株式会社マツリカ

「創造性高く遊ぶように働ける環境を創る」とのキーメッセージを発信している、株式会社マツリカ。独自開発による主力サービスは、クラウド営業支援ツールの『Mazrica』である。

『Mazrica』は、既存のSFA/CRMツールが現場で活用されていないという課題に立脚し、次世代型営業DXプラットフォームとして開発されたプロダクトだ。「従来のSFA/CRMツールは管理者側の効率化が主目的のため、現場に入力負担を強いるだけでなく、現場のメリットが感じにくいものでした。これによって、導入されても活用されていない現場が続出しているのです」と、代表取締役CEO 黒佐英司氏は話す。

こうした問題点に対し、『Mazrica』は運用設定やデータ入力の自動化・簡素化と、データ分析によるサジェスト機能を盛り込むことで課題解決を図っている。

まず、導入時におけるカスタマイズは、エンジニア不要のノーコードで行うことができる。これによって、カスタマイズに要する時間やコストをカットできる。
次に、データ入力の自動化。従来、新規の営業先となる企業の売上高や資本金、従業員数等の主要項目を手入力する必要があったが、『Mazrica』は50万社以上の企業データベースと繋がっており、社名入力だけでこれら主要項目や最新ニュース等も自動入力される等の機能を備える。
そして、サジェスト機能。営業行動データや顧客データ、売上データ等の蓄積されたデータをAIが解析し、商談ごとの成約確率や成約阻害リスク等を分析して営業担当者が取るべき行動を示唆するというものだ。

そのほか、SFA/CRMツールとして多彩な機能を搭載し、マーケティング、新規アプローチ、案件化/提案、クロージング/契約、継続フォロー/CS向上といった対顧客接点の全てをカバー。もちろん、導入済みのMAツールや名刺管理ツール、メール等との連携も可能である。

このような優れた機能性により、アクティブ率（DAU/MAU）55%を記録（自社調べ）。上位10%のSaaSの平均アクティブ率が28.7%の中、毎日使っているユーザーが60%を占めるチームコミュニケーションツールレベルの驚異的な高さだ。こうした点が評価され、アイティクラウド株式会社主催の「ITreview Grid AWARD 2021 Winter」において、ユーザー満足度No.1のSFA/CRMツールに選出されている。

同社ではそのほか、営業と買い手のコミュニケーションを集約するAll in One カスタマーコラボレーションプラットフォーム『DealPods』の提供や、営業組織の課題を解決するビジネスナレッジメディア『Senses Lab.』、はたらくあなたを祭り化するメディア『mazrica times』の運営も手掛けている。

同社の設立は、2015年4月。経済情報を提供するWebサービス会社で営業部門等の統括責任者を務めていた黒佐氏と、同じく技術統括執行役員を務めていた飯作供史氏が共同で創業した。

「直接の動機は、既存のSFA/CRMツールが活用されていないところにビジネスチャンスを見出したことですが、もう一つ、自分達の想いを実現させたいとの思いもありました」と黒佐氏は言う。

子供が遊んでいるように何かにのめり込む没頭や集中する瞬間は、高度な創造性が発揮されるものだ。
「原体験として、学生時代に学園祭や部活等にのめり込めた瞬間があります。しかし、社会人になるとそんな機会はなくなってしまうように感じます。そこで当社は、『創造性高く遊ぶように働ける環境を創る』とのメッセージを掲げ、あえてBtoBの領域でそのような環境づくりを支援するサービスを提供すると決めたのです」（黒佐氏）。

そこで、まずはSFA/CRMツールが直接関わる分野であり、「数字に追われる」「ノルマに苦しめられる」といった負のイメージが強い営業領域からプロダクトづくりを始め、『Mazrica』をリリースする。
「営業とは、どうすれば顧客から納得してもらえるかといったストーリーを描き、準備を重ねて臨み、成果を生む非常にクリエイティブな業務だと思います。そんなプロセスを“遊ぶように”楽しめるために、『Mazrica』は人にしかできないことに集中できるよう、テクノロジーで支援することを目指しました」（黒佐氏）。

こうして開発された『Mazrica』は、先述のとおり高い評価を得る。「とはいえ、我々としてはまだまだ満足していない」と黒佐氏。対顧客接点の全てをカバーしているものの、各接点の部分では強いコンペチターが存在しており、『Mazrica』としてさらに強化していかなければならない余地が残されているからだ。

また、労務管理や会計等、各国の法規制対応が必要な領域と違い、SFA/CRMはローカライズが不要。当初からグローバルなプロダクトとして海外展開を視野に入れている。

そして、ユーザーの拡大に合わせて莫大な営業データが『Mazrica』に集まることになる。
「今はまだ明確な用途は言えませんが、このビッグデータを活用して、これまで誰も実現し得なかった営業の新しい世界を拓いていきたいと考えています」と黒佐氏は意気込む。

2023年5月現在、社員数は80名で、平均年齢33.4歳という組織。風土づくりの基軸として、次のバリューを掲げている。

●創造性：理想を諦めずに考え抜こう

●自由：枠にとられるな

●多様性：違いは価値である

●主体的：やらされ仕事はつまらない

●オープン：コミュニケーションを諦めない

●挑戦：情熱を燃やして挑戦しよう

●楽しむ：楽しむことを忘れるな

「このバリューは大切なものとして、要所要所で語っています。また一つ一つのバリューを紐解き、その背景を伝える機会もAll Handsという全社ミーティング時に設けています。」（黒佐氏）。
もちろん、人事考課の定性項目に組み込んで意識付けを図るだけでなく、チームコミュニケーションツールを用いて日常的に意識できる仕組みを導入。バリューのスタンプを作成し、メンバーの言動について「これはバリューに則っている」と感じた時にスタンプを押して称えられるようにしている。「本人同士だけでなく、そのやり取りを見た周囲のメンバーへの刺激にもなる」と黒佐氏。

人材育成においては、書籍購入やセミナー参加等、業務のパフォーマンス向上に繋がると判断したものは特に制限を設けず会社が費用を負担している。PCや周辺機器、アクセサリー類の購入も同様だ。
「また、入社時のオンボードプログラムから日頃の勉強会まで、人事部と連携する形で部門やチームが主体的にしっかり行っています」（黒佐氏）。

働き方においては、個人の裁量で自身が最も実力を発揮できる環境で働くことができる。コアタイムなしのフルフレックス、リモートワークとオフィスワークのハイブリッド型。全てが自己責任に基づく自己判断を尊重してのことだ。

その他に、福利厚生として次のような制度が揃っている。
●マツリカンバケーション：毎年1回、連続5日間のリフレッシュ休暇。
●祭り活：複数チームを跨ぐメンバーが5名以上参加する部活への補助。
●オフィスリバティ：勤務環境手当を支給
●ベビーシッター補助：割引券を利用してベビーシッターを利用可能。
●住まいサポート：住まいの福利厚生サービスで賃貸・住宅購入時の仲介手数料が無料もしくは半額。
Etc.

「会社から用意したものではなく、メンバーが欲しいと提案したものばかり。社員の声を集めて民主的に運営しています」（黒佐氏）。

そんな同社では、役職や職種無関係に全員がニックネームで呼び合っているところが特徴的だろう。
「集まっている人材の価値観や性格は見事にバラバラですが、多様性があっていいと思っています。共通点は、バリューに共感し、自律的に考え行動できるところですね。そんな方に来ていただきたいと願っています」
と黒佐氏は呼び掛ける。