」と口酸っぱく言われました。ですから、そもそも会社は世のため人のために存在する公共性の高いものという意識が刷り込まれていたと思います。したがって、会社は自分が経営者ではなくなって次の人に承継できた瞬間、初めて成功したといえるという思いがあります。

では、御社に在籍している限り、どんな存在になってほしいかという社員への思いをお聞かせください。

"今の幸せ"が何より大事だと感じてほしいと思います。未来のために今を犠牲にする、我慢をする、嫌な思いをするというのは、そういうことも含めて幸せに感じられるのならば良いのですが、何かの圧力でのことであれば不健全です。ですから、常に今が幸せかどうか、チェックし続けてほしいと思います。その結果、当社よりもほかにより幸せになれる環境があるのならば、そこに移ってほしい。それ以上、当社に命を投資する必要はありません。逆に言えば、当社では常にベストであってほしいということです。

薮本さんにとって、仕事とは？

楽しいことを生み出すこと。ドライな言い方をすれば、“究極の暇つぶし”でしょうか（笑）。これは母にも言われたことですが、“誰かの役に立つことで、自分の命が生かされる行為”であると思います。 ちなみに、私の好きな仕事は、会社の財務諸表をきれいにすること。創業当初は、もし自分が不慮の事故にあって死ぬことがあっても、会社を誰かに買ってもらえれば誰も困らずに済むので、財務諸表に一点の曇りもないようにしておこうとの思いがありました。そこで、自分が説明できない数字はつくらないという意志で取り組んだわけです。現在は、東証一部上場の人材サービス会社であるウィルグループのグループ会社として、その内部統制も受けより健全な財務体質をつくれています。それだけでなく、より大きなチャレンジを行い、より楽しく働ける環境をつくっていきたいですね。

趣味や、オフタイムの過ごし方とは？

もっぱら3人の娘と遊んでいます。公園に行ったり、何か体験できる施設に行ったり。休日は必ず仕事を休んで、家族と過ごすようにしています。 なお、当社は土日に撮影の仕事が入ることが多いので、定休日は設けておらず、各自が月8日の休みおよび調整休暇、有給休暇を申請し取得することになっています。勤務時間としては、ディレクターの場合は裁量労働制です。柔軟な働き方ができると思います。