株式会社パラダイムシフト

自社開発の宿泊業界向けWebサービスを中核事業として、2005年の設立以来着実に成長を続けている株式会社パラダイムシフト。主力サービスは、ホテルや旅館など宿泊施設の収益改善や業務改善を実現するクラウド型インターネットマーケティングサービス『RepChecker（レップチェッカー）』だ。

同社がこのWebサービスを開始したのは2009年4月。過去に旅行事業を手がけていたノウハウを活かし、ホテル・旅館向けマーケティングシステムとしてはわが国で他に先駆けて開発した。その後、バージョンアップを重ねながらユーザーを拡大し、現在では有名ホテル、大手ホテルチェーン、老舗旅館など、全国各地の宿泊施設で使われている。導入施設数はわが国でトップクラスの実績だ。

その機能は、クチコミやアンケートの管理・分析、価格調査、競合比較、ランキング表示、一括入稿など多岐におよぶ。宿泊業にかかわる様々な業務をサポートしており、宿泊施設のROI（投資収益率）やCS（顧客満足度）向上へとつなげる。その中でも特徴的な機能は「価格調査機能」と「クチコミ機能」だ。同社の開発部門を統括する取締役副社長の高田かおり氏は、次のように語る。

「ホテルや旅館の客室はその日、その時ではないと売れません。そのため、在庫が最も腐りやすいと言われることもあります。収益を上げるためには常に競合ホテルの価格や需要をチェックして、最適な価格を付けることが大切です。『RepChecker』は価格調査機能を備えていて、近隣のホテルの価格などから適正値付けに必要な情報を的確に提供します。もう一つの代表的な機能はクチコミ分析です。ホテル情報サイトなどに掲載されるお客様のクチコミは、業務改善につながる内容が数多く含まれています。そんなクチコミを自動で収集し、口語的に書かれた文章の内容をAIで自動的に宿泊施設にとって有益な情報に振り分け、改善すべき点等をすぐに発見することが可能になります。」

「IT専門スタッフがいなくても手軽に使えることから、お客様に好評いただいています。従来は紙のアンケートの集計・分析を、現場のスタッフがお客様対応などの合間に3ヶ月間程度かけてやっていたが、その作業が一瞬でできるようになり、スピーディに業務改善につなげられるようになったという声もあります」。（高田氏）

同社の魅力は、スキルの高いメンバーに囲まれて、『RepChecker』をはじめとする自社システムの開発に打ち込めることだ。東京・東日本橋にある本社では、現在約15名のエンジニアが開発に携わっている。平均年齢はおよそ30歳で20代前半～30代前半の若手が中心となって活躍しており、国籍は日本、中国、インド、韓国と実に多彩だ。

メンバーはコンピューター・サイエンスのスペシャリストなど、レベルの高いエンジニア揃いなので、刺激し合いながらエンジニアとしての実力を磨いていくことができる。

「例えばインド国籍のエンジニアの一人は、ある開発技術力のランキングで日本トップクラスにランクインしているなど、非常に高い実力の持ち主です。彼の開発に対する姿勢や考え方に毎日触れながら一緒に開発を進めていくうちに、まわりのエンジニアたちも着実にレベルアップしていますね」。（高田氏）

また、幅広い領域に携わってスキルを磨ける環境も魅力の一つ。システム開発にあたっては、エンジニア一人ひとりに特定の領域を任せて分業体制を取るのが一般的だが、同社では全員が様々な領域に携わるフルスタックで開発を進めている。例えばWebシステム開発を担当しながら、サーバー構築にも挑戦するといったことも可能だ。

「中途で入社してきたエンジニアの中には、前の会社ではシステムの一部しか任せてもらえなかったため、システム全体を見ながら主体的に開発に携わることができる当社の環境に魅力を感じて転職してきた人もいます。当社ではみんながアイデアを出し合いながら開発を進めていて、最先端技術を取り入れるなど、チャレンジしたいことがあれば遠慮なく挑戦できます。例えば現在『RepChecker』のクチコミ解析機能のAI化を進めていますが、これもエンジニアからの提案がもとになってスタートしました」。（高田氏）

ホテルや旅館の経営を支えるWebサービスの開発・提供会社として、順調に成長を続ける同社。その社風はフラットで、国籍や性別、年齢に差のない評価を重視し、ダイバーシティを尊重するカルチャーがある。社内の雰囲気について、高田氏は次のように語る。

「エンジニアはとても仲がよく、みんなでお花見や温泉旅行に行っていますね。といっても変に馴れ合うこともないですし、誰かに合わせなければいけない雰囲気もないんですよ。みんな気持いい人たちですし、最近転職してきたある社員は、よけいな気を使うこともなく開発に集中できるので、とても居心地がいいと言っていました」。

そして、自分のペースで仕事をして、自分のペースで休みをとることができる環境も同社の特徴だ。例えば勤務時間は、午前8時から10時までの好きな時間に出社すればよく、その出社時間から休憩1時間を含めて9時間後が定時となる。

「朝8時に出社して、夕方5時過ぎには帰る人もいます。10時ギリギリに来る人もいますが、午後7時を過ぎて残っているエンジニアはほとんどいないですね」。（高田氏）

また、有給休暇も遠慮なく取得できる。

「外国籍の社員は、飛行機代が高いゴールデンウィークやお正月を避けて、安い時期に有給休暇を取って3週間ぐらい母国に帰ることが多いですね。そのうち数日は帰国先からテレワークで仕事をするケースもあります。もちろん日本にいてもテレワークは可能で、例えばお子さんが病気になったから、その日は自宅で仕事をするといったこともあります。遠慮なく有給休暇が取れるので、消化率は高いですね」。（高田氏）

このような環境もあり、エンジニアの定着率は非常に高い。そんな同社が求めるのは、自ら考え主体的に開発に取り組むことができる人だ。

「当社ではシステムの課題に対して、エンジニア全員が“こうした方がいいんじゃないか”、“ああしたらどうだろうか”と、意見やアイデアを出しながら開発を進めています。そのため、言われたことをただやるのではなく、自分からどんどん提案できる人に来てほしいですね」。（高田氏）

現在、同社では『RepChecker』のリニューアルを進めている。その一環として開発している機能のいくつかは、その特殊性から別サービスとして展開が可能なため、ゆくゆくは宿泊業界以外にも展開していくことも考えているという。それに加えて、これまで培ってきた技術力をベースとして、宿泊業界に向けた新サービスの開発も進行中。そして近い将来には株式上場も視野に入れている。ストックオプション制度もあるので、さらなる飛躍に向けて着実に準備を進めている今こそジョインするチャンスだ。