Voicy立ち上げのきっかけは?
起業を考えたときに、五感の一つを丸取りできる事業がいいと思ったんです。 もしも五感のうち何かが使えなくなったとしたら、情報交換するときに最も困るのは目か耳です。そう思ったときに、目の情報には人が集まっているけれど、耳の情報にはまだまだ拡張の余地があると感じました。 文字のブログを読むよりも人の話を聞いた方が、深く印象に残ります。そういったなかで、声と、声の持つ力は非常に大きいなと思いました。そして、声をIT化する会社をつくろうと考えたんです。
音声コンテンツに着目したのはなぜ?
スマートフォンの次の時代は、音声ではないかと考えたからです。スマートフォンの登場で、人と情報の接点は大きく変わり、PCの時代からスマホへと時代が変わった。これと同じように、今後はスマホから音声へと変わっていくと考えています。IoT(モノのインターネット化)が進むことで、あらゆるモノがネットに接続されていきますが、常に手が届く範囲内にあるわけではない。手を使わないで検索したり、デバイスに指示をしたりする必要が出てくるはずで、その方法として音声には大きな可能性がある。僕としても、スマートフォンの次の時代を日本から挑戦できるのであれば、人生を賭けてやる意味があるのではないかと思っています。
Voicyはどのように活用されている?
通勤中や作業中に聞いている人もいれば、自分の生活の中でVoicyを聞くことを習慣化している人など、さまざまです。ラジオと大きく違うのは、20~30代のリスナーが多いこと。若い人たちがおもしろいと思うコンテンツもありますし、SNSと連動させて若い層にリーチしていることも影響しているのではないでしょうか。 人の話は、聞こうと思わなければ聞けないんです。誰でも発信できる音声メディアもあるべきだとは思いますが、Voicyでは、この人の話を聞いた方がいいよと言えるコンテンツをつくりたいと思っています。
Voicyの今後の展望は?
VoicyはいわばCPUのような存在にならないといけないと考えています。CPUは、パソコンやスマホなどあらゆるコンピュータの核となって働き、いまや社会の基盤を支えています。同じように、我々も新聞社や医療、交通など、実際に人と繋がっている様々な事業の方たちと組み、音声活用のサポートをするのが目指す形です。 最近では、日経新聞さんが協業企業として名乗りを上げてくれました。経済情報を届ける新しい手段として「音声」に着目し、その最適な活用方法を一緒になって考えている状況です。他にも様々な企業の方に参入のメリットを感じてもらえるよう、現在も音声インフラ構築の開発を進めています。 これからの社会は音声インフラの整備が進み、パソコンも手ではなく音声入力が当たり前の時代が来るのだと思います。それに伴って人に求められる能力も変化していくはずです。誤字脱字がない分かりやすい書類より、論理立てて話すことができる人の方が評価されるようになるかもしれません。反対にしゃべらないで指示書だけですませる人をドライと感じる世の中になるかもしれません。働き方改革が叫ばれていますが、少ないコミュニケーションで社員のエンゲージメントを上げるためにも音声は適しています。 Voicyの場合、内定通知も音声で送っているんですよ。テクノロジーは効率の良さを生み出すだけではなく、心を伝えるのにも活かされるのだという良い例だと思います。 家電やスマホの音声操作が当たり前になる時代で、音声のメディアができるのは当然の流れ。スマホが普及し始めた時のように二の足を踏んでいると、ビジネスチャンスに乗り遅れて時代に取り残されて行ってしまいます。そんな時代を牽引する存在として、今後も音声インフラを活用した未来を提案していきたいと思っています。