創業者・相談役顧問 來女木（くるめぎ） 剛氏

略歴と、御社を創業した経緯をお教えください。

両親は会社を経営していて、その背中を見て育った私は、自分も自分で何かやりたいと思っていました。大学卒業後、まずは修業のつもりで大阪の地方銀行に就職します。地方銀行なら、若造でも地元の色々な経営者に会って勉強させてもらえるだろうと考えたからです。支店での融資や営業、外為を経て、本店の営業企画で経営計画やマーケティング戦略の策定、他銀行との合併業務等、13年間、様々な経験をさせてもらいました。それこそ、ドラマにも出てくるようなドロドロした世界や、東大阪の町工場の厳しい経営状況等の修羅場も見て、経営者マインドを鍛えられたと思います。 そんな私は、子供を設けて小児科に行く機会が増え、その待ち時間にイライラさせられていました。そんな時にガラケーのサイトを見て、これを使えば待ち時間を解消できるサービスができるのではないかとひらめいたのです。そして、ITに詳しい義理の弟の古瀬に声を掛けました。古瀬も同様の問題意識を持っていて意気投合し、「病院からも患者さんからも喜ばれる、良いサービスに違いない」と2人での起業を決めたのです。 当初は3年間で3,000クリニックに導入するという計画を立てたのですが、2人共、医療ビジネスの経験はなく、片っ端から営業して回ったものの、反響はさっぱりでした。 1～2年程、地道に営業を続けた頃、神戸にある、日本初の産科を小児科を連携させた病院に初めて採用されました。その病院はただでさえ人気があったところ、ちょうどテレビ番組で取り上げられて来院者が溢れ、大混雑状態でした。その対策を考えていたところに我々が提案に行ったので、採用していただけたのです。 すると、そのことが地元のテレビ局のニュースで取り上げられたり、その病院に出入りする粉ミルク等の業者が『＠link』に目をつけ、他の病院に持っていく情報として紹介してくれたりしました。それ以来、順調に導入先を伸ばしてきています。

御社を創業して、どういった価値を提供できたと考えていますか？

まずは、クリニックにおける待ち時間の解消です。これによって受診のハードルを下げ、より気軽にクリニックを利用できるようにもしたと思います。また、『＠link』にはe-ラーニングのような機能もついています。産婦人科医が妊婦さんに伝える注意は、全員に対して同じ内容のことが多くあります。そこで、そういった内容をコンテンツにまとめて妊婦さんに見てもらうことで、クリニック側の業務効率化と正確な情報伝達に繋げることに貢献しています。そのほか、産婦人科クリニックから退院時にプレゼントする記念DVDの作成等も手掛けていますが、「夫と見て、涙が止まりませんでした」といった感想を寄せてもらえます。総じて、妊娠出産にポジティブに向かえる環境づくりに貢献しているのではないかと自負しています。

來女木さんの仕事観をお聞かせください。

自己実現の手段ですね。自分達の仕事でお客様に役立つ、喜ばれるものを提供できているからこそ、対価を得て、事業を存続させることができています。時にはクレームを頂戴する場合もありますが、修正してさらに良いサービスに改善する。こうしてまた役立つ、喜ばれる人を増やすことに繋がるのです。こうした一連のプロセスによって、自己実現できると考えています。

社員に対して、どういった存在になってほしいかの思いをお聞かせください。

自立できる人になってほしいですね。経験が浅いうちは、言われたことをやるのでしょうが、仕事とは本来、与えられるものではありません。自分で考え、行動し、獲得するものだと思います。当社でそういうスキルやマインドを鍛え上げてほしいです。 当社では、新しいサービスを次々に創り出していきたいと考えています。やりたいことがたくさんあって、ワクワクできると思います。やり過ぎると、“働き方改革”に逆行すると思われてしまいそうですが。もちろん適度に、こうした機会を積極的に見つけてチャレンジし、経験を積んで成長していってほしいと思います。

オフタイムはどのように過ごしていますか？

基本的には仕事漬けの日々ですが、ゴルフを嗜むのと、家の背後に六甲山があるので、毎週、山登りをしています。標高900m程ですが、頂上からは神戸の街が一望でき、素晴らしい眺めを楽しんでいます。いい息抜きですね。