ご略歴をお教えください。
1985年にフランスのパリ近郊に生まれ育ちました。子供の頃から日本のゲームが好きになり、将来は自分もゲームをつくりたいと思うようになりました。そして、15歳でグラフィックデザインの専門学校に入学し、卒業後はデザインしたものを動かすマルチメディア制作を学ぶ学校に入学します。そこでWebサイト制作も学びました。 卒業後、フランスでフリーランスのWebデザイナーとして少し働いた後、好きで行きたかった日本に行き、Web制作会社に入って4年ほどUIを担当します。仕事を通じて学ぶことは多くありましたが、心の中にはやはりゲームづくりへの思いが占めていました。そこで、個人的にいろいろなゲームのプロトタイプをつくったのです。ある時、転職を決心して大手モバイルゲーム会社に行き、そのプロトタイプを見せました。それを評価してもらえ、入社が決まりました。 その会社で、当社のリードデザイナーであるJoshua Pineと知り合ったのです。彼は違う部署に在籍していましたが、外国人社員が集まるイングリッシュパーティーなどの機会で親しくなり、お互いの考え方や価値観に共通点が多いと意気投合しました。 その会社には4年間在籍しましたが、最後のほうは手がけているゲームが面白いものではなくて、もっと自分が面白い、やってみたいと思うゲームをつくりたいと思うようになっていました。そして独立起業を考え、プライベートの時間でつくっていた「ASSOLUTO RACING」のプロトタイプをJoshuaに見せると、「これはイケる!」と賛同してくれ、2人で独立しゲームづくりを始めることにしたのです。
どういった会社にしていきたいと考えていますか?
2人でスタートしたこともあって、「どんな会社をつくるか」よりも「どんなゲームをつくるか」というビジョンのほうがはるかに重要でした。思っていたのは、ユーザーに「凄い!」「ほかにない!」と思ってもらえるような素晴らしいゲームをつくることです。 おかげで2016年にリリースした「ASSOLUTO RACING」は、すぐに予想を上回るペースでダウンロードが進み、どんどん成長していきました。メンバー数も現在の6名まで増え、私の仕事は徐々にゲームクリエイターから経営者にシフトしてきています。それとともに、社員を雇用する責任を感じていますが、こうした社長業も決して嫌いではありません。当初は自分1人でマイペースでゲームをつくっていましたが、大規模で面白いゲームは自分一人ではできず、人の力を借りる必要があると実感しているからです。現在は、そのINFINITY VECTORというグローバルなチームを運営し、自分たちが真底「面白い!」と感じるゲームづくりに邁進したいと思っています。
社員に対して、どういった存在になってほしいかの思いをお聞かせください。
人生の中で、仕事は一番大きな要素かと思います。ですから、毎日オフィスに来てそんな仕事にエンジョイしてほしいですし、経営者としてエンジョイできるような環境をつくることを目指しています。簡単なことではないと思いますが。 1つのゲームをつくるのに、2~3年かかります。マラソンのようです。途中、アップダウンがあるでしょう。だからこそ、出来上がった時、つくって良かったと思えるようなゲームをつくってほしいと思います。 全員がゲームづくりのプロフェッショナルなので、自分たちがプレーした時に「面白い!」「もっとやりたい!」と思えるゲームをつくれば、ヒット間違いなしだと思っています。
Mairatさんの仕事観をお聞かせください。
いわゆる“仕事”をしているという感じがあまりしていません。遊んでいるのと変わらない感じがしています(笑)。でも、そういう状態がベストコンディションだと思っています。ゲームをつくっている時はめちゃめちゃ頑張れますし、時を忘れています。好きなことをしている時って、そういうものではないでしょうか。
オフタイムは、どういった過ごし方をしているのでしょうか?
ゲームに加え、20歳頃にクルマが好きになりました。その当初はフェラーリなどヨーロッパのクルマしか知らなかったのですが、「グランツーリスモ」という日本のドライビングシュミレーターゲームを通じて日本車を知ったのです。その日本車の中でもトヨタの「スープラ」が特に好きになり、日本に来てから貯金して買いました。そのスープラでレースも楽しむようになりました。そんな経験が「ASSOLUTO RACING」に活かせています。 そして、今はオーケストラによるクラシック音楽や映画音楽の作曲を学んでいます。子供の頃から何かをつくることが好きということと、ゲームに音楽は付き物なので、趣味と実益を兼ねてのことですね。そのようにゲームには自分の好きなものが全部詰め込まれているので、とても魅力的なのだと思っています。