株式会社AMDlab

株式会社AMDlabは、建築を基盤とするアプリケーションやプロダクトの開発、コンサルティング、建築設計などを行っている会社だ。会社設立は2019年1月で、兵庫県神戸市に本社を置く。

創業者の1人、藤井章弘氏は、神戸大学工学部建築学科、および神戸大学大学院工学研究科建築学専攻の出身。米ワシントン大学にも留学し、建築デザインを学んでいる。日本でのキャリアは、1931年設立の歴史ある建築設計事務所、株式会社松田平田設計で構造設計者として勤務経験がある。

もう1人の創業者、松原昌幹氏も、藤井氏と同じく神戸大学工学部建築学科、神戸大学大学院工学研究科建築学専攻の出身。フィンランドのタンペレ工科大学（Tampere University of Technology）でも学位を取得している。日本では株式会社安井建築設計事務所、株式会社フロムスクラッチで経験を積み、現在はAMDlabの経営に関わりながら、東京大学工学系研究科建築学専攻（T_ADS学術支援専門職員）や、スタートアップ・ベンチャーに対してHR支援をおこなうフォースタートアップス株式会社でも活動している。

藤井氏、松原氏はともに一級建築士であり、業界でも有力とみなされる設計事務所の出身だ。そのため建築・建設業界の内情に深く通じているが、業界の古い体質に疑問を感じてもいた。「人が本当にすべきことに時間を使えるような社会をつくりたい」、「世の中にあるさまざまな技術を、もっと効率良く、もっとクリエイティブに使いたい」、そんな想いから、2人はブログを通じて、技術的な情報発信をスタート。記事が増えるとともに問い合わせも増え、仕事へとつながっていった。

やがて「会社として活動することで、技術の発信だけでなく、より良い形で技術を提供できるのでは？」と考え、共同でAMDlabを立ち上げた。現在もその想いは変わっておらず、同じ想いの仲間が集まるようになった。

現在のメイン事業は、建築・建設業向けITコンサルティング、およびシステム開発だ。営業スタイルは、ブログやSNS、書籍での情報発信が中心。講演会に登壇して受注につながることもある。売上高の推移を見ると、数カ月単位で契約を更新している企業からの売上が安定的にあり、それとは別に単発で受注した案件によって、売上は変動する。受注は増加傾向にあり、売上高も右肩上がりに推移を続けている。

主要業務である建築・建設業向けITコンサルティングとシステム開発では、顧客の“やりたいこと”に対して、CAD、BIM（Building Information Modeling）、WebやAIなどの技術を用いたソリューションを提案し、さらに開発までおこなう。具体的には、顧客の新規システム開発や開発したシステムの保守を手がけながら、新規開発の要望についてソリューションを提案し、システムへの組み込みなどへつなげていく。

プロダクト開発の実績の一つに、日本の規格鋼材を出力するツール「PHEASANT」（Grasshopper）がある。簡単な入力で、日本のJIS材などの鋼材の形状の作成や、断面積の取得ができる。

今後は自社サービスである、国内唯一の建築オンライン学校「AMDhaus」、設計業務支援WEBサービス「DDDDbox」、宮城大学や有志の建築学生と進めている「建築家DB」の開発にも力を入れていく予定だ。

そのほか、AMDlabはCADやBIMなどのトレーニングをおこなう建築・建設業向け人材育成サービスを展開している。また、東京大学や神戸大学、宮城大学などと共同で、複数の協業プロジェクトにも参加している。これらの協業は、AMDlabの今後のビジネスにもつながっていく。

将来の展開予定としては、開発中の各種サービスをリリースして業界全体のDXを加速させるとともに、顧客獲得機会の増大にも努める。これまで特に営業活動はおこなってこなかったが、リリース予定の自社サービスについては、戦略性をもってブランディングやマーケティングをおこなっていく。また、教育系サービスをスタートさせ、学生層からの認知アップにより新たな若い人材確保につなげ、さらに活気あるチームをつくっていくことも考えている。

2023年1月時点の従業員数は9名（男性8名、女性1名）。平均年齢は31歳と若く勢いのある会社だ。そのほかにも、業務委託として約30名が在籍している。基本的に在宅勤務だが、話しやすい環境づくりや人と人との交流を大切にしており、定期的に集まって懇親会を開いている。

今回の採用では、学歴は大卒以上を求めるものの、性別や資格は問わない。主業務はWebサービスの開発になるため、その分野の開発経験者は歓迎される。さらに顧客と直接コミュニケーションをとることができ、プロジェクトをある程度マネジメントできればベターだ。技術面では、フロントエンドならReact、または、Vue.js（Nuxt.js）、バックエンドならGo、python（Django）、ruby（Rails）、または、PHP（Laravel）の経験が必須。これとは別に、BIMや建築設計の業務経験者の採用枠もある。

志向性としては、クリエイティブな仕事への関心や、建築・建設業界をより良くしたいという想いを特に歓迎する。相手を尊重した上でのコミュニケーションスキルや新しいことへの挑戦心も、基本的なパーソナリティとして求められる。リモートワークが基本のため、自律性（自分自身を律すること）も重要だ。

受託開発では、これまで培ってきた建築設計の知見と、数理最適化、深層学習、Webの技術などを組み合わせて課題解決にあたる。自社サービスでは、創業者が実際に体験してきた設計・コンサル・開発業務にもとづく知識、技術をもとに、「これが建築・建設業界にあれば、もっと業界を良くできる！」という提案を形にしたサービス開発に取り組む。

入社後は、多様な建築設計ツールの開発に関われるだけでなく、汎用性の高いプロダクトやサービスを開発できれば、より多くの建築、ひいては都市そのものに関わることもできる。組織としてはまだまだ発展途上だが、プロジェクトの規模はどんどん大きくなってきており、自分でサービスを考えてリリースするチャンスも大いにある。