株式会社エムディシステム

株式会社エムディシステムは、金融系を中心にした大規模システム開発・基盤開発・プロジェクト管理支援を行う企業だ。
NTTデータからの信頼が厚く、認定パートナーとして25期にわたり社会インフラとなる大規模金融システム開発に携わってきた。
今後は既存事業を安定的に持続することはもちろん、社会が激しく変化する中での成長を見据え新たな事業の柱を立てたいと考える。そのためには、これまで以上にエンジニアの力が必要となる。新たな人材には基本スキルを確立した上で、組織強化等に力を発揮してほしいと願う。同社は第二創業フェーズを切り拓くITエンジニアを求めている。

同社は、長年NTTデータで金融システム開発部門のマネージャーを務めた現会長が定年退職後の1996年に設立した企業だ。
多くのエンジニアを指揮してきて、彼らが活躍できる場を提供したいとの志を持っていた。今でこそフリーランスエンジニアは珍しくないが、当時はまだまだ少数派。そのためフリーランスエンジニアは、金融システムのような大規模案件に関わるのが難しかった。NTTデータと直取引ができる繋がりを活かし、フリーランスエンジニアに活躍の場を提供するという志を具現化するために設立したのが同社なのだ。
少数精鋭規模ながらも、社会インフラといえる大規模な金融システム開発に深く携わることができる背景である。個人の意志を尊重する風土も、個人事業主の集合体から始まった同社らしい。

そして2020年、現在代表取締役を務める佐藤太樹氏に経営のバトンが渡された。佐藤氏は初代・二代目代表と同様、長年金融システム開発の現場で豊富な経験を積んだ人物。加えて近年のIT業界の変化に敏感で、先進的な感覚を持つ。
経営陣の若返りは、会社として新たな未来像を描く契機となった。
佐藤氏は「これまでの金融系案件は窓口でしかできなかった手続きをオンラインで対応可能にしていく等、何もないところからつくり上げていったシステムでした。しかし、今はあらゆるサービスがシステム化されて溢れています。その中でどう便利にしていくか、応用していくかというフェーズに入っています。黙っていても仕事がくる時代ではなく、我々も新しい進め方を取り入れなければならないと考えています」と同社が直面する現状を率直に語った。
安定的な立ち位置に安穏とすることなく、先を見据えた戦略を持って進んでいるのだ。

現在の主軸は、強固なパートナーシップを築くNTTデータの案件や金融機関の勘定系オンラインシステム、対外系システムの開発等の大型案件だ。数百名規模のプロジェクトもあり、新聞で報じられるほどの重要システムを手掛けた実績を持つ。上流設計から開発、テストまで一連の工程に携わり、NTTデータから相談を受ける立場でもある。多くの企業がプロジェクトに参加する中で数多くのエンジニアをまとめる等、管理業務も任せられている。
「当社は少数規模で、機動力に優れた柔軟な対応が可能です。お客様からの相談にスピード感を持って意思決定するところが喜ばれています」（佐藤氏）。
NTTデータからの評価が高い同社のエンジニアは、リーダーシップを発揮する機会が多い。プロジェクトマネジメントのスキルを発揮したり、身に付けたりするのに適した環境だ。

一方で近年は経験が浅いエンジニアの採用にも積極的で、基本スキルをしっかり学べる環境を整備している。特にJavaとLinuxのオンライン研修は新入社員必須のカリキュラムとして、延べ160時間ほどの時間を割く。
またテクニカルスキルばかりでなく、対人能力や思考力・調整力といったヒューマンスキルの育成にも注力する。採用時には経験やスキル以上に学びへの意欲を重視して、長く活躍できるエンジニアへと育てたい考えだ。
佐藤氏は「組織の階層が浅いので、外部研修を受けたい等の要望があれば私や経営層に直接伝えてもらえます。主張できる環境なので、やる気さえあればスキルアップできます。またグローバルIT企業であるNTTデータは優秀な人が多く、その人達との豊富な協業経験をお話しすることもできます。経営陣や先輩エンジニアから学べる機会は多いでしょう」と話す。
机上の研修制度が整っている上に、手厚いサポートの下でOJTを進めたり経験豊かな先輩エンジニアから直接学んだりする機会が多いのは恵まれた環境だ。
「人と対する仕事なので、コミュニケーションスキルを重視しています。最初からできなくてもいいのですが、一定のマネジメント力やリーダーシップは身に付けてほしい。チームをまとめて仕事を進める段取りや全体をコントロールする術は、IT業界に限らず役立つスキルです。ベースとなるスキルに何を＋αで加えていくかは人それぞれ。一つの軸にこだわらず、40代50代を目標に自信を持てる複数の軸をつくってほしいです」（佐藤氏）。
会社がキャリアをコントロールするのではなく、各々がキャリアをデザインして、思い思いに進んでほしい。人生を豊かにするためのステージだと思って、会社を上手く利用してほしいと佐藤氏は言う。

企業風土を尋ねると、「社員がとにかく真面目。それは良い部分ではありますが、もっと尖っていいし、主張してくれていいと思っています」との答えが返ってきた。
自由に踊れるステージとして会社を利用してほしいという佐藤氏だけに、社員各自が「演者」として、より主張する姿を望む。
「我々が、踊りやすいステージをつくり切れていないのも要因。今以上に社員にスポットライトを当てて、皆が伸び伸びと踊れる環境づくりに努めたいです」と反省を口にした。
ある社員へのインタビューで、「歴史ある企業ながら生まれたてのベンチャーのようなフレッシュな雰囲気もある」との言葉が印象的だった。
社会インフラになる重要な金融システムに深く携わってきただけに、正確性や緻密さ、長期のプロジェクトでの粘り強さがベースにある。その上で、柔軟性やスピード感を発揮できるのが同社の強みだ。佐藤氏の自由闊達な考え方が、企業風土にプラスの影響を与えていると感じた。

社員間のコミュニケーションは実にフラット。先輩や上司だからと遠慮する空気は全くない、との言葉が多くの社員から聞かれた。
佐藤氏は「会社と社員の距離感は密でない方がいいと思っています。突き放しているのではなく、付かず離れずの関係性を保ちながら進みたいキャリアのステージを用意する会社でありたいのです。一人ひとりが個として立てば、自然と強固な組織になる。会社と社員間で主従関係をつくりたくありません」と話す。
そのため、普段も管理職や上長から指示や命令はしない。トップダウンを好まず、ボトムアップから成り立つ組織を望んでいる。
「社員のキャリアについて、真剣に考えています。会社に残らないことがその人のステップアップになるならば、それでも構いません。私が願うのは、当社での経験を糧にして社員がどこでも通用する人材になってほしいということです」と力を込める。自身が描くキャリアと同社がクロスするならば、双方にとって良い時間が過ごせるだろう。
実際のところは、安定した経営状況や裁量の大きさ、休日が取りやすい、教育体制が整っている等、働きやすい環境があり離職率が低い。前向きな気持ちで仕事に取り組める企業だ。