株式会社ネイキッド

株式会社ネイキッド（NAKED Inc.）は、空間演出、映像制作、デザイン制作など、幅広いジャンルで活動する会社だ。映像やインスタレーション、プロジェクションマッピングなどを用い、人々の体験を総合的にデザイン。山村や辺地での地方創生にも取り組み、ひと味違う「村おこし」にも成功している。会社設立は1997年10月で、東京都渋谷区に本社を置く。

主な実績の例を挙げると、映像とインタラクションを掛け合わせた水族館の新体験「新江ノ島水族館 ナイトアクアリウム」で30万人を動員。3大都市での夜景×映像の感動体験「CITYLIGHTFANTASIA by NAKED」でも30万人を動員した。

そのほか、花を“五感”で楽しめる神秘のガーデン「FLOWERS BY NAKED」、食べるだけじゃない新感覚スイーツエンターテインメント「SWEETS by NAKED」、東京駅丸の内駅舎をキャンバスに展開した「TOKYO HIKARI VISION」など、次々と3Dプロジェクションマッピング（3DPM）による新しい映像演出を切り拓いてきた。

そんな同社の代表取締役を務める村松亮太郎氏は、もともとは役者だったという。自分で映画をつくりたくて役者を辞め、短編映画を撮りながら世界の映画祭を回って歩いた。2000年代には「LOVEHOTELS-ラヴホテルズ-」などの映画作品でメガホンを取ったこともあり、映画、テレビ、WEB 、3DPMなど、ジャンルを超えて活躍しているアーティストだ。

進化するデジタル技術を背景に、人とアートとの関係や未来のテクノロジーについて、村松氏は「人中心に戻っていく」という予想図を描いている。テクノロジーの発展は肯定しつつ、テクノロジーに使われるのではなく、テクノロジーを人の方に引き寄せる――、そんな制作活動やマネジメントに取り組んでいる。

3DPMやイルミネーション、映像・音響を使った空間演出など、グラフィックや映像のみならず、人々の体験を幅広くデザインしているネイキッド。会社設立当初から掲げる、「コアクリエイティブ」「トータルクリエイション」「ボーダレスクリエイティビティ」の3つの方針は変わっていない。

分野横断型であり、表現するメディアも手段も問わない。何をテーマにするかは、あくまでクリエイターの感覚が頼りだ。クリエイティビティを発揮するには、データから答えを導くのではなく、手触り感を大事にしなければならない。

例えば同社の活動でマスコミでも大きく取り上げられたのが、長野県阿智村で「村おこし」だ。阿智村は環境省から「日本一星空の観測に適した場所」に認定されており、ネイキッドは阿智村の温泉や自然を、「星」でブランディングする計画に取り組んでいる。さらに、夏だけでなく「冬のナイトツアー」など四季にわたる3DPMも制作。リアルな村をそのまま非日常の世界にすることで、全く新しい「村おこし」を実現したのだ。

同社がこれからチャレンジしていく分野は、大きく3つある。1つはショーで、多くの歌手やダンサーが参加する「FLOWERS BY NAKED」のスタイルをさらに深化させ、まったく新しいショーのカタチを実現していく。2つ目は、都市や村のスケールで取り組む「まちづくり」。上記の阿智村での経験をもとに、その土地の特徴や魅力を盛り込んだ3DPMを制作していく。3つ目は、レストランでの非日常の試みだ。現在、「TREE by NAKED」というアート空間に近いレストランを展開しているが、今後はさらなる展開を進めていく。

繰り返すが、ネイキッドはテクノロジーが世界を変えていくとは思っていない。人の感覚には軽視できないところがあり、「人がテクノロジーを使っていく」というコンセプトは、今後もブレることはないという。

同社の特徴として、固定されたポジションがないことが挙げられる。業務全体を見て、そのタイミングで必要な役割を果たしていくワークスタイルなのだ。募集する職種は分かれているものの、それはあくまで入社時点での職能として考える。例えばディレクターで入社した場合でも、イルミネーションなどの光の演出や、デザインも理解した上で広くディレクションを担当する。プロデューサーで入社した場合も、広報の視点やテクノロジーの知識も身につけ、広い視野で活躍するといったイメージだ。

今回の採用では、作品をつくる上で技術的な事項、例えばマッピングなどのシステムに対して、幅広く取り組んでいく意欲を求めている。また、プロジェクションマッピングやイベントの現場において、投影の全体的なシステムプランニングに取り組めることも重要となる。「プロモーションに関わる仕事に興味がある」「役割や立場に固執することなく新しいことにチャレンジしたい」「チームビルディングに取り組みたい」といった素養も大切だ。

同社の仕事の魅力は、世の中にないモノをつくり出す工程に、イチから参加できることだ。プロジェクトの初期段階から参加し、多くの人とディスカッションしながら、制作したり提案したりできる。また、メディアでも話題になるイベントや事業に、「つくる側」「仕掛ける側」として参画できることも大きな魅力だろう。

さらに、イベントでは実際に来場者の反応を肌で感じることができるため、携わったものがどのように世の中に届くのか、自分の目で見届けることができる。多種多様な業界と関わってさまざまな価値に触れたり、幅広い仕事に携わることで、特定のキャリアの延長ではない、新しいチャレンジができたりもする。

新しい発想や考えを持て余している人にとって、培ってきた経験や技術、また新しい技術を活かして新たなことをカタチできる、日本では稀有な会社。それがネイキッドではないだろうか。