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インタビュー画像代表取締役社長 仲川 航一氏 作家、大学時代からフリーでイラスト、デザインの仕事を始める。10年ほどの活動の中でゲームや映画の企画にコンセプトアート、キャラクターデザインで参画した経験から、ゲーム業界に。大手ゲームメーカーのセカンドパーティに入社し、家庭用ゲームソフトウェアのアートディレクター、ディレクター、商品企画を担当。コンシューマ開発、ソーシャルゲームの制作ディレクターを経て、セカンダリーに特化した会社で、ソーシャルゲームの運営を手掛ける。ゲーム業界で培われる特殊なスキルを最大限に活用できる会社を目指して、VESTA株式会社を設立。

VESTA株式会社を設立までのキャリアを教えてください

大学在学中から、絵を描く仕事を始めました。プロとして活動する中で出会った映画のコンセプトアートやゲームのキャラクターデザインがきっかけで、もっと深くプロジェクトに関わりたいという考えを持つようになりゲーム会社に入りまして、商品企画から携わる設計、企画の仕事に関わることができました。 別のゲーム会社に転職し、そこでもディレクターとして商品企画に携わりました。この会社に勤めている頃に、ソーシャルゲームの開発に携わり、その後、セカンダリーに特化した会社へ転職して、ソーシャルゲームの運営を本格的に経験することになります。プロジェクトを成功させるにつれ責任が大きくなり、人事や経営にも関わるようになっていきました。 特に大きかったのはM&A後の体制立て直しなど、人事面でも難易度の高い領域に触れた事でした。ゲーム業界で培ったスキルと経験は、活かせるシーンが多業種にわたると感じています。まずは弊社メンバーが他業界からも評価をいただけるような道を開きたいと考えています。

これまでのキャリアでどんな経験を積みましたか?

大手ゲーム会社のセカンドパーティでは、商品企画に専念することができました。今考えると、とても贅沢な経験でした。「企画の研究開発」とでも呼びたくなるようなもので、およそ3年間の間に企画したことはすぐに実を結ぶことはありませんでしたが、その当時の企画と同じコンセプトのゲームが20年後に形になっていました。長いタームで企画を捉えて熟成させてきたのだと思います。経験できたことは実際には初期の実験段階に過ぎなかったのかもしれません。関わる事で得た学びは大きかったです。 前職のソーシャルゲームの運営会社では、セカンダリーのビジネスを経験しました。オンラインゲーム、特にスマホ・ソーシャルゲームでは、運営の出来こそがタイトルの成功のカギを握っています。開発を手掛けたことがあることから、制作者の意図や考えを尊重することはできると考え、運営にあたってはユーザーのことを最優先に考えて丁寧に運営することに集中することができたと思います。それが結果に繋がったことは大きな収穫になりました。 制作も運営も経験してみて、プレイヤーとしてゲームを触っているユーザーでもある私の感覚としても、品質を落としては次に繋がらないです。コストを圧縮して利益を出す考えの強いセカンダリー事業の考え方は、ビジネスを成立させる上では当たり前の考え方ではあるものの、それだけでは結果は出せないと考えています。 そのため第一に『コストはコントロールするもの』であって、次にお客様から見て『適正な対価を支払いたくなっていただけるかどうか』なのだという順序で考え、その上で『ビジネスとして成立する=継続を望まれている』か、ということが判断されるのだという信念を貫き通しました。 数多く経験したセカンダリー事業の中であっても、自分の思想で結果を出すことができました。思想や方向性に明確な違いが出たこともあり、起ち上げたVESTAではより幅広いフェーズや事業でも自分の信じるようにやってみたいと考えています。

オンラインゲームの運営についての考えを聞かせてください。

運営という仕事も、以前よりは徐々に理解されてきたと感じていますが、当初セカンダリー事業は評判が良くありませんでした。「人のふんどしで相撲を取っている」みたいな評価をいただくこともありました。その中で、少なくとも私のチームでは、ユーザー体験の最大化を命題にして運営をしていました。 ちゃんと制作者の思いを受け継いで、ユーザーが楽しめる運営を心掛けている現場を作ることを地道に積み重ねていくと、本当にゲームが好きで遊んでくださっているお客様から少しずつ評価をいただけるようになり、信頼関係が作られていく過程を経験してきましたので、いわゆる世間一般の「セカンダリー事業者が行う運営」に対する評価というものと、必ずしも同期していない部分もありました。 もともと商品企画や企画開発から携わってまいりましたので、運営だけをやっているつもりなんて現場には無くて、垣根がなかったのも良いことだったのかなと考えています。

VESTAをどんな会社にしたいですか?

