設立からどのような事業に取り組んできたか、主な事例について教えてください。
設立当初、当社はNTTをクライアントとした「人工知能の第二世代」に属する技術をサービス化して事業を展開し始めました。その後、ファナック株式会社を取引先とした産業用ロボットに関する技術提供を開始し、三次元ロボットモデルの開発や知識ベースシステムの実装にも着手しました。また、国内大手メーカーからの依頼を受け、先端技術の研究にも積極的に参画してきました。 当社では「ファジー・ニューラルネット・コントロールシステム」というものを採用したAI技術の提供を行ってきました。実例としては東京湾アクアラインの掘削工事というものが挙げられます。ピンポイントの正確さを追求するのではなく、ある程度のあいまいさを持たせた学習システムによって、そのプロジェクトのニーズに応えてきたというのが、当社の事業展開の特徴です。
事業の展開に関する御社のコンセプトを教えてください。
取り組むべき分野として私自身が考えているのは、「環境・エネルギー」「水・食料」「医療・ヘルスケア」という三つの領域に関する課題解決です。そして、これらの緊急性の高い領域に加え、「サイバーセキュリティ」の領域においてもAI技術を活用することで、安心・安全を確保した新たなイノベーションを実現させたいというのが、私の考えです。 私は、「説明ができない」ということが、ディープラーニングに関する唯一の“欠陥”だと思っています。つまり、AIが下した判断について「なぜ?」という疑問が生まれても、その因果関係を説明できないのが唯一の弱点ということです。その解明をするためには、人間の判断とディープラーニングを組み合わせたイノベーションが必要であり、そのためには「安心・安全」なサイバー技術が不可欠。そうした考えの下に、事業を展開しているのが当社の姿だと言えるでしょう。
企業を運営する上では、どのような理念を大切にしていますか?
これは当社のミッションとも言えるのですが、「ニーズとシーズの融合による対応システムの実現」というものが、私達の使命だと考えています。その取り組みにおいては、現存する、または今後予測される重大問題を察知し、根源にある全世界的課題の解決を目指すことが重要だと考えています。その課題とは先に述べた三つの領域にあるものであり、解決のために活用するシステムの目標設定、計画立案、実行を当社では行っていきます。 必要なことは、自らのことだけではなく、世の中に誠意を持って向き合いながら解決策を吟味すること。そしてObserve(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(行動)を意識し、時代の先を読みながら行動することが大事だと思っています。改題解決のプロセスの中で、他社との争いを排除し、出口に向けて明確に行動すること。そうした考えを、私は大切にしています。
社員達に対してはどのような思いをお持ちですか?
常に思っているのは、社員達が「批判されている」と感じないようなコミュニケーションを取ることです。問題があった際にも社員達を批判したり、問い詰めたりすることなく、より良い提案を持ちかけることを意識しています。 私が社員達に期待しているのは、何よりも「視界を広げること」なんです。広い視界の中で世の中を見ることで、自分自身が会社において、または社会においてどのような位置付けにあるか、そこで何ができるか、何を期待されているかということが明確になると思います。そして、社員達には「自分自身の価値」というものを考えて行動してほしいと思っています。根底にある思いを大切にしながらも、現実との違いがある場合には他者ではなく自分を変える努力をする。その前提となるのは自分自身の立ち位置を知ることであり、広い視点から物事を捉えながら思いを形にしてほしいというのが、私の思いです。
最後に、転職者に向けたメッセージをお願いします。
私達は、日本国内に、そして世界的に必要な課題解決策の実現を、現実のアクションとシステムとの連携によって成し遂げたいと考えています。当社の活動に参加していただき、この環境で共に知恵を出し合って新たな価値を生むことは、世界に貢献しながら事業を発展させることに繋がりますので、ご自身の人生を左右するチャレンジに、是非力を発揮してほしいと思います。 これまでの事業実績や、関連企業と連携した活動への評価から、当社には様々な情報が集まってきます。その情報の中から解決すべき課題を発見し、社会に貢献するチャンスを手に入れていただきたい。テーマによっては海外企業との連携や、海外の大学との協業という可能性も広がっています。この環境で、是非やりがいのある取り組みに参加していただきたいと思います。