代表取締役 草薙 俊介氏
1982年北海道札幌市出身。2005年に大学卒業後、地元で3年間のフリーター生活を過ごし、ECサイトASP運営の会社に第二新卒枠で就職。そこで3年半勤める間に動画の売買サービスプラットフォームの試作品を作り、それを事業として2011年に株式会社ネクフルを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。大学卒業後、3年ほどフリーターをされていたそうですね。
大学を卒業したら就職をしなければいけないなんて、本当に知りませんでした。実は今でも、大学生が就職活動をする意味をよく分かっていません。 東京の大学を卒業後、一旦地元の札幌に戻り、飲食店でアルバイトを始めました。オーナーがとても面白い方で、その方の仕事ぶりから“経営“がどういうものかを感じたように思います。家賃、原材料費、人件費、光熱費とは何か、どうすれば利益が出るか、私も興味を持つようになりました。オーナーが読み終わった経済新聞を私も読み、決算や財務諸表等の難しい言葉を出てきたら、内容が理解できるように調べました。簿記2級の資格も、その理解を深められると考え取得したのです。 次第に「また東京で遊びたい」と考えるようになりました。ただし一度は就職というものをしてみるかと思い、そこで前職の会社に第二新卒枠で採用してもらったのです。
その会社に3年半ほど勤めて起業されていますが、きっかけは何だったのでしょうか。
入社当初は、ネットについてポータルサイトを開く程度の知識しか持っていませんでした。しかし仕事を通してHTML/CSS程度の知識は身につきました。ベーシックなサイトが作れるようになった頃、スマートフォンが普及し、SNSが流行りだして、情報を浴びることにハマりました。そこでもっと本格的にプログラミングのスキルを身に付けて、転職しようと考えたのです。 プログラミングの勉強がてらプラットフォームを作ろうとした時、「世の中には動画の売買サービスが無いな」と気付きました。試作品を作り、飲み屋で先輩にその話をしたら、「それ面白いから会社にしたら？」と言ってくれました。私は起業するつもりはなかったのですが、その誘いに応える形で会社を立ち上げることに。その人が、現在の当社の役員です。
起業するつもりはなかったのですか？
全くなかったですね。自分で立ち上げた以上、◯◯部の部長というわけにはいきませんから、代表取締役を務めています。ただし「社長」とはただの"肩書"なので付けていません。代表取締役という“役割“を果たすために、意見を言ったり判断をしたりしますが。 会社はあくまで「箱」に過ぎない、という思いが私にはあります。社員にとっては楽しく働ける箱、遊んだり趣味に充てたりするための原資を稼ぐ箱として、当社を使ってもらえたらいいのです。経営理念は私にとって「経営者の価値観の押し付け」にしか過ぎないので、作っていません。 幸いこの数年で、当社だからこそ提供できる動画配信の仕組みが確立されてきました。それを必要としてくれるお客様に対して、真面目に、愚直に提供し続ける。私がやりたいのはそれだけです。経営の専門家がいるなら代表取締役をその人に任せて、私はお客様に向き合い続けたいとさえ考えています。
草薙様ご自身は、その「箱」で将来どんなことをしたいですか。
一言で言えば、やりたいことをやって生きていきたい、ということです。 仕事をして、ゴルフやサーフィン等をやったり、家族と食事や旅行をしたり…そのために必要な健康とお金を維持していくつもりです。 ただ、0から会社を立ち上げた時に将来を考えられてる人がどれだけいるのか、私には疑問です。なぜなら、会社設立時は特に一寸先は闇ですから。 私は当社を立ち上げてから、眠れない夜が続きました。私達のサービスや技術を見つけ出したお客様が相談を持ち掛けてくれたおかげで、徐々に動画配信に関する潜在的ニーズや当社の立ち位置が見えてきたのです。「何とかこのビジネスで食べていけそうだ」という手応えを得られたのは、本当にここ数年ですね。 そして今ではお客様が日本中にいますし、社員も頑張っています。その人達を裏切らないように、一方で安易に将来の設計図等描かないように、コツコツとやっていくつもりです。
会社を立ち上げるのは少し早かったかな、と考えることはありませんか？
いえ、あの試作品を作ったタイミングしかなかったと思います。クラウドでの配信が始まる直前に立ち上がった当社は、その後世の中に"動画"が浸透していく流れの真ん中でビジネスを確立していくことができたので。 そういう意味では時代も味方をしてくれました。世の中では動画に触れるユーザーが爆発的に増え始める直前のタイミングでしたし、使うことのできる技術や必要とするお客様も右肩上がりで増える直前でした。 その潮流のど真ん中に居続けられる私は、相当運が良いのではないかと自負しています。そういう人間がやっている会社に入ることは「アリ」ですよ。
