大森 政廣氏 代表取締役 プロサーファーを目指していた経歴が輝く、異色のIT企業経営者。多趣味な人物で、レゲエのDJをしていた過去もあり、今も音楽が大好き。会社に「ビリヤード部」「釣り部」を作って、会社の仲間と一緒に楽しんでいる。現在の趣味はベランダで読書。屋外が好きなためベランダで本を読むのを楽しみにしている。読むジャンルに特にこだわりはなく、そのとき、気になったものを読むスタイル。1974年生まれ、東京出身。

独立までの経歴を教えてください

プロサーファーになるために世界を回っていました。スポンサーはついていましたが、水から耳を守ろうとして軟骨が発達する「サーファーズイヤー」になったこともあり、プロの道はあきらめて営業の仕事に就きました。システム業界に入って営業をしているとき、ふと「自分の会社を立ち上げても同じではないか」と思い独立しました。 独立した時期はリーマンショック後で仕事が少なく、銀行も相手にしてくれない中でのスタートでした。この局面で生き残ればやっていけるだろうと思い頑張りました。幸い前職で知り合った大手メーカーと直取引することができ、会社は少しずつですが前進するようになりました。 社員が増えるにしたがって、人の大切さを改めて感じました。会社は他にもたくさんあるわけで、うちの会社以外にも選択肢はあるはず。それなのにうちを選んで入社してくれた社員には感謝しています。社員によって、自分も成長させてもらいました。

会社を経営するうえで、大切にしていることは？

仲間を大事にして、信頼を得ることですかね。これは昔から変わらない性格です。仲間にも家族にも取引先にも、感謝の念しかないです。だからこそ、社員を守っていかなければならないと、強く心に誓っています。私が変なことをすれば、取引先に迷惑が掛かるだけでなく、メンバーの将来にも影響します。信頼を損ねることないように、メンバーと一緒に成長を続けたていきたいです。 社員には幸せになってもらいたいんです。自分が幸せだと思う道を歩んでほしいですね。幸せは誰から言われるでもなく、自分で決めるもの。誰に何を言われようが、何が幸せかは自分で決める心を持ってほしい。そのために、仕事で積む経験も役立ちます。仕事は相手がいて成り立つ世界。相手がいる世界でいろんなことを学ぶと、感謝の気持ちも生まれます。

社員に求めるものは何ですか？

失敗や壁にぶち当たっても、他人のせいにしないことです。自分のせいにしていると反省し学習し、その人は伸びますが、人のせいにしている限り、その人は伸びません。人のせいにしていると、何度同じことをしても人のせいにして逃げ続けるだけです。 成長すると視野が広くなります。加えて、ポジティブに物を考えられるようになれ、「幸せ」を感じられる人間になれます。傷ついてでもチャレンジし続けることでしか、幸せには至れないと思っています。悲しいこと苦しいことも経験しているからこそ、幸せが何かを知ることができるのではないでしょうか。失敗や傷つくことを恐れてチャレンジしないよりも、いろんなことにチャレンジしたあれこれと経験してほしいですね。

社員育成で心掛けていることは？

否定から入るのではなく、肯定から入るように心掛けています。メンバーの意見やアイデアをどうやって実現するか一緒に考えるのが経営者の仕事。助け舟を出しながらメンバーが走り出せるようにサポートしていきたいと考えています。 人の意見を潰すなんて考えられません。その意見が宝になる可能性が眠っているわけですからね。意見を肯定してもらえば、自信につながります。メンバーにもっと自信を持ってもらいたいから、意見を返したりアドバイスしたりすることはあっても、メンバーが発する意見やアイデアを頭ごなしに反対しません。ちゃんと考えられて、ちゃんと発言できる自立したエンジニアに育ってほしいですからね。 根本的に人が好きなんです。人と出会うと、その人をなんとかして幸せにできないかと考えるたちなんですよね。社員もフリーランスもみんな仲間。自由な発想で遊び心がある会社で、ワクワクしながら働く方が楽しいですよね。ネガティブに考えていたら新規事業も立ち上げられません。

サーフィンをしていた経験で今に生きていることは？

自分を甘やかさない習慣がつきました。プロサーファーの道は険しいですから、食事にも気を配っていましたし、サーフィンができる環境を作るのにも懸命に努力しました。サーフィンに真剣に打ち込むことで、ストイックに目標へ向かって努力する自分を作り上げることができました。 「何でもいいからナンバーワンになろう！」というのが、当社の行動指針にあるのですが、それもサーフィンをはじめスポーツをする中で培った考え方です。何でも一番になるのは難しい。メンタル、体調、環境、すべてが揃っていないと一番にはなれません。技術があっても、奢ってしまったり、緊張してしまったりと、メンタル面で足をすくわれることもあります。 一番になった人にしか見えない風景があります。その光景を見た人間と見たことない人間では大きな差が付きます。一番になった人には、一番になる癖も付き、そうなるとさらに磨きがかかります。スポーツをやっていた人なら、一位を取る大変さがわかると思います。同時に、一番になる喜びも。