Rally Growth株式会社

コンサルティングファームのRally Growth株式会社。2021年7月創業の新鋭である。

同社が対象とするのは、中堅・中小企業からなるミドルマーケット。構成するコンサルタント個々の得意領域や強みを重視するため、特定の業種・業界に特化するという方針は取らない。一方、コンサルティングの対象分野としては、新規事業の創出、業務改革、DX推進といった変革系をメインとする。

そのスタイルに、同社は独自性を持たせている。
コンサルティング業務は、一般的にコンサルタントがクライアントに常駐する形を取るケースが多い。この場合、人件費の高いコンサルタントが長時間拘束されるので、料金が嵩む傾向となる。しかしながら、ミドルマーケットの企業はそれが可能となる潤沢な予算を割く余裕がない場合がほとんど。そこで同社は、リモート体制を活用したコンサルティングスタイルを打ち出し、料金をミドルマーケット企業でも手の届くリーズナブルなレベルに抑えている。
「以前、コンサルティングファームに在籍していた際、必ずしも常駐しなければ質の高いサービスができないのかというと、そうは思いませんでした。重要なポイントはしっかり押さえつつ、リモート体制で十分なサービスを行うことは可能と考えています」と代表取締役社長の園田真之介氏は言う。

また、リモート体制は人材育成の観点でも有効であるという。
「リモート体制といってもコンサルタント個々人が自宅から対応するのではなく、基本的には皆がオフィスに集まった状態で、クライアントへの対応をリモートで行うことを考えています。メンバーが社内に集まっている時間を確保することで、指導がやりやすくなると共にお互いのやり方を見て切磋琢磨できる環境をつくることができます」（園田氏）。

スタートしたばかりの同社であるが、設立前からの取り組みにおいて数社のクライアントにおける実績を上げている。1社は、教育教材メーカーの新規事業戦略の支援。文部科学省が進めている「GIGAスクール構想」に絡む教材としてのコンテンツを自治体間の格差を超えて配信するビジネスに挑むものだ。もう1社は、その教材メーカーの流通子会社における経営計画の改善および中期経営計画の策定支援。策定内容に満足したクライアントは、中長期目標の達成に向けて取り組みを始めているところだ。

同社設立までの経緯を、園田氏の略歴を中心に紹介する。

1984年に東京で生まれ静岡で育った園田氏は、中学から大学まで陸上競技（長距離走）に打ち込む。大学卒業後、ロジスティクスに特化したパッケージベンダーにSEとして入社。「大きな会社ではないが、自分がやらなければならない幅は大きく、早く成長できそう」と考えたことが志望理由となった。ユーザーは大手企業が大半で、向上心の塊だった園田氏は周囲のあらゆる要求に応えるべく、陸上競技で鍛えた精神力と体力でハードな日々を過ごす。

その後、客先に出向し運用を担う業務に2年数カ月従事。当初は苦労したものの、クライアントの信頼を勝ち取り、出向期間終了後は新規大型案件にコンサルタントとしてアサインされる。ここで2年数カ月、ITコンサルタントとして貴重な経験を積んだ。
「ここで“やり切った感”を覚え、もっと大きな仕事がしたいと思うようになると共に、自ら事業経営に関わりたいとの気持ちが大きくなりました。しかし、経営の知識がなかった為、これを学べる環境に移ろうとコンサルティングファームへの転職を決めたのです」

しかし、タッチできたのはクライアントの経営そのものではない、事業改革プロジェクトベースの事柄。そこで、働きながらビジネススクール（経営大学院）に入学し経営学を体系的に学んでMBAを取得した。
「周囲には自分同様働きながら学業に打ち込むメンバーばかりで、ビジネスを徹底的に語り合う貴重なコミュニティを経験できました。そして、その中から当社の創業パートナーを見つけたのです」（園田氏）。

それまでの職歴の中で大手から中小までの企業を支援した経験をMBAの学びの中で体系化すると共に、「日本の価値ある企業を支援したい」との志を固め、園田氏は独立を果たす。その時の思いについて、次のように話す。
「コンサルティングファームでは有意義な仕事をしているとの思いはありましたが、自分でなければできないミッションでもないとも感じていました。自分の人生は、もっと社会的なインパクトの大きいことに使いたいと思ったのです」

そこで、まずは腕試し的にフリーランスとしてスタート。すると、自分にしかできないことを本当に必要としている中小企業と出会うことができた。同時に、同様にポテンシャルを発揮できずに困っている企業は世の中に沢山あるはずだと考え、市場調査を開始。結果的に、大手コンサルティングファームがあまり入ってこないミドルマーケットにニーズが広がっていることを確信。時あたかもコロナ禍の最中、リモートを活用しサービスの質と人員の稼働を適切にコントロールしながら適切な価格感でニーズに応える新たな形のコンサルティングを編み出した。

そして園田氏は、ビジネススクールで知り合ったパートナーに正式に声を掛け、2021年7月、Rally Growth株式会社をスタートさせた。

同社が目指すビジョンは、大きく二つある。

一つは、コンサルティングサービスを通じて「“日本の価値ある企業が環境変化を楽しめる世界”に向け、クライアントバリューを引き出し、価値の最大化に貢献する」こと。

もう一つは、一つ目のビジョンをある程度実現させた暁に「ビジネス創造者が活躍できる世界」を確立させることだという。リソースとして社内にプロフェッショナルのコンサルタントを揃えると共に、新規事業構築に必要な様々なスペシャリストをネットワークしてのインキュベーション環境をつくるという構想だ。
「日本は欧米や中国に比べて起業しづらく、パッションやアイデアがあっても成就に漕ぎつけることは極めて難しいと言われています。そこで、起業家が巣立ちやすくなるエコシステムをつくりたいと考えています」と園田氏は意気込む。

同社のメンバーは、2022年1月1日の段階で4名。全員が共有し組織風土づくりにするValues は、次の6項目である。

・Results-based　成果主義：働いた時間ではなく、働いた結果のアウトプット
・Self-interest, Altruism　利己利他：「自分の為」に頑張り、「誰かの為」に使う
・Get the best out　引き出す：バリューを押し付けず、クライアントのバリューを引き出す
・Follow through　やり切る：一度やると決めたら、踏ん張ってやりきる
・Enjoy business, life　ビジネスを、人生を楽しむ：短期的に楽しむのではなく、長期的に楽しむ
・Enjoy the uncertainty　知らない、わからないを楽しむ　未知を恐れない、型にはめず変化を楽しむ

「まず、組織の規模については自分の目の届く範囲を上限にすることを考えています。そして、年に1～2回、全員で合宿を行い、このValuesや会社のビジョンを深く考える時間をつくって浸透・促進を図りたいと考えています」（園田氏）。

人材育成においては、「現場経験が最も力を付けられる」との考えから、若手コンサルタントは園田氏等の熟練者とコンサルティング現場を共有し、学び取っていく方針。
一方、園田氏が高い有効性を実感したビジネススクール等、外部の教育機関も活用する。

そんな同社が必要としている人材像は、次の3項目だ。

①Rally Growthのビジョンへの共感
②やる気（コンサルティングの仕事がやりたい、新しいことを企画し実現させることをやりたい、一つの仕事に対して全方位的に支援できる仕事をやりたい、極めて高い向上心やハングリー精神がある）
③スキルマッチ（ドキュメンテーション力、構築力、専門性）

「③のスキルは最初から完全に持ち合わせていなくても構いません。ビジョンに共感し、本当に価値のある企業の真価を引き出す支援に携わりたい方、何かに熱い思いを持って人生を楽しみたい方、是非アクセスしてください！」と園田氏は呼び掛ける。