ひとつひとつの仕事を丁寧にこなし、ユーザー体験の設計ができる会社として信頼を得ていくのが最優先事項です。一握りのカリスマクリエイターの下で働いても制作の一部を担うだけで、ゲーム作りのコアには携われません。それよりも、コアの部分に積極的に関わり、自分のキャリアを積み上げられる会社で働いた方が、将来、ゲーム業界で活躍する人材になれる可能性が高いと考えています。 仕事をしながらスキルアップしてキャリアを積み上げられること。これが業界で働く方が必要としている第一義のことなのではないかと考えます。そのための環境を一生懸命用意するのが会社だと思っています。 スキルをたくさん身につけてもっと大きなフィールドで働くことを必要とするフェーズになったとき、それを弊社が提供できないのであれば、飛び立ってもらって環境や経験を得ていただく。また、一緒に仕事ができる機会があれば、戻ってくればいい。関わり方が個人と会社で無く会社と会社をその方が繋ぐようなことが起きてもいい。映画の制作現場を作るようにプロジェクトのラインを考え、必要な時に出たり入ったりする事も出来る組織にしたいです。 その点でいえば、VESTAを学校みたいなものとして使っていただくという考え方もできるかもしれません。一度入学して、卒業したら母校ですよね、学校って。縁を作って、それを大事にできる「場」を作りたいという想いが強いです。

VESTAが目指す先は?

ゲーム業界で働くということが、他の仕事にも見られるような社会的なステータスとなる世界になるといいですね。「さすがゲームの専門家!」という評価をいただけるような活躍をいろいろなところで見られるような。 今のゲーム業界を外から見ると「好き」だけをモチベーションに若者が夢を叶えるために働く業界、というイメージがあるかもしれません。長く働けるイメージも無いかもしれない。一部のカリスマクリエイターは別として、デベロッパーで働く人材は社会の中でどのように評価されているでしょうか。 「僕らが持っている価値ってなんだろう」「その価値に対する正当な評価ってなんだろう」と真剣に考えた結果、「まだまだ証明できる価値がこの仕事の中にはたくさんある。それを説明できていないし、まだまだ実績を積めていない。そのことを世間に浸透させていく努力が私たちに足りないのでは。」と感じています。 「ゲームの仕事」をできる人たちが、どんなことを出来る人たちなのか、どんな可能性を秘めている人たちなのか。本当はゲームを遊んでくださればわかるはずなんです。理解してくれる方が一人でも多く増えてくださって、「じゃあこんなことできない?」とか、「もしかしていい知恵持ってない?」って使っていただけるようになっていけたらいいんですよね。 これからゲームの仕事を始める方も、この先も続けていこうと頑張っていらっしゃる方も、どうか『何のためにゲーム業界に入ったのか』ご自身の目的や動機を忘れないでください。成果が得られるのはもしかしたら長いキャリアの中で一瞬の事かもしれません。でもそのために積み重ねる経験に価値が有るのか、無いのかを自分で選ばなければならない。悩むのではなく考えるようにしないといけなくて、そのために必要なのは情報です。 必要な情報に触れることが出来る場所で、考えながら作っていけばいい。自分のキャリアは自分で考えて、なりたい人になってまだ見ぬ未来の後輩たちに見本や希望となる足跡を作っていってください。きっとそれが僕らの愛する仕事をより良い状態にしていく大切な、それぞれの個人の役割のひとつだと考えています。そして、VESTAが大事にしていきたい事です。

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